阿武隈山地の花塚山に登った。ここは川俣町と飯館村の間に立つ標高918mの山である。福島から川俣町への農村風景はのどかな春の景色である。ここの名産である桃の花が満開であった。濃いピンクの花は、桜とは違った華やかさがある。この山村の風景は、ふとかの桃花源を思い出させる。ここのところ続く好天に恵まれて、春の花塚山は以前訪れたときと変わらない。登山口の花塚の里の来て、この町と村が受けた悲惨な出来事の跡を見る。子どものために作られた遊園地は、もう利用する人もなく、遊具が使われることもなく淋しげに置かれてある。
遊園地の脇の山には、除染された跡が残っている。空き地に積まれたビニールの大きな梱包物はあるいは、捨て場のない汚染物であろうか。登山口の駐車場で、2グループの人たちに会う。地元の登山愛好家たちで、男女10人ほどのグループであった。この人たちから、山の様子を聞く。コースによって急な下り、一周すると結構長い山歩きになるなど、懇切に教えてくれる。登山口から花塚山への登山道は、緩やかな傾斜で、唐松林のなかであった。ウグイスの声を聞きながら、花崗岩の岩が所々で面白い形を見せる。
岩陰にひっそりと咲くイワウチワがいとおしく感じられる。どのような災害が起ころうとも、そこの木々や花たちは、季節の巡りとともに葉を出し、可憐な花を咲かせる。小さな花には、人間の科学や技術を越える強さがあることを感じる。沢筋にはニリンソウの群落、ヒトリシズカの気品ある花に逢うこともできた。あまりの好天で、写真は白トビしてアップできない。露出補正で撮影することを考えなくては。
花塚山から北峰へコースを取る。尾根道は木に遮られて展望がきかない。それでも所々に太平洋が見え隠れしている。黄砂のためか霞がかったような眺望だ。竪岩から急な下りとアップダウンを経て花塚の里へ降りる。歩行総距離6.1キロ。朝8時30分から、約4時間の歩行であった。参加メンバー6名、内女性2名。