みどりの一期一会

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“妊娠女性の降格 違法で無効”最高裁が初判断/働く女性の権利を明確に/マタハラを防ぐ社会に!

2014-10-25 08:17:07 | ほん/新聞/ニュース
最高裁が画期的な判決を出しました。

働く女性が妊娠を理由に降格させられたのは不当だと訴えた裁判で、
「妊娠や出産を理由とした降格は原則、違法で無効だ」
と最高裁判所は明確に判示しました。
男女雇用機会均等法に違反するという判断です。

これで、妊娠している女性に対する
「マタニティーハラスメント(マタハラ)」は少しは減るでしょう。

とはいえ、
もっとも必要なのは、最高裁の判決をうけて、
国がすみやかに法の順守を徹底し制度を整備することです。

  社説:「妊娠降格」訴訟 働く女性を守らねば  
2014年10月24日 中日新聞

 妊娠で降格人事を受けた女性の裁判だった。最高裁は男女雇用機会均等法の精神を忠実にくみ取る判断をした。働く女性が安心して出産できる社会が実現できないと、輝きなど生まれない。

 この訴訟は広島市の病院勤務の理学療法士が起こした。女性は過去に流産の経験があった。だから、妊娠したとき、身体的な負担が軽い業務への配置転換を望んだ。確かに部署が替わったものの、それまで付いていた「副主任」の肩書がなくなってしまった。

 副主任の手当は月額九千五百円あったが、それも失った。上司に抗議したが、「おなかの子のことを一番に考えて」と言われ、そのまま産休と育休をとった。復帰先には既に別の副主任がいて、肩書が戻ることはなかった。だから、この降格人事は不当だとして、女性は賠償を求めたわけだ。

 男女雇用均等法はさまざまな不利益な取り扱いを禁止している。妊娠や出産したことを理由にして、解雇することはもちろん許されない。退職の強要や降格、減給も禁止事項だ。不利益となる配置の変更も禁じている。

 だが、今回のケースは一審、二審とも女性が敗訴した。「職位の任免は人事権の行使として、使用者の広範な裁量に委ねられている」と、事業主側の裁量権を重くみる論法を使ったのだ。

 最高裁は異なった。まず、不利益な取り扱い禁止の規定について、「事業主による措置を禁止する強行規定」と解した。例外は本人が自由な意思で降格を承諾した場合などに限定した。

 かみ砕いて言えば、妊娠・出産では特別な事情がない限り、降格人事はできない-、それを確認したといえよう。均等法の精神に忠実な姿勢だ。確かに事業主の裁量が幅を利かせれば、均等法は“空文化”しかねない。

 この考え方は女性の労働環境の現状に一石を投ずるだろう。いわゆる「マタニティーハラスメント」が横行する背景があるからだ。全国の都道府県労働局への相談総件数は、ここ数年三千件超というありさまなのだ。

 勤め先から不当な仕打ちを受け、つらく悔しい思いをしているに違いない。泣き寝入りしている女性も多いのではないだろうか。

 均等法が求めるのは、子どもを産み、育てながら、仕事も続けられる世界である。もっと安心して、育児ができる職場環境づくりこそ求められよう。 


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  社説:妊娠で降格 マタハラを防ぐ社会に
毎日新聞 2014年10月24日 

 妊娠をきっかけにした配置転換で女性労働者を降格させた事業者の姿勢を、最高裁が厳しく批判した。広島市の理学療法士の女性が、勤務先の病院を訴えていた裁判だ。
 男女雇用機会均等法は、妊娠や出産を理由とした女性に対する不利益な扱いを禁じている。女性は管理職である副主任だったが、妊娠を理由とした異動の後、ポストを外された。訴訟では病院の対応が問われた。

 1、2審判決は「降格は女性の同意を得ていた」という病院の主張を認めたが、最高裁は「妊娠での降格は原則として違法」と初めて認定し、広島高裁に審理を差し戻した。

 同法は、女性労働者の健康確保や、母性尊重と職業生活の充実を理念とする。最高裁はその実現に重きをおく考え方も判決の中で示した。女性が活躍できる社会の実現を目指す以上、妥当な判断だ。子供を産み育てながら働く女性を、企業や働く人全体で支える契機としたい。

