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五月の連休は、植物にとっても黄金の時間である。発芽、根付き、成長と、どれをとっても植物を活性化させる条件が整っている。唯一、少雨で畑の乾燥していることが欠陥である。ただ、今日沖縄に梅雨入り宣言が出されたから、この乾燥も次第に解消されていくであろう。畑へ通う道は新緑に輝き、至るところに花が咲き、小鳥たちが鳴きながら空を飛ぶ。草むらのタンポポは花が終わって、丸い綿毛がかわいい。
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ラルースというフランスの出版社の商標は、少女が一茎のタンポポの綿毛に息を吹きかけている図柄である。言葉が添えてあって、「ワタシハ吹ク風アラバ種子ヲマク」とある。この出版社は、世界を吹く風に乗せて知識の種を蒔く、という使命を表わしたものであろう。
たんぽゝのわた毛いづれへゆくべしや 細谷 源二
畑の作業は、種まきがほぼ終わり、あとはトマト、茄子、キュウリの苗を買って、明後日に植えつける。そのころには、蒔いた種の発芽も終わっている。後は施肥、水遣り、草取りをいかに根気よく続けるかが、収穫を左右する。今年も畑へ行く道は、出勤や通学路のように毎日通いなれた道になっている。
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