「黄金のアデーレ 名画の帰還」
弁護士のランディは、母親の友人であるオーストリア出身の老婦人マリアから、ナチスドイツがマリアの家族から奪ったクリムトの名画“黄金のアデーレ”を取り戻したいと相談を受けるが…
佳い映画でした!感動した!by 小泉純一郎(古っ!)。悲しい話で泣かせようとするお涙ちょうだい系は苦手ですが、こういう弱い立場の人が巨大な力にも屈せず、勇気と信念をもって立ち向かう系は清々しくて痛快です。アメリカ人も好きそうな話。かなりアメリカ人の自尊心をくすぐる内容だと思うし。オーストリアではほとんど門前払いな扱いを受けたマリアとランディを、受け入れて応援したのがアメリカ。アメリカって、寛大で公明正大!弱い者の味方な国!オーストリア?カンガルーが好き!とか言うアメリカ人の無知さが笑えた。それにしても。オーストリアにとっては、とんだ災難。いきなり国の宝物を奪われそうになって、迷惑困惑!頑として返却を拒むオーストリア側のメンツとか国の威信を守りたい気持ちも、よく解かる。でもね~やっぱ盗品、しかも世界中から憎まれてるナチスがらみ、というのはマズかった。あの絵にまつわる悲劇を知ったオーストリア人が、我々が持っててもいいんだろうかと疑問に思うのも当然。あんたらはナチスに加担した!多くのユダヤ人をナチス同様に虐げた!私は家族と祖国を失った!と、マリアが人情に訴えてきたのも効果てきめんでした。心あるオーストリア人なら、罪悪感と正義感から絵への執着心が薄まるだろうし、泥棒扱い、ナチスの仲間呼ばわりされてまで持っていたくないと思うでしょうし。もし奈良の大仏さまが他所の国から盗んできたものと判明し、その国が日本人を泥棒扱いし、返して!と訴えてきたら、そんなん返せばいいわ!と多くの日本人も思うだろうし(たぶん)…
それにしても。今年はまるでナチス祭り?!なほど、ナチスがらみの映画が次々と公開されていますが。あらためてその極悪非道さに戦慄&悲憤。ユダヤ人虐殺のみならず、美術品泥棒まで。ナチスが悪魔なのは言うまでもないけど、ナチスの言いなりになってユダヤ人を虐げたオーストリア人の卑劣さ、醜さも正視に耐えない。仕方がなかった部分もあったとはいえ、あんな風になってしまうものなんですね。人間って怖い、弱い。マリアが母国を許せない気持ちも痛ましかった。あんな目に遭ったら、確かに帰りたくないですよね~…ラストの裁判の判決と、マリアが懐かしい生家で見た在りし日の家族、そしてアデーレの幻は、怒りと憎しみを乗り越えたマリアの母国への赦しを意味するように思えて、ちょっとホロリとさせられました。
マリアが名画を取り戻したい理由が、お金じゃなかったのも観ていて爽やかでした。いま観てるドラマ「遺産争族」の遺産10億円どころじゃないお宝ですからね~。みみっちい成金一家の争いではなく、国家がらみの闘い。スケールが違います。訴訟を起こす現代のマリアと、ナチスドイツ時代のマリアが交錯する構成も、なかなか巧みでした。マリアと夫の国外脱出も、サスペンスフル。あそこも実話なのかしらん?映画風に話を盛ってるようにも感じたが。有名なクリムトと、モデルとなったマリアの叔母アデーレは、いったいどういう関係だったのかしらん?二人はほとんど出てこなかったので気になる。幸か不幸か、若くして亡くなったアデーレですが、もしあの肖像画にアデーレの魂が宿っていたら、あのままそっと故郷のウィーンに残っていたかったでしょうか、それともマリアのように自由の国アメリカへ行くことを望んだでしょうか。判決の結果をどう思うか、アデーレに問うてみたい。
ヒロイン、マリア役のヘレン・ミレンが、またまた素敵マダム!
