みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

事業仕分け、終了-2/事業仕分け、舞台裏(記者座談会・中日新聞より)

2009-11-29 21:24:57 | 市民運動/市民自治/政治
休日でインターネットがつながりにくいので、
とりあえず、夕ご飯を食べてから、中日新聞をアップしました。

  

中日も「事業仕分け取材班」が、精力的に記事を出していました。

きょうの「事業仕分け取材班」の記者さんの座談会はwebにあっぷされていましたが、
【核心】のほうは、本紙のみです。
   


 事業仕分け記者座談会 傍聴者も判定、会見乱入も
2009年11月29日 中日新聞

 政府の行政刷新会議の事業仕分けが終わった。十一日からの前半戦、二十七日までの後半戦の計九日間、会場となった東京・市谷の体育館に詰め掛けた人は計二万人弱。仕分け現場の熱気は日を追うごとに高まっていった。人波にもまれながら、前代未聞の「予算削減劇」を取材した記者たちが記事に書かなかった仕分け現場の様子を語り合った。 (事業仕分け取材班)

 A 仕分け作業は体育館の一階で行われ、報道陣用の席は二階。間近で取材できないから、一階の一般傍聴席で議論を聞いた。報道関係者が荷物を置いたまま席を長時間離れると、立ち見の傍聴者が容赦なく荷物をどけて座っていた。それほど傍聴者でいつもいっぱいだった。
 B 一般の来場者は、最初は中高年が中心だったけど、仕分けブームが盛り上がるにつれ、制服姿の高校生や若いカップルも目立つようになってきた。一時間の議論が終わると、傍聴席のあちこちから「廃止で決まり」「予算縮減だ」と声が聞こえてきた。みんな仕分け人になりきっていた。国民が税金の使い方を身近な問題として考えるきっかけになったのは間違いないね。
 A 仕分け人のぶら下がり取材に、一般の傍聴者が加わる状況も常態化していた。仕分け統括の枝野幸男衆院議員の記者会見に、一般傍聴者が乱入して質問したこともあった。枝野氏はしっかり答えていたよ。
 B 傍聴用の簡易いすはすき間なく並べられ、一度座ると身動きが取れない。十時間近く議論を聞き続けていたら、エコノミークラス症候群になるかもと恐怖を覚えたくらい。それでも傍聴人は真剣に議論を聞いていた。
 C 議論が長引くことが多く、一時間の予定の昼休みは十五~二十分程度。体育館の隣、財務省関連の「お札と切手の博物館」のレストランで毎日、昼食を済ませた。レストランはにぎわっていたけど、博物館は閑散。財務省は予算を切りたがる割に、無駄の象徴みたいな施設を持ってるじゃないかと思った。

◆資料で勝った財務省
 D でも、仕分け会場で配布された資料を見て、やはり財務省は他省より有能だと思ったね。財務省の説明資料は文字が大きく、分量も一ページで、圧倒的に読みやすかった。要求側は何ページにもわたって詳細に主張しすぎ。一時間の議論だから、シンプルな説明にしないと傍聴者の頭に入らない。資料が配布された時点で、財務省の勝ちという印象だった。
 C 経済産業省の説明は、他省に比べれば上手だった。質問されると「ありがとうございます」と最初に言って、その後は立て板に水で、質問に慌てることもなかった。経産省は第二作業グループで、最後に対象になった省。順番が後になった方が、やりとりの要領がつかめて有利だった面もあるかもしれない。

◆一番人気はやはり…
 A そうだね。あの蓮舫参院議員も、前半戦で役所を責め立てる場面がテレビで繰り返し流れたせいか、後半戦では「事業の目的はみなさんがよく理解していますが」と必ず前置きを入れて、官僚側に気遣いを見せていた。それでも傍聴者からの人気は最後までダントツ。みんなこぞってカメラ付き携帯電話を向けていたね。
 D 蓮舫さんら仕分け人はともかく、財務省主計官が報道陣のインタビューに応じているのには驚いた。「僕らにとっても勉強になります」なんて控えめに答えていたけど、表情にはうれしさがにじみ出ていた。予算を削る政治イベントにまんまと便乗できたというところだろうね。
(2009.11.29 東京新聞)
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予算編成ハードル次々 16年ぶり越年?
2009年11月29日

