「昨年の特許登録15%増・出願は絞込み、4.3%減」という見出し記事が目に入りました。続けてその記事を読んでみると、「特許庁は29日、2006年の特許など知的財産権の出願・登録結果を発表した。特許登録件数は前年比15%増の14万1399件だった。出願件数は3年ぶりに減少に転じ、4.3%減の40万8674件。企業が出願コストなどを削減するため特許出願案件を絞り込み、効率的な知的財産戦略を進めた結果とみられる。」とありました。「効率的な知的財産戦略を進めた結果」とありますが、実体は、その後の記事「特許庁は審査の迅速化のため、大企業を中心に質の高い特許に出願を絞るよう要請していた。」にあるように、特許庁の要望に従ったことと、後述する出願予算の削減が理由と思われます。
「出願した特許が実際に登録される割合は05年の28%から06年は34%に改善した。07年3月の審査待ち件数は約86万件あり、今後も企業に効率的な出願をするよう促す方針だ。」この記事にもあるように、特許庁のお偉いさんが私が勤務する企業の社長と会談し、「登録率の低さを改善するように」という要望をされました。
その要望は、知財部門の責任者に伝えられ、審査請求件数の削減、出願件数の見直しが実行されました。それに、予算削減の影響が重なり、更に出願件数が減少しました。
特許庁が要望する登録率の改善は、行政予算削減の要請から止むを得ないものとも思われますが、企業にとって重要なのは、有効な特許をどれだけ権利化するかです。したがって、審査で新たな先行技術文献を提示され、特許請求の範囲を限定する補正をしなければならない場合、補正により権利価値が小さくなるのであれば、権利化をしないという判断は当然行われます。この結果、登録率が低くなります。
特許出願時に完璧な先行技術調査を実施することが困難(経済的にも割りに合わない)な状況では、有効な発明が出願されない、有効な出願が取り下げられるというリスクを最小に抑えるために、現実にとり得る手段は限られてきます。
特許庁の要望は真摯に受け止めるとして、企業としての知財戦略を貫く姿勢が知財部門責任者に求められているのではないでしょうか。
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「出願した特許が実際に登録される割合は05年の28%から06年は34%に改善した。07年3月の審査待ち件数は約86万件あり、今後も企業に効率的な出願をするよう促す方針だ。」この記事にもあるように、特許庁のお偉いさんが私が勤務する企業の社長と会談し、「登録率の低さを改善するように」という要望をされました。
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特許庁が要望する登録率の改善は、行政予算削減の要請から止むを得ないものとも思われますが、企業にとって重要なのは、有効な特許をどれだけ権利化するかです。したがって、審査で新たな先行技術文献を提示され、特許請求の範囲を限定する補正をしなければならない場合、補正により権利価値が小さくなるのであれば、権利化をしないという判断は当然行われます。この結果、登録率が低くなります。
特許出願時に完璧な先行技術調査を実施することが困難(経済的にも割りに合わない)な状況では、有効な発明が出願されない、有効な出願が取り下げられるというリスクを最小に抑えるために、現実にとり得る手段は限られてきます。
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