80代の老女役にしては、ちょっと若々しすぎますが、颯爽と溌剌とした小気味よいミレンおばさまは、本当にカッコいい女性。キリっと毅然としてて、あの背筋ピーンな姿勢のよさに惚れ惚れ。たまに顔が、遺産争族の室井滋に似て見えたが。どんな悲しみにも苦しみにも屈しない強さが、全身からにじみ出てます。劇中の偉い大臣とか学者、裁判官よりも、はるかに威厳があるミレンおばさまasマリア。そりゃまあ、何てったって「クィーン」ですからね~おちゃめでシニカルな言動もクスっと笑えた。常に身だしなみを気にし、フェミニンさを保っているところが、老いさらばえた媼と違います。まさに一生涯現役女!なミレンおばさま。“ナチュラル”と“ほったらかし”は違うことも、いつもミレンおばさまには教えられます。
ランディ役のライアン・レイノルズも想定外の好演。大女優ヘレン・ミレンの前で霞んでるかと思いきや、堂々たるW主演ぶり。スターになり損ねた感じの若い頃と違って、地味ながらもいい感じに大人の俳優に成長しているのではないでしょうか。まだでもセクシーなタフガイ役とかも十分できそう。最近人気の英国男優とは違う、いかにもアメリカ男!な朴訥な見た目も好きです。
ウィーンでマリアとランディを助けるジャーナリスト役で、大好きなダニエル・ブリュールが登場
ブリュっち、可愛い~彼ももうアラフォーですが、若々しいですね~。まだ青年っぽい。優しくて知的な熊さん、いや、最近はカワウソさんなブリュっち、相変わらず英語ペラペラでカッコいい。ますます国際的な活躍が嬉しいです。
その他に、チャールズ・ダンス、ジョナサン・プライス、エリザベス・マクガヴァンなど、シブいメンツも小さい役ながら味わいある好演。
ウィーン観光気分にもなれるのも、この映画の魅力。ウィーンにも行ってみたいな~。マリアたちが休憩してた観覧車のある公園は、あの有名な?
↑まさに女王さま!
弁護士のランディは、母親の友人であるオーストリア出身の老婦人マリアから、ナチスドイツがマリアの家族から奪ったクリムトの名画“黄金のアデーレ”を取り戻したいと相談を受けるが…
佳い映画でした!感動した!by 小泉純一郎(古っ!)。悲しい話で泣かせようとするお涙ちょうだい系は苦手ですが、こういう弱い立場の人が巨大な力にも屈せず、勇気と信念をもって立ち向かう系は清々しくて痛快です。アメリカ人も好きそうな話。かなりアメリカ人の自尊心をくすぐる内容だと思うし。オーストリアではほとんど門前払いな扱いを受けたマリアとランディを、受け入れて応援したのがアメリカ。アメリカって、寛大で公明正大!弱い者の味方な国!オーストリア?カンガルーが好き!とか言うアメリカ人の無知さが笑えた。それにしても。オーストリアにとっては、とんだ災難。いきなり国の宝物を奪われそうになって、迷惑困惑!頑として返却を拒むオーストリア側のメンツとか国の威信を守りたい気持ちも、よく解かる。でもね~やっぱ盗品、しかも世界中から憎まれてるナチスがらみ、というのはマズかった。あの絵にまつわる悲劇を知ったオーストリア人が、我々が持っててもいいんだろうかと疑問に思うのも当然。あんたらはナチスに加担した!多くのユダヤ人をナチス同様に虐げた!私は家族と祖国を失った!と、マリアが人情に訴えてきたのも効果てきめんでした。心あるオーストリア人なら、罪悪感と正義感から絵への執着心が薄まるだろうし、泥棒扱い、ナチスの仲間呼ばわりされてまで持っていたくないと思うでしょうし。もし奈良の大仏さまが他所の国から盗んできたものと判明し、その国が日本人を泥棒扱いし、返して!と訴えてきたら、そんなん返せばいいわ!と多くの日本人も思うだろうし(たぶん)…
