みどりの一期一会

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都政の課題 こう取り組む(1)(2)

2007-03-25 13:50:08 | 選挙関連
07統一自治体選挙の特集記事を検索していたら、
東京都知事選挙の各候補者の政策別アンケートの回答を見つけた。
4候補の政策を見比べると、結構面白い。
評論なして、紹介しますね。

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都政の課題こう取り組む(1) ’07都知事選

 都知事選の候補者は都政の課題にどう取り組むのか。環境問題や教育格差、23区再編などについて4候補に聞いた。 (上から届け出順)

<質問>二酸化炭素削減
 都内では2004年度、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量が6870万トンだった。日本は京都議定書で基準年の1990年の「マイナス6%」を国際公約としているが、原発が通常通りに稼働したと想定しても、排出量は反対に5.8%増えている。削減に向けてどう取り組むのか。

■吉田万三氏候補
 CO2排出要因である超高層ビル建設の規制緩和をやめ、都市の成長を管理する方向に切り替える。ビルや車の排出削減計画をつくり強力に進める。都市計画公園の整備、市街地の緑地保全と植栽の推進、里山の保全などでCO2の吸収・削減を抜本的に進める。

■石原慎太郎氏候補
 CO2の大幅な削減を目指すカーボンマイナス東京10年プロジェクトが本格始動した。エネルギー事業者、自動車メーカーなど民間の力を結集し、共同プロジェクトを順次実施するなど、東京の持つポテンシャルを存分に発揮し、CO2の大幅削減を実現していく。

■浅野史郎氏候補
 都のあらゆる政策の中に環境対策を融合させる。例えば、災害対策との連動では、災害時に重要な学校や病院、警察、消防関係の公共建物の耐震補強を行う際に、同時に省エネルギー改修工事、太陽電池や太陽熱、その他新エネルギーの積極的導入を行う。

■黒川紀章氏候補
 建築に起因するCO2総排出量の10%削減義務づけ。ディーゼル車排ガス規制の強化。トラック貨物から鉄道貨物への転換。駐車場のCO2の植物への吸収。屋上緑化による省エネ化。中国などのCO2排出権の買い入れ。都市緑化-など総合削減策に取り組む。

<質問>島しょ対策
 超高速旅客船「テクノスーパーライナー(TSL)」の就航がとん挫している小笠原諸島の交通問題や、噴火災害後の復興に取り組む三宅島など離島振興策について、どう取り組むのか。
■吉田万三氏候補
 小笠原諸島への交通アクセスは、島民のみなさんの声をふまえて取り組む。島しょ地域は都内と比べ、大きな税収の格差があるので、都民がどこでも一定水準の文化的な生活が送れるように振興計画をつくり、市町村総合交付金を増額し、支援を強化する。

■石原慎太郎氏候補
 島しょ地域については、自然保護と産業、観光の三位一体の振興プランを展開する。また現在、週1便の航路で25時間半を要する小笠原諸島へのアクセス改善のため、航空路の開設を目指して検討を進める。

■浅野史郎氏候補
 採算性と自然環境に配慮した航空路の開設、自然と観光産業の両立を図るエコ・ミュージアムなど、観光業や農林水産業、交通アクセス、医療といった生活課題について、地元の意見や自然環境に配慮し、島それぞれの個性を生かした地域活性化と自立的発展を図る。

■黒川紀章氏候補
 TSLをアジア諸国を結ぶ航路に育てる。TSLの経済性を高めるため貨物船(高速)として航路をネットワーク化する。コミューター空路とTSLを組み合わせた観光ルートの開拓。離島を観光と新農業の場として育てる。

都政の課題 こう取り組む(2)

<質問>木密対策 墨田区向島など環状7号沿いに木造家屋密集(木密)地域が点在する。都内11カ所の重点整備地域は、新耐震基準になった1981年以前に建った住宅が多く、道路も狭い。震災対策の課題である木密地域の問題にどう取り組むか。

■吉田万三氏
 10年以内に30%の確率で発生する東京の直下型地震対策は待ったなし。緊急対策として、毎年1万戸の木造住宅耐震化の助成(上限75万円)を行う。木密地域の改善は片手間ではなく、住民の意見を尊重し、体制を強化して重点的に事業を進める。

■石原慎太郎氏
 都はこれまでも木密地域整備促進事業など、さまざまな取り組みを進めてきた。2006年度から木造住宅に対する耐震診断・改修助成など、より一層の耐震化を進めている。今後も、建物の耐震化・不燃化や延焼遮断帯の整備に全力で取り組んでいく。