 「国民の生活が第一」を掲げる鳩山政権の試金石となる二〇一〇年度予算の編成作業が難航している。過去最大の九十五兆円に膨らんだ概算要求の絞り込みに加え、マニフェストの政策見直し、税制改正作業など、次々とハードルが立ちはだかる。「クリスマスイブ」が恒例となっていた政府案の決定時期が例年より遅れることはほぼ確実で、越年編成も現実味を帯びてきた。 (経済部・小松田健一)



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中日の東京版である、東京新聞の<スコープ>にも、
毎日のように関連の記事がアップされていました。

<スコープ>仕分けで残りやすい事業 『環境』『子ども』は配慮
2009年11月27日 紙面から

 八日目の作業を終えた行政刷新会議の事業仕分けで、概算要求を認める判定が十四事業になった。「見直しありき」で俎上(そじょう)に載せた事業をそのまま認めるのは、異例の政治判断だ。無傷で通った事業のキーワードとして、一に「環境」、二に「子ども」が浮かんだ。 (事業仕分け取材班)
 二十六日の仕分け作業は、これまで厳しく判定してきた「基金」の新規創設を含め、環境省の四事業を立て続けに要求通り認めた。同日まで八日間で要求が通った事業を省別に見ると、環境七、国土交通三、文部科学二、防衛二。環境省が際立って多い。
 鳩山由紀夫首相は就任直後に温室効果ガスを二〇二〇年までに一九九〇年比25%削減する中期目標を国際公約した。民主、社民、国民新の与党三党の連立合意にも「地球温暖化・生物多様性などの環境外交」に取り組むことが明記された。
 もちろん環境絡みの事業でも、財務省は用意した資料に問題点や疑問点を書き連ね、「廃止」や「見直し」の判定も出ている。それでも、仕分け人からは「鳩山銘柄はちょっとやりにくい」と本音が漏れた。
 環境に関する事業の説明では、環境、経済産業両省の「政と官」の連携が目立った。
 二十六日に「要求通り」と判定された環境省の国連大学拠出金をめぐっては、田島一成環境副大臣が査定側から事業廃止の影響を説明するよう促し、事務方が「大変なことになる。国際的な非難や失望というレベルでは済まない」と訴えた。
 途上国の温暖化対策を支援する「鳩山イニシアチブ」に向けた経産省の事業では、予行演習通り、近藤洋介経産政務官が事務方の説明を援護射撃。判定は「見直し」だったが、ある仕分け人は「プレゼンテーションが上手だった。縮減幅は入れられなかった」とうなった。
 要求が通った文科省の優良児童劇巡回、環境省の子どもの健康と環境に関する全国調査は「子ども」が共通項だ。
 義務教育費の国庫負担金でも、仕分け人は見直しを求めながら削減には踏み込まず、「教員の増員」を求める意見すら出た。
 日教組出身の民主党の輿石東参院議員会長は二十六日の記者会見で、義務教育費の国庫負担について「最初から削減するわけがないと思っていた。『コンクリートから人へ』の投資だろう。当然の結果だ」と語った。
(2009年11月27日 東京新聞)
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<スコープ>規模圧縮に直結せず 対象外へ反映不可欠 各省反発、ハードル高く
2009年11月28日 紙面から

 行政刷新会議の事業仕分けは二十七日、約四百五十事業をふるいにかける作業を終えたが、財政効果は最大で一兆七千七百億円にとどまり、一般会計で九十五兆円に膨らんだ二〇一〇年度予算の概算要求の圧縮には直結しなかった。三兆円圧縮する目標を達成するには、今後の予算編成で対象外の事業にも仕分け結果を反映させる「横ぐし」を刺す作業が不可欠だ。各省の反発は強まっており、ハードルは高い。 (古田哲也)