 女性は、いったんは渋々降格を了解していた。だが、判決は、降格などの不利益処分に際しては、「本人の承諾」という外形だけでなく、処分の影響について本人が事業者から適切な説明を受け十分に理解して決めたか否かが肝心だと指摘した。

 女性の場合、管理職の地位と手当を失うという重大な影響を受けるのに、育児休業から職場復帰する際に副主任に戻る可能性などについて説明を受けた形跡がなかった。最高裁はそこを重視し、女性が降格を受け入れたとは言えないとした。

 近年、「マタニティーハラスメント(マタハラ)」という言葉が使われる。働く女性が妊娠や出産を理由に不利益を受けたり、職場で肉体的、精神的な嫌がらせをされたりすることを指す。意に反した降格もマタハラだと女性は主張していた。

 連合が5月、働く女性634人を対象に行った調査では、4人に1人が「マタハラ被害を受けた」「周囲に被害者がいる」と回答した。特に非正規労働者が被害を受けやすい。

 2005年に次世代育成支援対策推進法が施行され、11年からは従業員101人以上の企業は従業員の仕事と子育ての両立を図る施策の策定と、労働局への届け出が義務づけられた。育休の取得率など個別目標も設定されるため、実際に育休を取る従業員が増えたとされる。一方で、厳しい競争環境の中で職場にゆとりがなく、カバー体制などが不十分だ。マタハラを生む背景として考えられる。

 女性の登用を阻む要因として、時間外労働や、進まない在宅勤務制度が挙げられるが、マタハラにも通じる。男女を問わず働き方を変える仕組みを企業が整備することが、女性への差別をなくすことにつながる。 


 “妊娠女性の降格 違法で無効”最高裁が初判断
2014.10.24 NHKニュース

病院で働いていた女性が妊娠を理由に降格させられたのは不当だと訴えた裁判の判決で、最高裁判所は「妊娠や出産を理由とした降格は原則、違法で無効だ」という初めての判断を示しました。
職場での「マタニティーハラスメント」が大きな問題となるなか、判決は企業側に妊娠や出産をした女性に不利益な扱いをしないよう厳格な対応を迫るものとなりました。

広島市の病院で働いていた管理職の女性は、妊娠した際に負担の軽い部署への異動を希望したところ、管理職から外されたため、法律で禁じられている妊娠を理由とした不利益な扱いに当たると主張して裁判を起こしていました。
23日の最高裁判所の判決で、第1小法廷の櫻井龍子裁判長は「妊娠や出産を理由にした降格は、女性の自由な意思に基づく承諾があったと客観的に認められる場合や、円滑な業務運営などに支障があり、降格させても女性の不利益にもならないような特別な事情がある場合を除いて原則として違法で無効だ」という初めての判断を示しました。
そのうえで、「原告の女性は降格を承諾していたとはいえない」と指摘して訴えを退けた2審に審理のやり直しを命じました。
妊娠や出産をした女性に対する職場などでの嫌がらせはマタニティーハラスメントと呼ばれ、女性が長く働き続けられる環境を整えるうえで大きな問題となっています。
こうしたなかで、最高裁が示した判決は極めて限定された場合を除き、妊娠などをした女性への不利な処遇は許されないとして企業側に厳格な対応を迫るものとなりました。

今回の裁判のケースは
今回の裁判では、妊娠した女性を降格させた人事上の対応がマタハラに当たるかどうかが争われました。
原告の女性は、勤務していた広島市の病院で管理職の副主任に就いて、患者のリハビリなどを担当していました。
6年前、妊娠したため、負担の軽い業務への変更を希望し、別の部署に異動しましたが、この際、副主任から外されたため、法律で禁じられている妊娠を理由にした不利益な扱いだと訴えていました。
1審と2審は「異動先の部署にはすでに管理職がいて副主任を新たに置く必要がなかった。女性も降格を承諾していた」という病院側の主張を認め女性の訴えを退けました。
これに対し、女性は最高裁判所に上告して、「副主任から外されることは異動後に突然、電話で伝えられただけで納得いく説明はなかった。体調を考えると十分に反論できず、承諾していたわけではない」と主張していました。