■浅野史郎氏
 それぞれの地域の実情に即し、各区市町村が最もやりやすい方策を全力で支援する。例えば、区市町村の協力を得て、木造住宅の無料耐震診断と耐震補強助成を実施。自力では改修が困難な建物所有者の住宅改修を、公共事業として実施に着手する、など。

■黒川紀章氏
 1987年に私が提言した「東京改造計画の緊急提言(2025年の国土と東京)」にあるように、延焼を防ぐために2本の環状運河を造るほか、あらゆる空地、学校を対象に常緑樹のミニフォレストを造る。耐火木造建築で伝統を守りつつ再開発を実施する。

<質問>教育格差
 都内では私立学校への進学志向が強く、塾通いや家庭教師などの需要が高まっている。親の所得の違いで子どもが受ける教育の内容に格差ができ、格差社会が固定化するという懸念が生じている。教育格差にどう対処するか。

■吉田万三氏
 東京の就学援助率は、全国平均の2倍になっており深刻だ。勝ち組負け組をつくる競争主義教育を改め、30人学級を実現する。都立学校の統廃合をやめて、定時制学校と障害児学校を増設し、希望する高校への全員入学を目指す。私学助成を拡充する。

■石原慎太郎氏
 公立学校では就学援助や授業料減免、奨学金などにより経済的理由で修学困難な児童生徒への支援を行っている。さらに就学上の経済負担の軽減などを目的に私立学校への助成も充実させている。引き続き、学ぶ意欲を持つ児童生徒に対する学習機会の確保に努める。

■浅野史郎氏
 例えば、親の資力によって子どもの進路が制限されることのないよう、奨学金制度を大幅に充実して機会の均等を図る。また、公立学校における教育の質向上、地域との協働により、放課後活動を充実し、自己学習への支援を行うなど、格差の是正に取り組む。

■黒川紀章氏
 社会の目標を経済中心主義から経済と文化の共生へ転換する。個性を重視できる少人数クラス制を導入。創造性、技術革新の力をつける教育、芸術文化に触れる教育、数学、理科と図工、音楽との組み合わせを重視。何よりも親が自信をもって家庭教育を実施する。
東京新聞 2007年3月24日 
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 動く:’07東京決戦 首都の行方、問い/選択、時代を映す(その1) 
 ◇各候補、一斉に街へ--五輪、福祉など争点に
 統一地方選の天王山となる東京都知事選が22日、告示された。知事の逮捕が相次ぎ、地域の権力者の姿勢が改めて問われる中、首都東京のトップの座を決める選挙戦は、日本の未来にも一つの指標を与える。前回選挙は5人の争いだったが、今回は十数人が立候補する乱立模様。首都決戦の流れを決めるのは、有権者の半数とも言われる無党派層だ。風はどこに吹くのか。候補者たちは、桜が開花したばかりの東京の街に走り出した。

 ●吉田万三氏
 共産党の推薦を受ける元足立区長の吉田万三氏(59)は午前9時半から、新宿駅西口で第一声を行った。主な立候補者のうち唯一、政党の全面的なバックアップを受ける。共産党の志位和夫委員長が応援に駆けつけた。
 ただ、吉田氏は無党派層も意識し、演説では「格差・貧困の解消に全力を挙げていきたい」と都民の関心の高い「福祉と医療」への取り組みを強調した。具体的な数字を挙げて石原都政を「大型開発優先、福祉切り捨て」と批判、争点の五輪招致も「無駄遣いをやめ、暮らしの安心を優先させるべきだ」と白紙撤回を求めた。

 ●石原慎太郎氏
 3選を目指す石原慎太郎氏(74)は午前10時、港区新橋の選挙事務所の出陣式で「皆さんが指揮官、参謀で私が歩兵。地をはいずり回ります」とあいさつ。その後、JR立川駅前の第一声で「思わぬ苦戦を強いられている」と支持を訴えた。
 前回は308万票を集めたが、今回は高額な海外出張や都事業への四男登用で批判を浴び、都民の人気にかげりが見える。石原氏は無党派層の支持を取り戻そうと、「再起動」をキーワードにソフトイメージを演出。
 政党色を薄めるため自民党推薦は辞退したが、初めて経験する逆風下の選挙戦で同党の支援は心強い。第一声は有力都議の地元へ出向いた。

