早春の山菜で雪のとけたあとに出てくるのはアサツキだ。まだ長く伸びない小さなうちに、茎の白い部分まで掘り採る。ネギの仲間のアサツキは、地中に根が長く伸びている。根の直前に肥大した鱗茎があり、大きくなったものはそのまま味噌をつけて生で食べる。ネギ科特有の辛みと香があって早春の香りが楽しめる。野生のものは採取して根を切る手間がかかる。おいしいものを食べるのに手間を惜しむべきではない。もう亡くなってしまったが、尾花沢の叔母さんは、このアサツキを雪のなかから掘り出して、黄色いアサツキの新芽をきれいに洗って手土産に持たせてくれたことは今も忘れられない。
以前は雪解けを待って、裏山にアサツキを掘りにいったものだが、年を取ってその気力はもうない。畑作りの仲間にもらったアサツキの種を植えたものが、畑の隅に出てくる。年に一度このアサツキを酢味噌あえにして食べるがのが、わが家の恒例になっている。新鮮なアサツキの歯ごたえは、今年も元気に春を迎えるこができたことを実感させてくれる。アサツキの酢味噌あえにアサリの剥き身を加えると、ひな祭りの祝宴に供された。
あさつきの香をなつかしみ妹が里 紫 筍