 鳩山由紀夫首相は同日夜、事業仕分け終了を受け「数字ありきの話ではない。非常に頑張った結果になった」と記者団に述べ、現時点の圧縮額は重視しない姿勢を強調した。
 行政刷新会議は、当初から「仕分け対象は全体の15%の事業項目だから、三兆円になるはずがない」(仙谷由人行政刷新担当相)と予防線を張っていた。事業仕分けは、あくまで予算圧縮の「お手本」で、目標は全体を見渡す横ぐし作業で達成するという考えだ。
 横ぐしとは、仕分け対象外の事業項目を、仕分けと同じ視点や手法で横断的に見直すこと。刷新会議は前半終了後の十九日、見直しの視点として(1)重複事業(2)補助金交付の効率化(3)公益法人・独立行政法人の基金(4)特別会計の事業-など九項目を早々に示し、各省に対応を求めた。
 見直しを迫られた各省は、政務三役を含めて露骨な「拒絶反応」を強めている。二十七日の事業仕分けでは、経済産業省所管の財団法人がサービス産業を支援する事業が廃止と結論付けられた。官僚側は黙って退出するのが普通だが、この時の経産省は即座に「廃止されたら事業にならない」と猛反発。松下忠洋経産副大臣も「対象を絞り込んでやっていく」と官僚を擁護した。
 仕分け統括の枝野幸男衆院議員は会見で、仕分けの中で問題視した天下り法人への事業発注について「予算縮減のしわ寄せが(支援を受ける)現場に行くような、仕分けの結論と百八十度違う動きが予想される」と述べ、各省にくぎを刺した。
 鳩山内閣は、税収の落ち込みを踏まえ、一〇年度予算で赤字国債の新規発行額を前年度並みの四十四兆円に抑えながら、マニフェスト政策の実現を目指している。横ぐし作業が思うようにはかどらなければ、予算編成の骨格は破綻(はたん)する。首相としては、事業仕分けが後に「空騒ぎ」だったと言われる事態は避けたいところだろう。
(2009年11月28日 東京新聞)



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事業仕分け、終了-1/総括・事業仕分け(毎日新聞・特集より)

2009-11-29 18:04:26 | 市民運動/市民自治/政治
行政刷新会議の事業仕分けが終わり、昨日の毎日新聞は、
政治欄に、特集に、社会面に、と事業仕分けの記事が満載。