 ●浅野史郎氏
 前宮城県知事の浅野史郎氏(59)は午前9時半過ぎ、シンボルカラーの青いスーツ姿で、目指す「知事の椅子」がある都庁第1本庁舎の前に立った。「言動も政治姿勢もごう慢そのものの石原都政。豊かでぬくもりのある東京につくり直す。福祉はお任せください」と訴え、「反・石原氏」の姿勢を鮮明にした。
 浅野氏は民主、社民両党や連合の支援を受けるが、無党派層を意識して演説の場では一線を画した。民主党の円より子都連会長が駆けつけたが壇上には上がらず、あいさつも避けた。壇上は選対本部長以外には本人と妻だけ。動員をしない「勝手連」の選挙を演出した。

 ●黒川紀章氏
 都庁第2本庁舎前で午前9時18分、建築家の黒川紀章氏(73)は「政党の支持や政策に関連して自分の思うことができない知事をつくっちゃダメ」と訴えた。既成政党を「タヌキみたいだ」と批判し、自ら提唱してきた「共生の思想」に基づく「共生新党」を旗揚げしての立候補となった。
 第一声の場にはキャンピングカーを改造した同党の広報車が登場。当初はガラス張りにするつもりが、安全性に問題があるため円形の窓にした。
 第一声の後は勝鬨橋(中央区)へ移動、自己所有のクルーザーで隅田川からアピールする。

 ●ドクター・中松氏
 発明家のドクター・中松氏(78)は午前10時20分、JR渋谷駅のハチ公前で最初の演説を行った。周辺にIT関係の企業が多く、若者が集まることから、選挙に出馬した際は常に「第一声」の場所に選ぶ。
 紺のブレザー姿の中松氏は「しがらみのない超透明な都政を」と訴え、「米国で私の自伝映画の撮影が進んでいる」と「大物」ぶりをアピール。発明品をそろえた選挙運動が話題を集めているが、今回は控えめ。

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 ◇候補者に望む--街の声
 おひざ元・都庁周辺には多くの候補者たちの第一声が響き渡った。演説を聞きに来たという渋谷区の主婦、後藤好子さん(58)は「年金など将来の生活が不安。知事選には関心があるので、投票には必ず行きます。新しい知事はいろいろな政策に手を広げるのではなく、福祉政策に重点を置いてほしい。ワンマンでなく、都民の話を広く聞いてくれる人がいい」と話した。JR新宿駅で待ち合わせをしていた大田区の大学3年生、山田敬史さん(22)は「投票に行くかはまだ決めていません。これという人がいないので、投票するなら消去法で選びます。話が分かりやすく、面白い人に知事になってほしい」。
 高層マンションや大型商業施設の建設が続く江東区豊洲。中央区の築地市場の移転先とされ、五輪招致問題とも絡み、都政への関心が高まっている。東京メトロ豊洲駅で、通勤途中の江東区の会社員、藤富千春さん(36)は「騒音や交通渋滞など問題も多い。用地の安全性が確認されれば、移転した方がいい。いまの都政はどんなことをやっているのか見えづらい。情報をオープンにしてくれる知事を選びたい」。小平市の会社員、比留間浩司さん(23)は「あえて市場を移す必要はないと思う。でもオリンピックは近くで見たい。ぜひ招致してほしい」。
 八王子市の首都大学東京は一昨年4月、石原知事の肝いりで都立の4大学が統合して誕生した。南大沢キャンパス近くを歩いていた荒川区の同大大学院生、長山清香さん(23)は「オリンピックを招致すれば道路や施設整備でお金がかかる。首都大は統合され、縮小された分野もあると聞く。もっと教育にお金をかけるべきだ。若者の教育をしっかりと考えてくれる人に知事になってほしい」と語った。
 近くでタクシーを走らせていた立川市栄町の運転手、斎藤正人さん(36)は「タクシー業界はずっと景気は低調。都政では不適切な支出も指摘される。庶民の生活が苦しい中、いかに税金の無駄遣いをなくすかが課題だ。知事には派手なパフォーマンスはいらない。実直な人に、透明性の高い政治をしてほしい」と期待を込めた。

毎日新聞 2007年3月22日 東京夕刊
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動く:’07東京決戦 首都の行方、問い/選択、時代を映す(その2) 

