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日本語版新聞紹介

安保ジレンマを避け、南北関係を再び軌道に乗せるためには、少なくとも二段階の対応が必要である。

2019-08-21 | 3・1独立運動の伝統を受け継いで

[ニュース分析]

南北は「安保ジレンマ」越えて信頼復元の道へ

登録:2019-08-21 05:29 修正:2019-08-21 07:17
 
今月5日、韓米合同軍事演習を控えて京畿道平沢市のキャンプ・ハンフリーズにヘリが待機している//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が「共和国を先制攻撃するための侵略戦争の火遊び」(「労働新聞」20日付6面)と非難してきた韓米合同軍事演習が20日に終わった。先送りにされてきた朝米実務交渉が再開し、停滞している南北関係にも風穴が開くという期待混じりの見通しが示されている。

 しかし、朝米実務交渉の再開はともかく、南北関係が再び軌道に乗るには、越えなければならない山が少なくない。何よりも南北の信頼水準が極めて低くなった。4・27板門店南北首脳会談以降に鳴りを潜めていた北朝鮮式の暴言が戻ってきたのは「危機の兆候」(外交安保分野の高官)だ。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領の8・15記念演説について、「茹でた牛の頭も仰天大笑(呆れて天に向かって大きく笑う)するようなもの」だと皮肉を言った祖国平和統一委員会報道官談話(16日)が代表的な事例だ。同談話は、文大統領を直接指して「珍しいほど厚かましい人」や「大きく笑わせる人」、「北側で狩猟銃の音が聞こえると、不安で漏らすくせに」など暴言を吐いた。北朝鮮側が「敬愛する最高指導者」と称賛する金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の「いつも今のように(文在寅大統領と)両手を固く握り合い、先頭に立って共に進む」(2018年9月19日、平壌首脳会談の記者会見)という約束と、全ての分野で「世界先進的レベル」(4月12日、最高人民会議の施政方針演説)を達成しようという訴えに反する冷戦敵対時期の悪習に戻ったのだ。「金委員長の不満と苛立ちに気づいた周りが先を争って暴言を吐き出している雰囲気」(高位の消息筋)という診断もある。北朝鮮の慢性的な暴言談話は主張の内容への集中を妨げる騒音であり、「皆を敗者にしかねない」(政府高官)という点で、懸念すべき兆候だ。

 朝鮮半島平和プロセスにおける韓国の役割を無視するような主張も問題だ。「外務省米国担当局長クォン・チョングン談話」(6月27日)の「朝米対話の当事者は我々(北朝鮮)と米国であり、南朝鮮当局が口出しするような問題ではない」という主張は、一見すると、北朝鮮側の伝統的な見解を再確認したようだが、実際には「甘ければ飲み込み、苦ければ吐き出す」前言翻しだ。昨年5月26日、板門店(パンムンジョム)統一閣で開かれた首脳会談の際、金委員長が「6月12日に予定されている朝米首脳会談のため、多くの努力を傾けてきた文在寅大統領の労苦に謝意を表した」という「労働新聞」の報道(2018年5月27日分1面)と衝突する内容だ。

 北朝鮮のこうした行動の背景には、進展の見られない朝米交渉と制裁に阻まれた南北協力に対する苛立ちと不満がある。情勢的には、韓米合同軍事演習と韓国の先端兵器の導入に対する発言(最終談話)と行動(ミサイル・放射砲の発射)レベルの反発と、内部反発を鎮静化させるための宣伝戦としての意味がある。何よりも深刻な問題は、韓米合同軍事演習と韓国の先端兵器の導入(F-35A、グローバルホークなど)と北朝鮮の相次ぐミサイル・放射砲発射実験があいまって、安保ジレンマの悪循環の兆しを見せているという点だ。「安保ジレンマ」とは、一方の安保能力の強化が他方の安保不安を刺激し、無限の軍備競争と両方の安保不安に帰結するという意味の国際政治学用語だ。「安保ジレンマの悪循環が本格化すれば、南北関係は破綻が避けられない」という懸念の声も高まっている。

