きのうの寒気で蔵王山系の山々が白くなった。丘の芝生は枯れて葉の落ちた木の枝先に冬の月が出た。きのうはもっと三日月だったが、きょうはすでに半輪の月になった。畑においたキャベツとブロッコリーが、まだ成長している。
冬月の利鎌がささる森ひくし 藤原たかを
「さるほどに平家は、福原の舊里にして、一夜をぞ明かされける。をりふし秋の月は下の弓張なり。深更空夜しづかにして旅寝の床の草枕、露も涙も争ひて、たゞ物のみぞ悲しき。いつ帰るべしとも覚えねば、故入道相国の造りおき給へる福原の所々見給ふに、春は花見の岡の御所、秋は月見の浜の御所・・・」平家物語の福原落ちのくだりである。
京都を捨てて福原へと落ちていく平家一門が見たものは、下弦の三日月であった。かって栄華を誇った福原で、当時の御所を見ながら、一門の人々にはどのような思いが浮かんだのであろうか。夜空の月の光だけが、主のいない御所を照らし出していた。