事業仕分けの間の「特集」も、毎日がいちばん充実していました。

「事業仕分け:終了 ムダ排除へ道半ば」の記事は、A3で2ページ分、
広告も一切ない、紙面いっぱい使っての力作で、縮小コピーにも入りません。

全部紹介するとこれだけで終わってしまうので、適宜、カットして紹介します。
本紙記事も、これで約半分です。

事業仕分け:終了 ムダ排除へ道半ば 「基準不明確」批判も
毎日新聞 2009年11月28日

 予算編成の一部を公開する行政刷新会議の事業仕分けが27日、終わった。10年度予算の概算要求に盛り込まれた約3000事業のうち約450事業の要・不要を9日間かけて判定。統括役の枝野幸男元民主党政調会長や蓮舫参院議員ら、仕分け人の厳しい追及にたじろぐ省庁側の様子は、インターネットでも中継され、大きな反響を呼んだ。一方、「廃止」を宣告された事業に関係する地方からは、戸惑いの声も漏れている。
 鳩山由紀夫首相が「必殺事業仕分け人」と名付けた国会議員、民間有識者らは、その名の通り、省庁間や地方と重複する事業や、天下り法人を経由している事業に対し、「廃止」宣告を次々と言い渡した。
 例えば、北海道の産業構造などを調査する国土交通省の「北海道総合開発推進調査費」(10年度概算要求で5億円)。仕分け人から「北海道庁の仕事だ」などの批判が上がり、判定結果は「自治体移管」。農林水産省の有機農業などを支援するモデル事業(計23億円)も「内容と成果が不明確」との指摘を受け、「廃止」とされた。
 一方、中小企業の商品開発や販路開拓を後押しする経済産業省の「市場志向型ハンズオン支援事業」(20億円)は3分の1程度の予算縮減に。同事業は民間企業との企画競争の結果、独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が受託してきたが、仕分け人は「天下り団体の機構が落札した結果、国費が一部、機構の管理費に充てられる『中抜き』状態になっている」と指弾した。
 予算規模が兆円単位の地方交付税や診療報酬なども仕分け対象に盛り込まれた。だが、いずれもこれまでの予算編成の際、最後まで政府・与党内の調整が難航してきた「政治銘柄」。要求官庁や地方自治体などは、仕分け対象とされたこと自体に激しく反発した。地方交付税交付金と診療報酬はともに「見直し」判定だったが、予算規模などには踏み込まず、見直しの具体策、道筋を示すことはできなかった。
 仕分け人の判定に「基準があいまい」との批判も出された。「子どもの読書活動推進事業」(文部科学省)は「地方に任せるべきだ」などの意見が出て、廃止と判定された。ところが児童参加型の演劇を公演する「優良児童劇巡回等事業」(厚生労働省)は、仕分け人の半数(6人)が予算縮減を求めたものの、取りまとめ役の菊田真紀子衆院議員の「子どもに希望を与える事業は大切」との総括で「要求通り」に。仕分け結果は今後の予算編成に大きな影響を与えるとみられるだけに、判定基準の明確化を求める声が強まりそうだ。

◇財務省主導で周到準備 冒頭説明し「刷り込み」
 「ほかの事業と重複していませんか」。「地方でも似たことをやっていますよね」。データや具体例に裏打ちされた質問、指摘を矢継ぎ早に浴びせかける仕分け人。各省庁の担当者が返答に窮する場面も見られた。その裏には、財務省提供の資料などに基づく、仕分け人の周到な予習があった。
 行政刷新会議は仕分けに先立ち、予算査定を担当する財務省主計官と、要求省庁からのヒアリングを実施。論点整理した内容をA4用紙にまとめ、仕分け人に配った。この「マニュアル」などを参考に「仕分け人は最低でも2週間、勉強した」(仙谷由人行政刷新担当相)という。
 財務省は仕分け対象事業選びにも積極的に関与。対象の447事業のうち7割は財務省案が採用された。さらに実際の仕分けで、主計官が冒頭、「効果が薄れている」などと説明し、「廃止、縮減連発」の流れを作った。
 要求官庁側は「最初に主計官が話して、イメージを刷り込んでしまうのは良くない」(原口一博総務相)など「財務省主導」への不満を強めた。ある省の政務官は「刷新会議には『主計局の下請けをするようなまねはやめた方がいい』と忠告した」と明かす。
 だが、財務省と刷新会議の利害がすべて一致しているわけではない。仕分け人は、天下り法人を通して実施されている事業を「役人OBの高額報酬に充てるため、予算が中抜きされている」と批判し、次々と廃止、縮減の判定を突きつけた。一方、財務省の仕分け候補リストには、自らの天下り先である国立印刷局はなかった。「財務省も聖域ではない」とする原口総務相の指摘を受け、藤井裕久財務相が急きょ、対象に追加するよう申し出た。
 仕分けを統括する枝野幸男元民主党政調会長は「対象事業のたたき台は財務省が作った」と認めながらも「リストになかった財務省所管の公務員宿舎整備費はわれわれが対象に選んだ。財務省と違う議論を作っている自負はある」と語る。