 
北朝鮮が今月16日、再び金正恩国務委員長の指導のもと新しい兵器の試験射撃をしたとし、「朝鮮中央TV」が17日に報道した発射現場の画面で「北朝鮮版ATACMS」と呼ばれる短距離弾道ミサイルが無限軌道型の移動式発射台(TEL)から火炎と共に打ち上げられている//ハンギョレ新聞社

 安保ジレンマを避け、南北関係を再び軌道に乗せるためには、少なくとも二段階の対応が必要である。

 第一に、相互理解と配慮だ。今回の韓米合同指揮所演習は、戦時作戦統制権の早期移管に向けた検証が必要な事情が大きく作用した。戦作権の移管は、韓国の自己決定力を高め、米国の影響力を減らすという点で、朝鮮半島平和体制を構築する前に必ず解決すべき課題だ。南北協力を質的に飛躍させる礎といえる。韓国の先端兵器の導入は、戦作権の移管に備え、「核を持った北朝鮮」に対する安保不安心理を鎮める一方、軍事強国の中国や日本などを視野に入れた多目的対策の性格が強い。北朝鮮の軍備増強が「国の自主権と安全、人民の幸せな未来を堅固に担保していくための神聖な国防建設事業」(金正恩委員長、「労働新聞」17日付1面)なら、韓国だけに違う物差しを突き付ける理由はない。自分は何でも許されるが、相手は駄目という態度は信頼をむしばむ。

 韓国側も「北朝鮮の短距離(飛翔体)発射を問題視しないという宣言が必要だ」(元高官)という提案がある。北朝鮮の短距離弾道ミサイルの発射は、「弾道ミサイル技術を利用した追加発射」を禁じた国連対北朝鮮制裁決議違反だ。ただし、同規定が実際禁止しているのは短距離ミサイルではなく、人工衛星の発射を口実にした長距離弾道ミサイルの技術改良という点で、別の対応が必要だという指摘もある。ドナルド・トランプ大統領が北朝鮮の短距離ミサイル発射を「皆やっていること」だとし、取るに足らないという態度を示しているように、文在寅政府も「戦術兵器の短距離実験発射」がその重要度に反して、朝鮮半島情勢を揺るがす重要な要因となる悪循環の輪を断ち切るべきということだ。

 第二に、究極的には南北首脳が直接会ったり、代理人を通じて疎通することだ。「朝鮮半島の恒久的平和体制の構築」を目標に、「軍事緊張の緩和や戦争の危険の除去、段階的軍縮実現、根本的な敵対関係の解消」などを約束した4・27板門店宣言と9・19平壌共同宣言の精神を実践する道に戻る抜本的解決策を模索しなければならないという声が高まっている。文大統領から「力を通じた平和」(2018年9月14日、島山安昌浩艦の進水式での演説)を越え「平和は(力ではなく)、理解によってのみ達成できる」(6月12日、オスロフォーラムでの演説)という認識の実践に乗り出す必要がある。

イ・ジェフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/906485.html韓国語原文入力:2019-08-20 22:57
訳H.J

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米国がロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約から脱退して16日めで中距離巡航ミサイルを初めて試験発射した。

2019-08-21 | アメリカの常識は世界の非常識

米、中距離巡航ミサイルを初めて試験発射…

米・中・ロ軍備競争本格化か?

