九輪というのは五重塔などの頂上部、露盤上にある九つの装飾輪のことである。クリンソウの花はその九輪の装飾輪に似ていることで名づけられた。ケマンソウといい、このクリンソウといい、花が仏様の飾り物に似ているための命名である。そんなせいか、お寺の庭園でこの花を咲かせていることが多い。小林一茶は、
九輪草四五輪草でしまひけり 一茶
と茶化して、この花をユーモラスに詠んでいるが、実際クリンソウは、先端へ向かって花を開いていくが、四、五段まで咲かすのが多いようだ。サクラソウ科であるため、葉があまりにも似ているため、しばしばサクラソウと見間違えることがある。ただか花茎は一段と長く、50cmを超える。さらにその花の色は、あざやかな紅紫で、花が咲いてクリンソウであることを顕示する。
もう10年以上も前になるが、鶴岡市羽黒町の玉泉寺を訪れ、庭園のクリンソウを見たことがある。色とりどりのクリンソウの群落のみごとさに目を奪われた。最上川の船下りからバスで庄内を巡ったが、あれからゆっくりと庄内を旅したことは数えるほどしかない。
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