山に咲くシャクナゲはこれからだが、庭に植えられたものはもう花を咲かせている。尾根道の陽だまりで、強風や寒冷に耐える力強さを感じさせる花だが、庭に咲いている花は繊細で、ちょっと貴婦人を偲ばせるような花だ。ツツジ科の植物だが、葉がつやつやとしてツバキに似ている。急峻な山道をあえぎながら登ってこの花に出会ったときなど、山の神様からいただいたご褒美のような気になる。
石楠花の優艶つくす晩鐘後 水谷 晴光
光禅寺の庭で、山に咲く花をもうひとつ見つけた。シラネアオイだ。ブナ林の縁の草地の日影を好んで群落を作って咲く。高山植物の花としては大ぶりで、紫の優雅な花である。今年も山道でこの花を見るのが楽しみである。