登録:2019-08-20 22:09 修正:2019-08-21 06:55
 
米国防総省、「18日に巡航ミサイル飛行試験 
500キロメートル以上飛行し目標物を正確に打撃」 
 
11月には射程距離を延ばした弾道ミサイル試験 
米-ロシアINF条約脱退から半月で 
中距離ミサイル「アジア配置」も火薬庫

 
米国防総省は19日、カリフォルニア州サンニコラス島で地上発射型中距離巡航ミサイルの飛行試験を18日午後(現地時間)実施したと発表し、発射場面の写真と動画を公開した。この試験は米国がロシアとの中距離核戦力全廃条約から脱退して16日めになされた=米国防総省提供//ハンギョレ新聞社

 米国がロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約から脱退して16日めで中距離巡航ミサイルを初めて試験発射した。米国は待っていたかのように中距離ミサイルの開発に積極的に乗り出し、世界の軍備競争が本格化するとの憂慮が高まっている。このミサイルのアジア配備の有無をめぐり緊張感も高まっている。

 米国防総省は19日(現地時間)、報道資料を出し「日曜日の18日午後2時30分、カリフォルニア州サンニコラス島で通常兵器として設定された地上発射型巡航ミサイルの飛行試験を実施した」とし、「試験ミサイルは地上の移動式発射台から発射され、500キロメートル以上を飛行し、正確に目標物を打撃した」と発表した。国防総省は発射場面の写真と動画も公開した。ロバート・カーバー国防総省報道官は「(今回のミサイルは)トマホーク地上攻撃ミサイルの改良型」と話した。国防総省は「この試験で収集されたデータと教訓は、国防総省の今後の中距離能力開発に役立つだろう」と明らかにし、さらに高度化された中距離ミサイルの試験発射が続くだろうと予告した。国防総省は11月に射程距離を延ばした中距離弾道ミサイルの試験発射も計画している。

 今回のミサイル試験発射は、中距離核戦力全廃条約の下では禁止されていた行為だ。だが、米国はロシアが2017年に実戦配備した9M729ノバトール巡航ミサイルを条約違反事例として挙げ、2月に「ロシアが協定遵守に復帰しなければ、6カ月後に脱退する」と予告し、今月2日に脱退を実行した。米国の主張を否認してきたロシアも、同じ日にこの条約を脱退した。中距離核戦力全廃条約は、1987年12月、ロナルド・レーガン米大統領とミハイル・ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長が合意した条約で、射程距離500~5500キロメートルの地上発射型中・短距離弾道・巡航ミサイルの生産、実験、配備を全面禁止した。

 米国はこの条約からの脱退を宣言した日から「地上発射巡航・弾道ミサイルの開発作業をすでに始めた」として意欲を見せた。特にマーク・エスパー国防長官は3日、中距離ミサイルをアジアに配備する意向を明らかにしたのに続き、「該当地域の同盟らと協議して配備するだろう」と述べた。

 米国の今回のミサイル試験発射に対して、ロシア上院国防委員会所属のフランツ・クリンツェビッチ議員は、RIAノーボスチ通信に「中距離核戦力全廃条約が公式に終了した後、2週間で米軍がミサイルをテストしたことは、国際社会に対する厚かましい冷笑であり嘲弄」だと話した。彼は「もちろん私たちは米国がこうした種類の武器で優位を持てないよう、最短期間内に最善を尽くすだろう」とし、ロシアは軍備競争に入る意図はないと付け加えた。だが、8日のロシア海軍施設での爆発事故がウラジーミル・プーチン大統領が自慢してきた新型核推進巡航ミサイル試験と関連があるとの観測が出るなど、米-ロシアの軍備神経戦はすでに加熱している。中国まで加わり軍備競争が悪循環するという懸念も出ている。米国は、核弾頭数を制限するためにロシアと2010年に合意した新戦略兵器削減条約(新START)を2021年の満期以後に延長することにも消極的なので、全世界が核武装競争に突入する可能性もある。

 米国が中距離ミサイルを韓国、日本、オーストラリアなどアジアに配備する可能性は、すでに地域内の火薬庫となっている。特に韓国配備の可能性に対し、ロシア、中国、北朝鮮が強く反発している。チェ・ヒョンス韓国国防部報道官は5日「米国側と議論したり自主的に検討したこともなく、そのような計画もない」と話した。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/906406.html韓国語原文入力:2019-08-20 20:36
訳J.S

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