 ◇独立行政法人にメス 30超す基金・特会に1兆円返納要求
 官庁OBの天下り先となっている公益法人や独立行政法人にも事業仕分けのメスが入った。
 仕分け人は、独法などの抱える30を超える基金や特別会計などから1兆円以上を国庫に返納するよう求めた。基金とは、「事業が複数年度にわたる」ことなどを理由に、政府から渡された金を公益法人、独法内にため込む仕組み。民主党は政権交代前から「無駄の温床になっている」と削減に意欲を見せていた。仕分け作業でも「使い方が独法や所管官庁の裁量に任され、毎年の財務省の査定や国会のチェックも不十分」として、徹底的に基金を調べ上げた。
 「典型的な無駄の事例」とされたのが、百貨店の授乳コーナーや公演会場の託児室設置費などを助成している「こども未来財団」の基金(300億円)。12日の仕分けでは、助成内容そのものは問題視されなかったものの、いずれも厚生労働省の元局長が務める理事長、常務理事に対し、それぞれ年間1635万円、1226万円の報酬を支払っていることが批判された。
 さらに財団の事業費15億円のうち、報酬などに充てられる管理費が5億円弱に達していることも判明。「子育て支援に回るべき税金が、天下り役員の人件費に使われている」として、仕分け人は「基金を全額国庫に返し、必要額は毎年の予算で手当てすべきだ」と判定した。
 バブル期以前の高金利時代は、基金の運用益が新たな国費の投入を抑えるというメリットもあった。だが、今回全額返納を求められた独法「福祉医療機構」の基金(2787億円)の運用益は、年間39億円と国債利回り並みの少なさ。仕分け人の土居丈朗慶大教授は「基金を積んで運用益を上げるという事業モデルは破綻(はたん)している」と指摘する。
 財務省は、基金の返納分を新たな「埋蔵金」として、10年度の一般会計歳入に充てる方針。さらに、仕分け対象外の基金100件以上についても仕分け結果を参考に、返納可能か「横串(よこぐし)」を刺し、埋蔵金発掘を進めていく考えだ。
・・・・・・(略)・・・・

 ◇進化させてウミを出し切れ--片山善博・前鳥取県知事(行政刷新会議メンバー)
 仕分け人の質問に、しどろもどろになる役人が多かった。各省の審議会のように根回し済みの場では意気揚々としているのに、公開の真剣勝負では胸を張って話せない。天下り法人への補助金で官僚OBの人件費をまかなうなど、世間に説明できないことをやっているからだ。科学技術予算の縮減判定への批判も多かったが、天下りなどの不純を作り出すために、科学という純粋なものを食い物にした部分を見てほしい。
 現場で見たやり取りは常識的。細かい金額の査定は別だが、事業の目的と手法が国民のためになっているかどうかは1時間で十分判断できる。
 公開により、説明責任を果たせるかチェックすることもできた。仕分けの基準は大方の人を説得できるかどうか。できなければ廃止、縮減、見直しとなる。厳しい判定が相次いだ背景に、財務省の査定能力が落ちていることがある。財務省がやるべき査定に民間の人が加勢したのが事業仕分けだ。財務省が査定能力を取り戻すには、予算編成の公開性を高め、国民の目の活用が不可欠だということが今回、はっきりした。
 だが、積年のウミは1、2回の予算編成では出し切れない。来年以降も進化させながら事業仕分けを続けるべきだ。さらに、仕分け人のような審判を編成過程に組み込むことで、従来の概算要求基準(シーリング)のような各省一律削減方式から、ゼロベースでの査定に予算編成のあり方が転換するだろう。

 ◇危うい劇場型、政策体系を示せ--新藤宗幸・千葉大法経学部教授(行政学)
 これまでの自民党政治では、密室の予算編成であるが故に族議員や利益集団が闊歩(かっぽ)してきた。それが「仕分け」で一つ一つの事業の妥当性が公開の場で議論され、我々も自由に見ることができるようになった。自民党政治から180度転換したことを示すものだ。透明度の高い政権運営の入り口に立つ取り組みであり、評価していいと思う。
 だが、問題点も多い。まず、大衆的な支持を獲得するという意味では、民主党が批判してきた小泉政権の「劇場型政治」の再演ではないかということ。新聞、テレビを介して「官僚バッシング」を繰り広げ、それが大衆受けしている。特定のアクター(役者)に関心が集中し、周囲の人はそのアクターが言うことに「すべてOKだ」と拍手喝采(かっさい)する。
 選挙で当選した国会議員が仕分け作業をするのはまだ分かる。だが「これはいらない」などと指摘した民間の仕分け人に政治的な正当性、代表性はない。にもかかわらず、仕分け結果に縛られた予算編成しかできなくなるのは問題で、こうした政治には危うさがある。
 劇場型の危うさとして、政策や事業全体の体系が無視されてしまうことも挙げられる。例えば民主党の主張する「地域主権」の具体的な構造がどうなのか。政策体系がない中で、枝葉の事業だけを仕分けで切っている印象を受ける。国と地方のあり方、科学技術の振興などを具体的にどのような体系で進めていくのか、民主党は示すべきだろう。
・・・・・・・・(略)・・・・・
==============
 この特集は、平地修、谷川貴史、坂井隆之、寺田剛(以上、経済部)、田中成之(政治部)、伊藤絵理子(仙台支局)が担当しました。