 東京都知事選の歴史 東京都知事選は、無党派層が多いこともあって、その時代ごとの世相を如実に反映している。
 最初の都知事選は新憲法が施行された1947年。官選知事を務めていた元内務官僚の安井誠一郎氏が社会党公認候補を破り当選。安井氏は51年、55年と社会党系候補を破って3選を果たした。
 日本経済が高度成長へと向かい始めた59年、IOC(国際オリンピック委員会)委員だった東竜太郎氏が、自民党推薦で出馬。社会党公認候補との初の自社対決を制して都知事に就任した。63年の選挙時は東京オリンピック前年だったこともあって、東氏が幅広い支持を獲得。再選を果たした。
 67年にはベトナム反戦運動が広がる中で、社会・共産推薦の憲法学者、美濃部亮吉氏が当選。全国的な革新知事ブームの火付け役となった。
 71年には保守系候補として元警視総監の秦野章氏が出馬したが、現職の美濃部氏が160万票という大差で破り、長期政権を維持していた佐藤栄作首相にも衝撃を与えた。75年には石原慎太郎氏が美濃部氏3選阻止に挑み善戦したが、及ばなかった。美濃部氏は公害条例を制定し、高齢者の公共交通費の無料化など福祉政策も積極的に進めた。その一方、都の財政は危機的な状況となった。
 79年、自民などが推薦した元自治官僚、鈴木俊一氏が社会・共産推薦の太田薫氏を36万票差で破り、12年間の革新都政に終止符が打たれた。鈴木氏は1期、2期目は人件費削減など財政の黒字化を果たしたが、3期目に入ったころからハコモノ建設が急増。赤字を再び増大させた。4選目は自民党の「鈴木おろし」により初の保守分裂選挙になった。鈴木氏は80歳の高齢にもかかわらず、自民など推薦の磯村尚徳氏を85万票差で破った。
 95年は、無党派旋風に乗った青島幸男氏が元官房副長官、石原信雄氏を大差で破って当選。政党の地盤沈下を印象づけた。さらに99年も、自民推薦の明石康氏、民主推薦の鳩山邦夫氏は共に石原慎太郎氏に大差で敗北。03年は石原氏が民主、社民支持の樋口恵子氏に200万票以上の差をつけて圧勝した。【米村耕一】

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 ■選挙で何が問われるか

 東京都知事選では何が問われるか。ジャーナリストの鳥越俊太郎さんと、バラエティー番組「行列のできる法律相談所」で人気の弁護士、丸山和也さんに聞いた。2人とも、今回の都知事選で出馬が取りざたされた。【構成・井上英介】

 ◇現職に危機感あり--ジャーナリスト、鳥越俊太郎さん(67)
 今回は前回(44・94%)より投票率が大きく上がりそうな気配で、勝敗の行方は予断を許さない。無党派層は小さなきっかけで大きく動き出す。そのきっかけを有権者は待っている。だからこそ、現職の表情に前回にはなかった危機感が読み取れる。接戦となる可能性もあり、その意味で、僕は成り行きに大きな関心を持っている。
 都政には難問が山積している。都営団地に暮らす25万世帯で65歳以上の1人暮らしは5万2000世帯に上るなど、首都の少子高齢化は深刻で、医療や介護の問題に先手を打つ必要がある。大地震を想定した防災計画もさらに緻密(ちみつ)なものを作る必要があり、災害への備えは立ち遅れている。雲をつかむような五輪誘致の是非を論じる暇はあるのだろうか。都民の見識が試される選挙だ。

 ◇父のような人物を--弁護士、丸山和也さん(61)
 石原慎太郎さんは8年間でもう持ち味を出し尽くしてしまった。浅野史郎さんはジョークの割に堅い雰囲気で、大衆性に欠ける。ともに無党派を気取るが、裏ではしっかり政党に応援を依頼し、看板と中身が違う。新風を起こすような候補は見当たらない。
 都知事はリーダーシップが必要だが、庶民から隔たっていたり、あの都庁舎のように威圧感を与えるようであってはならない。僕は今回、立候補宣言はしなかったけれど、都知事選についてはいい勉強になった。それなりの覚悟と準備があれば誰でも挑戦できるものだと思う。僕の感性では、オリンピックよりは浅草のお祭りのような全員参加型の都政を目指す。
 何よりも「都民のお父さん」と親しまれるような人物を、首都の新しい顔に選びたい。

毎日新聞 2007年3月22日 東京夕刊
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