常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

新緑の湯ノ沢 岳

2014年05月10日 | 登山


この季節の登山は、もちろん新緑が魅力だが、高度を800mほど重ねる間に初夏から冬までの季節の変化を数時間のうちに体感できることだ。足元に咲くイワウチワ、目を上に転ずればムラサキヤシオの鮮やかなピンクとコブシの純白。歩を進める山道は険しく、一瞬の不注意で事故と隣り合わせいるが、圧倒的な新緑がその歩行を確保してくれる。

かく散って枝道ふかく咲く辛夷 木津 柳芽



低気圧が通過して雨が残るものの、次第に晴れ上がっていく気象の変化が山登りの感動を大きくしてくれる。沢筋に霧が這い登り新緑の木の葉の下に浮かぶコブシの花。写真では写しとることのできない美しさがある。霧がはれたあとのには、残雪と木々の緑が目に飛びこんでくる。そしてヤシオツツジの赤い色が辺りを明るくしてくれる。



湯ノ沢岳は鶴岡市の朝日町にある標高964mの低山である。晴れれば頂上から朝日連峰や月山の眺望がすばらしいが、この日は残念ながら霧のなかで、高山の花や鳥の鳴き声を楽しむことになった。すぐ近くで鳴く鶯は、春を楽しんでいるのか透明でうれしげな鳴き声である。ホ、ホ、ホと低く小刻みに鳴くのはフクロウだ。チ、チ、チッと鋭い鳴き方は、人が近づいていることへの警戒音だ。鳥もまた、仲間と鳴き声でコミュニケーションをとりながら行動していることがわかる。どこからか、キャッ、キャッと猿の鳴くような声も聞こえてきた。

7合目から上は切立った痩せ尾根で、所々に岩場がある。慎重に足場を確保しながら通りすぎた。9合目からは残雪だ。カンジキもアイゼンも使用せずに登った。上空は次第に高気圧に覆われてきたのか、暖か目の風に変わる。下山途中から急速に晴れ間が広がってくる。霧が晴れて目に飛び込んでくる新緑の美しさはたとえようがない。大満足の山行は歩行距離8.5キロ、5時間超の歩きであった。


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