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後半も昨日の、毎日新聞の「総括・事業仕分け」の記事。

クローズアップ2009:総括・事業仕分け(その1) 税の使途、高い関心
毎日新聞 2009年11月28日
 
 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
 政府の行政刷新会議が27日まで9日間行った事業仕分けは、予算編成の一端を初めて公開し、予算の無駄を国民の前に明らかにした。聖域視されていた独立行政法人の基金にもメスが入り、「無駄根絶」を目指す鳩山由紀夫政権の姿勢を国民にアピールした格好だ。だが判定に反発する省庁側は、年末の予算編成に向け巻き返す動きを強める。仕分けはアピールだけに終わるのか、今後は政治判断が問われることになる。

 ◇「密室」国民の前に 「廃止」連発、省庁側は不満
 「お茶の間、ホームレスの車座の談議で、税金の使われ方が話題になった。政治と行政の、病気の部分を国民が直感的に感じていたと思う。これが究極の民主主義だ」。仙谷由人行政刷新担当相は27日夜、事業仕分けの成果を誇らしげに語った。
 予算編成はこれまで、財務省と要求省庁、与党議員との間の水面下の攻防で大筋が固められていた。だが、この攻防の一端が仕分け作業として公開され、国民は査定側と要求側の生々しいやりとりを目の当たりにした。野村証券金融経済研究所の木内登英チーフエコノミストは「これまで官庁の『密室』で進められていた予算編成の一部が、国民の目に見える形になったのは画期的だ。国の事業が国民のために必要なのか、公開の場で問いただされた」と評価する。
 仕分け作業の過程で行政刷新会議は、無駄削減の基準として▽省庁間などで重複する事業▽経費の一部が天下り法人にわたる「中抜き」のケース--など9項目をまとめた。これを踏まえ仕分け作業を行った結果、「廃止」判定だけで1334億円の無駄を指摘した。
 特に厳しく追及したのが、民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)で「徹底的に見直す」と宣言した独立行政法人の業務だった。「国際協力機構(JICA)」には国内施設の統廃合なども含め運営費見直しを要請した。
 他省庁、地方と重複する事業への切り込みも目立った。「農道整備」(農林水産省、10年度概算要求で168億円)は「一般道との区別がつかない」と判断し、「廃止」と判定した。
 一方で、1時間の議論で「廃止」など重大な結論を下す仕分け人に対し、「初めに結論ありきだ」との批判も出た。農道整備事業の廃止など厳しい判定を受けた赤松広隆農相は13日の記者会見で「(仕分けの)基準をちゃんとしてほしい。その基準に従って減らすとか、残すとかそういうことなら文句はない」と語った。さらに「(仕分け)人によってやり方が違ってくるのはどうなのか」と仕分け人に矛先を向けた。
 仕分け対象は、生活関連から防衛・外交、科学技術など幅広い。赤松農相ら省庁関係者が反発する背景には「素人がどこまで正しく判断できるのか」「民間人が何の権限で国の予算を削るのか」との不満がある。
 省庁の抵抗をはねのけながら進められた仕分け作業だが、概算要求で過去最大の95兆円超に膨らんだ10年度予算を3兆円以上削り込むには至っていない。「増税せず、徹底した歳出削減で財源を捻出(ねんしゅつ)する」とした、鳩山政権の目標を実現する難しさも浮き彫りにした。【谷川貴史、小山由宇】