それにしても。今年はまるでナチス祭り?!なほど、ナチスがらみの映画が次々と公開されていますが。あらためてその極悪非道さに戦慄&悲憤。ユダヤ人虐殺のみならず、美術品泥棒まで。ナチスが悪魔なのは言うまでもないけど、ナチスの言いなりになってユダヤ人を虐げたオーストリア人の卑劣さ、醜さも正視に耐えない。仕方がなかった部分もあったとはいえ、あんな風になってしまうものなんですね。人間って怖い、弱い。マリアが母国を許せない気持ちも痛ましかった。あんな目に遭ったら、確かに帰りたくないですよね~…ラストの裁判の判決と、マリアが懐かしい生家で見た在りし日の家族、そしてアデーレの幻は、怒りと憎しみを乗り越えたマリアの母国への赦しを意味するように思えて、ちょっとホロリとさせられました。
マリアが名画を取り戻したい理由が、お金じゃなかったのも観ていて爽やかでした。いま観てるドラマ「遺産争族」の遺産10億円どころじゃないお宝ですからね~。みみっちい成金一家の争いではなく、国家がらみの闘い。スケールが違います。訴訟を起こす現代のマリアと、ナチスドイツ時代のマリアが交錯する構成も、なかなか巧みでした。マリアと夫の国外脱出も、サスペンスフル。あそこも実話なのかしらん?映画風に話を盛ってるようにも感じたが。有名なクリムトと、モデルとなったマリアの叔母アデーレは、いったいどういう関係だったのかしらん?二人はほとんど出てこなかったので気になる。幸か不幸か、若くして亡くなったアデーレですが、もしあの肖像画にアデーレの魂が宿っていたら、あのままそっと故郷のウィーンに残っていたかったでしょうか、それともマリアのように自由の国アメリカへ行くことを望んだでしょうか。判決の結果をどう思うか、アデーレに問うてみたい。
ヒロイン、マリア役のヘレン・ミレンが、またまた素敵マダム!
80代の老女役にしては、ちょっと若々しすぎますが、颯爽と溌剌とした小気味よいミレンおばさまは、本当にカッコいい女性。キリっと毅然としてて、あの背筋ピーンな姿勢のよさに惚れ惚れ。たまに顔が、遺産争族の室井滋に似て見えたが。どんな悲しみにも苦しみにも屈しない強さが、全身からにじみ出てます。劇中の偉い大臣とか学者、裁判官よりも、はるかに威厳があるミレンおばさまasマリア。そりゃまあ、何てったって「クィーン」ですからね~おちゃめでシニカルな言動もクスっと笑えた。常に身だしなみを気にし、フェミニンさを保っているところが、老いさらばえた媼と違います。まさに一生涯現役女!なミレンおばさま。“ナチュラル”と“ほったらかし”は違うことも、いつもミレンおばさまには教えられます。
ランディ役のライアン・レイノルズも想定外の好演。大女優ヘレン・ミレンの前で霞んでるかと思いきや、堂々たるW主演ぶり。スターになり損ねた感じの若い頃と違って、地味ながらもいい感じに大人の俳優に成長しているのではないでしょうか。まだでもセクシーなタフガイ役とかも十分できそう。最近人気の英国男優とは違う、いかにもアメリカ男!な朴訥な見た目も好きです。
ウィーンでマリアとランディを助けるジャーナリスト役で、大好きなダニエル・ブリュールが登場
ブリュっち、可愛い~彼ももうアラフォーですが、若々しいですね~。まだ青年っぽい。優しくて知的な熊さん、いや、最近はカワウソさんなブリュっち、相変わらず英語ペラペラでカッコいい。ますます国際的な活躍が嬉しいです。
その他に、チャールズ・ダンス、ジョナサン・プライス、エリザベス・マクガヴァンなど、シブいメンツも小さい役ながら味わいある好演。
ウィーン観光気分にもなれるのも、この映画の魅力。ウィーンにも行ってみたいな~。マリアたちが休憩してた観覧車のある公園は、あの有名な?
↑まさに女王さま!