「大きな意味があり評価できる」
判決を受けて広島市で記者会見した原告の女性の代理人の下中奈美弁護士は「女性は判決文を読んで非常に喜んでいた。本人の自由な意思に基づく承諾があったと客観的に認められる場合や、降格による不利益が法の趣旨に反しない特段の事情がある場合を除き、妊娠や出産を契機に降格などの不利益な扱いをすることは違法だと、最高裁が一般的な基準を示したことは大きな意味があり評価できる」と話しました。
そのうえで、「労働局に寄せられるマタニティーハラスメントの相談件数は全国的に増えているので労働局は最高裁がきょう示した基準を今後、行政指導などの際、活用できると思う。子どもを産み、育てることとキャリアを積んで要職に就くことが両立できる社会の後押しになって欲しい。多くの女性にとって朗報だと思う」と話しました。

「諦めずに声を上げてよかった」
原告の女性は弁護士を通じ、「諦めず声を上げてよかったと喜びの気持ちです。妊娠をきっかけに受けた処分によってこれまで何度も憤り、傷つき、悔しい思いをしてきました。新しい命を宿した女性がこのような苦しみを受けることはあまりに酷で、あってはならないことだと思います。安心して子どもを産み育てながら働きがいのある仕事を続けられるようになってほしいと思います。そのためにきょうの判決が役立ってほしいとせつに願っています」とするコメントを出しました。

「政府としてしっかりと対応」
菅官房長官は午後の記者会見で、「妊娠・出産などを理由とする解雇などの不利益な取り扱いは法的に禁止されている。こうした点の周知徹底、さらには労働者に対する相談支援について、政府としては、引き続き、関係する省が連携しながら、しっかりと対応していきたい」と述べました。

「企業と労働者の双方で考える必要」
女性の働き方や人事管理などに詳しい法政大学キャリアデザイン学部の武石恵美子教授は「最高裁の判決は人事異動や降格の判断を企業が一方的にできるのではなく、本人が同意し納得しないといけないと明確に示した点が重要だ。今後は、妊娠や出産をした労働者を切り捨てるような風潮をなくし、能力を生かし、高い意欲を持って仕事に励んでもらうために何が必要か、企業と労働者の双方で考えていくことが求められる」と話しました。



 マタハラ被害者団体 最高裁判決受け会見
2014.10.24 NHKニュース 

最高裁判所が妊娠や出産を理由とした降格は原則、違法で無効だという判断を示したことを受けて、マタニティーハラスメントの被害者の女性たちが24日、日本外国特派員協会で記者会見し、「長時間労働を容認し、育児を女性だけに任せる日本人の働き方を見直すことが必要だ」と訴えました。

記者会見をしたのは、妊娠や出産を理由にした職場などでの嫌がらせ、いわゆるマタニティーハラスメントの被害者の女性たちがことし結成した「マタハラNet」という団体です。
会見で、小酒部さやか代表は「私も妊娠をきっかけに退職するよう求められた。きのうの判決をきっかけに、長時間労働を容認し、女性だけに育児を任せるといった日本人の働き方を見直すことが必要だ」と訴えました。
出席した海外のメディアからは「日本政府は女性の活躍を進めると言っているが、それには何が必要だと思うか」といった質問も出ました。
小酒部さんは「日本では妊娠を機に6割の女性が仕事を辞めていて、意に反して退職に追い込まれる女性もいる。まずは女性が働き続けられるようにすることが先ではないか」と答えていました。
この団体では今後も被害者の女性から体験を聞き取って、マタハラの実態について発信し、改善を求めていくことにしています。


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