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クローズアップ2009:総括・事業仕分け(その2止) 予算反映、どこまで
(毎日新聞 2009年11月28日) 


毎日新聞は、今日の社説で、「事業仕分け」のシメです。

 社説:事業仕分け終了 政治主導で効果広げよ 
毎日新聞 2009年11月29日

 政治の技が試される番だ。政府の行政刷新会議のチームによる事業仕分けが全日程を終えた。のべ9日間、侃々諤々(かんかんがくがく)の作業で財源をひねり出した成果を実際の予算案にどう反映させるかは、鳩山由紀夫首相や閣僚の調整に委ねられた。
 約450事業を短期間で洗い出し、2兆円近い財源を捻出(ねんしゅつ)したことは評価できる。仕分け対象事業は来年度予算案の概算要求に盛られた項目の一部にとどまるため、政府は他の類似したケースに応用する形で、ムダ撲滅をさらに徹底しなければならない。仕分け人の提供した材料を生かし切るため、今度は政治家が知恵を絞ってほしい。
 これまで見直しを手がけにくかった外交・防衛や教育分野を中心に後半戦は議論された。在日米軍の駐留経費を日本が負担する「思いやり予算」も対象となり、日本人従業員の給与を地域事情に応じた体系に見直すよう判定した。
 「思いやり予算」を俎上(そじょう)に載せたことには日米同盟に悪影響を与えかねない、との批判もある。だが、概算要求で1900億円を超す出費だけに、国民の理解を得るうえでも透明度を高め、効率化を図る必要がある。政府は仕分け結果を封印せず、米軍や関係労組との調整に乗り出すべきである。
 ムダ削減の総額が注目された作業だが、その意義は予算の編成過程の透明化にあることを改めて指摘したい。専門性の強い科学技術分野などを仕分け対象としたことには、いまだに是非論がある。だが、あらゆる分野の予算が「なぜ必要か」の説明責任を求められる段階に移ったことを行政は自覚すべきだろう。
 政府の責任において作業を実施した以上、事業仕分けの結論は基本的に尊重すべきだ。科学技術や福祉に関する分野で異論のあるものは所管閣僚が対象を限定したうえで再検討し、首相判断に委ねるのもひとつの方法だろう。
 また、国からの補助金を天下り法人が人件費などに回しているケースや、公益法人の剰余基金など9パターンについて、行政刷新会議は予算の査定段階で仕分け対象外の類似事業にも仕分けの判定結果をあてはめることを決めた。まさに、国民が95兆円超の概算要求の絞り込みに期待した分野である。事業仕分けを突破口にムダ撲滅を深掘りしてほしい。
 後半日程でも仕分け現場に多くの傍聴人が訪れるなど、作業は国民の強い関心を呼んだ。予算の編成過程を透明化する流れはもはや止まるまい。首相がいったん表明した「今年限り」との方針を軌道修正したのは当然だ。1年限りの「ショー」で終わらせてはならない。


今日の中日新聞にも、特集記事が二つありますが、字数が上限いっぱいで入らないので、
つづいて、「事業仕分け、終了-1」で紹介します。


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11月28日(土)のつぶやき

2009-11-29 00:36:45 | 花/美しいもの
11:06 from web
本日は晴天。行楽日和で高速は渋滞のニュース。日課のP-WANのニュースのアップをすませ、黒豆を煮ながら400枚ほどたまったデジカメの紅葉の画像を整理していました。すでに落葉したと思われる賞味期限切れのものもあり(笑)。洗濯を干してから、彼岸花の球根を植え替えます。
15:54 from web
ミゾの横の彼岸花をほり上げたら、一株で200個くらいの球根がびっしり。根をほぐして大中小に分けて、木の根元に植えました。穴を掘って土をかぶせて・・・けっこう時間がかかりました。久しぶりの肉体労働で腰が痛くなりそう。
23:56 from web
●花フェスタ記念公園/秋の薔薇と紅葉、見ごろです。 http://blog.goo.ne.jp/midorinet002/e/0e8b62894bfef7cdc413451448ecf4cc
by midorinet002 on Twitter
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