米中首脳会談
人民元・人権を協議
オバマ大統領 通貨の調整が必要
胡錦濤主席 相互尊重の原理で
【ワシントン=小林俊哉】
オバマ米大統領と胡錦濤中国国家主席は19日、ホワイトハウスで会談後、共同で記者会見しました。中国人民元の切り上げ や人権問題など米側の要求を並べたオバマ氏に対し、胡氏は「中米協力は、両国と世界に大きな意義を持つ。双方とも、関係の正しい方向をしっかりと堅持しな ければならない」と述べました。
会談の主要テーマの一つは、経済問題でした。オバマ氏は「人民元は依然として、過小評価されており、さらなる調整が必要だ」と主張。「胡主席は、より市場ベースのシステムに移行すると約束しているが、われわれが求めるほど速くはない」と表明しました。
胡氏は、経済・貿易面での両国間の懸案について「相互尊重の原理に従って、引き続き適切に解決していく」と主張。世界経済については、米国発で広 がった金融危機から徐々に回復しているものの、不確定要素が残っているとして、「主要20カ国・地域(G20)会合の役割が増している。われわれは国際金 融システムの改革により前進することで合意した」と述べました。
中国の劉暁波氏のノーベル平和賞受賞で関心が集まった人権問題で、オバマ氏は、言論、結社、宗教の自由などは「非常に重要であり、文化を超越する」と主張。率直に人権問題で話し合ったと述べる一方、中国とチベットのダライ・ラマ側との対話も促しました。
胡氏は「中国は、人権の普遍性を認識し、尊重する。同時に、人権の普遍性というときには、われわれは異なる国家的状況についても考慮しなければならない」と主張。「相互尊重、内政不干渉の原理に基づき、今後も米国と対話し意見交換していく」と述べました。
両首脳は会談後、共同声明を発表。バイデン副大統領の年内訪中や習近平国家副主席の訪米についても合意しました。
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日米同盟を維持・強化
初の年頭外交演説 菅首相が表明
菅直人首相は20日、都内のホテルで年頭外交演説を行い、民主党政権の外交・安全保障政策を提示しました。首相は、日米関係について「政権交代に かかわらず維持・強化されるべき」だとし、同盟深化にまい進する姿勢を強調。また環太平洋連携協定(TPP)に関して、6月をめどに交渉参加について結論 を出すことを改めて表明しました。
菅首相は、(1)日米基軸(2)アジア外交の新展開(3)経済外交の推進(4)地球規模の課題への取り組み(5)我が国自身の安全保障環境への的 確な対応―の5本の柱で演説。日米同盟について、「最も重要な2国間関係」「アジアと太平洋地域にとっての安定の要素であり公共財として評価されている」 と述べました。
具体的には、今年前半の訪米にあわせ、オバマ米大統領とともに「21世紀の日米同盟のビジョンを示したい」と発言。北朝鮮の核開発問題など「アジ アの安全保障環境は非常に厳しい」として、日本における米軍駐留の必要性を説き、沖縄・米軍普天間基地の同県名護市辺野古への「移設」にむけ「ねばり強く 取り組む」と述べました。
また、沖縄の基地負担の軽減のため、「沖縄以外に住む国民の理解と協力が得られるよう、あらゆる場を通じて働きかけていきたい」と語り、全国に米軍基地・施設、訓練の受け入れを求めていく意向を示しました。
さらに、TPPについては、「米国をはじめとする関係国との協議を進めており、6月をめどに交渉参加について結論を出す」と強調。「今日における 平成の開国を成し遂げる。今年を開国元年として位置付け取り組んでいきたい」「日本の命運をかけて進めなければいけない」として、自由貿易推進を断固とし て進める考えを示しました。
演説会は、民間外交推進協会(FEC)の主催で開かれたもの。歴代首相の年頭外交演説は初めてのことです。