みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

<記者の目>どう防ぐストーカー事件=藤沢美由紀(東京社会部)

2014-09-06 21:48:04 | ほん/新聞/ニュース
きょうはあさいちばんで新版のゲラが届いたので、
いちにち、わき目もふらずに、本の仕事をしていました。

ということで、ウイルあいちで初上映された
「何を怖れる フェミニズムを生きた女たち」もあきらめました。

盛岡では、市民オンブズマンの全国大会が開催されたので
ブログをアップしようとしたのですが、
いちにち、休んでいたパソコンの調子が良くないので、
下書きに入れておいた、一昨日の毎日新聞の<記者の目>を紹介します。

NHKの9時からのニュースで、ちょうどオンブズマン全国大会のことが流れていました。

 オンブズマン全国大会 政務活動費チェックを(NHK 9月6日)

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  Listening:<記者の目>どう防ぐストーカー事件=藤沢美由紀(東京社会部) 
2014年09月04日 毎日新聞

 ◇早急な加害者更生策を
 もし、ストーカーに狙われたら私は避難するだろうか。昨年10月、東京都三鷹市で起きたストーカー殺人事件以降取り組んでいるキャンペーン報道「SOSなくせストーカー」で、ストーカー・DV(ドメスティックバイオレンス)の防止策を考えていて何度も浮かんだ疑問だ。

 ◇避難続けるのは非現実的な対応
 この間、ストーカー被害者に「まず避難を」と呼びかける専門家の談話を度々掲載してきた。命を脅かす加害者から身を隠すため、緊急避難するのは当然だ。ただ、仕事から一定期間離れることは収入が絶たれることを意味する。学校から離れることは将来を諦めることにもつながりかねない。家族や友人も含めた日常生活を捨て、知らない土地で暮らし続けるのは、やはり非現実的だ。被害者に負担や我慢を強いる現状の対策から脱却し、治療も含めた「加害者を生まないアプローチ」について関係機関が知恵を絞るべき時期に来ている。

 「被害者を避難させ、その間に加害者に対応する」という現状の対策に無理があると考える第一の理由は、実際の避難先が極めて限られていることにある。実家や友人宅は加害者に知られている可能性が高い。昨年施行された改正ストーカー規制法は、各都道府県の婦人相談所による支援を明記し、一時避難できる公的シェルターとして位置づけた。だが、相談所の主な利用者はDV被害者だ。その性質上、通勤・通学も含めて外出は制限され、携帯電話も使えない。これでは社会生活は実質不可能になる。

 実際、厚生労働省によれば、2012年度に全国の婦人相談所で一時保護された6189人のうち、ストーカー被害者は26人だった。警察庁は来年度からホテルなどの宿泊費を全額補助する制度を設けるが、いつまでも補助を受けられるわけではないだろう。

 第二に、身を隠し続けることは非常に難しいという現実がある。12年の神奈川・逗子ストーカー殺人事件で、加害者は探偵業者に依頼して住民基本台帳の閲覧制限をかけていた被害女性の住所を割り出した。今年2月、群馬県館林市で女性が元交際相手の男に拳銃で射殺された事件でも、男は女性の家族や本人の車にGPS発信機を取り付けて居場所を特定し、事件に及んでいた。

 ◇刑罰での抑止、期待はできず
 第三に挙げたいのが、一方的な感情を抱き、同じような行為を繰り返す加害者に対しては、刑罰による抑止効果があまり期待できない点だ。逗子事件の加害者は被害女性に対する脅迫罪で執行猶予判決を受け、社会に出た約1年2カ月後に事件を起こした。大阪市で今年5月、飲食店従業員の女性を刺殺した男も、昨年6月に元妻への傷害容疑で逮捕され、執行猶予中だった。被害者を支援する団体の関係者も「同じ男について、複数の被害者が相談に来たことがある」と明かす。

 三鷹の事件以降、警察は早期の摘発を進めているが、被害者に身体的危害が及ぶ前に逮捕されたような場合は、つきまとい行為などを禁じたストーカー規制法に基づき罰金刑などが科されるだけで、加害者が比較的早く社会に戻ってしまうという矛盾したような現実もある。

 私が提案したいのは、一刻も早い加害者更生プログラムの普及と参加しやすい環境づくりだ。DV加害者の更生に取り組む横浜市のNPO「女性・人権支援センター ステップ」によると、講座を受講した加害者の2割はすぐに暴力をやめ、残りの6割も徐々に変化していくという。栗原加代美理事長は「被害者が逃げても問題の解決にはならない。通報や相談の時点で加害者が更生プログラムにつながるようなシステムが必要だ」と話す。

 任意の取り組みでは自分を変えようという意思のある人しか参加せず、凶悪事件の予防にはつながりにくいという指摘はある。しかし、現場の警察官らが加害者に接した際に、相談先を紹介するなど受講しやすい環境を整えることはすぐにでもできるはずだ。国は試行中の加害者治療の充実も含め、早期の加害者更生にもっと目を向けてほしい。

 学校現場での取り組みも重要だ。被害者にならないためのQ&Aを教えるだけではなく「加害者にさせない」ための教育にこそ力を入れるべきだ。元DV加害者を取材したときに聞いた例え話が耳を離れない。「ウサギをライオンから守るには、ライオンをどうにかする必要がある。ライオンがそのままだと、別れてもまた別のウサギを見つけ、犠牲者が増えるだけだから」 
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