岸 宣仁さん執筆の「知財の利回り」を読みました。
以前、ブログで書きましたが、産業空洞化により企業の業績が回復しても雇用増大に結びつかない問題点を解決できるヒントになるのではないかと思い読んでみました。
この本は、インテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)を取り上げて、その実態を探ろうとするものです。
IVのビジネスモデルは、彼らの言によると、「インベンションキャピタル(発明資本)」だそうです。
これは、ベンチャーキャピタルが企業に投資するのに対して、IVは特許やその基になる発明、あるいはアイデアに投資するものです。
当然、投資にはお金が必要になりますが、IVは、ファンドを通じて巨額の資金を調達する仕組みを作り上げたというものです。
IVの説明によると、これまでに5000億円のファンドを集めて、そのうち1000億円を投資家に還元したということです。
これが正しいとすると、利回り20%ということになり、十分にファンドとして成り立つことになりそうです。
IVに対しては、パテントトロールではないかという疑心暗鬼の声がかなりあり、その正当性については意見が分かれています。
その正当性については、ここでは言及しませんが、このビジネスモデルは興味深いものです。
IVの事業内容は、以下の3つのプロジェクトから構成されています。
①インベストメント(特許購入とライセンス)
すでに権利化された特許を買い取り、企業などにライセンスとしてロイヤリテイーを得る。
②ファクトリー(発明・特許出願)
社内のスタッフだけでなく、社外の発明家とも共同して発明を創造し、特許出願して権利化を目指す。
③ディべロップメント(発明・特許の評価と出願サポート)
大学、研究機関、企業の研究者とパートナー契約を結び、彼らの発明や特許の市場性を評価するとともに、社内の専門家が特許出願の代行をしたり、商品か戦略のアイデアを練ったりする。
②については、日本でもIVとパートナー契約を結び、発明のアイデアを提供している企業もあるそうです。
事業化せずにアイデアを提供することがビジネスとして成立するというのも興味深いものです。
IVのようなビジネスモデルと、アイデア提供集団というビジネスモデルとの双方が成立するのであれば、産業の空洞化が起こっても雇用の減少に繋がらないという利点があります。
つまり、発明の成果である物作りは、製造コストの制約を受けるため、人件費の安い発展途上国に工場が移転して、雇用が減少しますが、発明想像という知的資産を想像するビジネスは人件費の影響を受けることが少ないので、雇用減少に繋がらないからです。
このように、知的資産の活用を物作り以外に適用するビジネスモデルを構築できれば、雇用減少と言う問題を解決できるのではないかと思われます。
知的資産の活用は、発明だけでなく、ホテル・レストラン等のサービスノウハウ、料理のレシピ、アニメーション等々、日本が優位に立つと思われる知的資産は数多くあります。
これらの知的資産を活用するビジネスモデルを構築することが、これからの日本の課題ではないでしょうか。
「知財の利回り」という本に触発されて考えてみました。
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以前、ブログで書きましたが、産業空洞化により企業の業績が回復しても雇用増大に結びつかない問題点を解決できるヒントになるのではないかと思い読んでみました。
この本は、インテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)を取り上げて、その実態を探ろうとするものです。
IVのビジネスモデルは、彼らの言によると、「インベンションキャピタル(発明資本)」だそうです。
これは、ベンチャーキャピタルが企業に投資するのに対して、IVは特許やその基になる発明、あるいはアイデアに投資するものです。
当然、投資にはお金が必要になりますが、IVは、ファンドを通じて巨額の資金を調達する仕組みを作り上げたというものです。
IVの説明によると、これまでに5000億円のファンドを集めて、そのうち1000億円を投資家に還元したということです。
これが正しいとすると、利回り20%ということになり、十分にファンドとして成り立つことになりそうです。
IVに対しては、パテントトロールではないかという疑心暗鬼の声がかなりあり、その正当性については意見が分かれています。
その正当性については、ここでは言及しませんが、このビジネスモデルは興味深いものです。
IVの事業内容は、以下の3つのプロジェクトから構成されています。
①インベストメント(特許購入とライセンス)
すでに権利化された特許を買い取り、企業などにライセンスとしてロイヤリテイーを得る。
②ファクトリー(発明・特許出願)
社内のスタッフだけでなく、社外の発明家とも共同して発明を創造し、特許出願して権利化を目指す。
③ディべロップメント(発明・特許の評価と出願サポート)
大学、研究機関、企業の研究者とパートナー契約を結び、彼らの発明や特許の市場性を評価するとともに、社内の専門家が特許出願の代行をしたり、商品か戦略のアイデアを練ったりする。
②については、日本でもIVとパートナー契約を結び、発明のアイデアを提供している企業もあるそうです。
事業化せずにアイデアを提供することがビジネスとして成立するというのも興味深いものです。
IVのようなビジネスモデルと、アイデア提供集団というビジネスモデルとの双方が成立するのであれば、産業の空洞化が起こっても雇用の減少に繋がらないという利点があります。
つまり、発明の成果である物作りは、製造コストの制約を受けるため、人件費の安い発展途上国に工場が移転して、雇用が減少しますが、発明想像という知的資産を想像するビジネスは人件費の影響を受けることが少ないので、雇用減少に繋がらないからです。
このように、知的資産の活用を物作り以外に適用するビジネスモデルを構築できれば、雇用減少と言う問題を解決できるのではないかと思われます。
知的資産の活用は、発明だけでなく、ホテル・レストラン等のサービスノウハウ、料理のレシピ、アニメーション等々、日本が優位に立つと思われる知的資産は数多くあります。
これらの知的資産を活用するビジネスモデルを構築することが、これからの日本の課題ではないでしょうか。
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