
気温26℃、晴れ。近くの里山に妻とワラビを採りに行く。今年の初めての試みである。春になって一番の楽しみはワラビを採りにいくことだ。数日前の雨と、気温の上昇がワラビを萌えさせていると確信のようなものがあった。毎年行っている里山には、予想通り写真のようなワラビが頭をもたげていた。
ワラビは食べるのももちろん好きだが、汗ばむような春の日差しのなかでワラビを探して採るのは、特別な意味があるように思える。万葉集に四期志貴皇子がワラビを主題にした格調高い歌を詠んでいる。
石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにきるかも 志貴皇子
岩にぶつかて水しぶきをあげる滝のほとりのさわらびが、むくむくと芽を出す春になったなあ。と作者は春になったことを感嘆している。万葉集の時代からすでにワラビは、春のシンボルとして人々の関心の的であった。春山の枯れ枝のなかから頭をもたげるのは、一本のワラビであるが、人はその生命の不思議さに感動を覚えるのだ。
今年もこうして、妻とふたり、春の山でワラビを見ることができたのは、生きていることの喜びをしっかりと心に刻む儀式のようなものである。

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