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イチジクが好きだ。
子どものころ社宅に住んでいて、夏の終わりになると、
赤屋根の重役さんのお屋敷の庭に実るイチジクを、
「おばさんひとつちょうだい」と叫んでは食べていた。
もぎ取ったイチジクの白い汁が手につくと
赤くはれてかゆくなるんだけど、そんなことお構いなし。
食べ過ぎると、唇の横が切れて痛くなるんだけれど、
それでも懲りずに食べていた。
岐阜のおばあちゃんちには、白イチジクがあって、
皮が赤いイチジクより数倍甘かった。
昨年、その白イチジクの苗を見つけたのをきっかけに、
「ゼブラ」とか「バナーネ」とか、
ついでに珍しい品種も見つけて植えた。
珍種イチジク勢ぞろい/来年が待ち遠しいよ
(2005.8.3)
どれも秋にはすくすく育っていたんだけど、
昨年の記録的な大雪で被害を受けて、
植えたばかりの苗たちは無残にも根元から折れてしまった。
と、思っていたら、
今年の夏、背丈ほどの草むらの向こうの山際にイチジクの木が見えて、
どうやら、ちっちゃな実もたくさんつけているようだ。
いちばん高いバナーネが生き残っていた。
草が茂ってて近づけないから、ときどき庭から山の方を眺めていた。
今日になってともちゃんが草刈機で家の周りの夏草を刈ってくれたので、
さっそく見に行った。うわっ、たくさん実がついている。
木にぶら下げておいた説明を読むと、
夏果は特大、秋果は極甘と書いてある。
目の前に一個だけ大き目の実があって、そっと触るとやわらかい。
世界最大果のイチジク・バナーネ
写真を見るとまだ早いのかもしれないけど、
待ちきれなくて収穫。といっても一個だけど。
いそいそと手の上に乗せて持ち帰り、記念写真。
見た目は、白イチジクそっくり。
お皿に載せて半分に切ったら、中身はじゅうぶん赤い。
4つに切ってていねいに皮をむきはじめた。
皮はするするとむけるけど、手がべたべたして甘い。
草刈をしてくれたともちゃんにも一切れあげて、
味見をしてもらった。
「あの丸ごと煮てあるイチジクみたい」。
イチジクのコンポート(蜜煮)のことのようだ。
たまたま戻ってきたほくちゃんにも一切れ。
「えっ、これイチジクじゃないみたい」。
わたしも一切れ、口に入れた。
あま~い。おいし~~い。
小さなイチジクの、そのまた四分の一なのに、
緻密な舌触りで口じゅうに濃厚な甘みがひろがる。
忘れられないなつかしい味。
あしたからまた生きていこうと思える味。
もぎ取るときに白い汁がついて手がかゆいけど、
そんなこと気にしない。
やっぱりわたしは、イチジクが大好きだ。
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