今日も小春日よりである。ラジオで言っていたが、小春とは旧暦の11月の内に言うもので、もう今日からは小春と言ってはいけないらしい。だが、庭のヤツデには生き残りの蜂やハエが来て、花の蜜を漁っていた。周りの環境は小春そのもである。蔵王には雪が降って、スキー場開きが雪の上でできたいうニュースが報じられた。
生き残る蠅が集えり花八つ手 松田 茂代
スキーはスノボーに人気が移って、スキー場でシュプールを描くスキーヤーも少なくなってきた。スキーの起源は、雪の上を歩くカンジキが変化したという話もある。明治44年に雪の高田で歩兵連隊が、雪の上を滑ったのが、日本にスキーが登場した初めというから、やはり雪の上を移動する道具と考えられていたらしい。12月も中旬にさしかかると、普通に雪の景色が恋しくなる。伊藤整の詩「雪夜」が懐かしい。
あゝ雪のあらしだ。
家々はその中に盲目になり 身を伏せて
埋もれてゐる。
この恐ろしい夜でも
そっと窓の雪を叩いて外を覗いてごらん。
あの吹雪が
木々に唸って 狂って
一しきり去った後を
気づかれないように覗いてごらん。
雪明りだよ。
案外明るくて
もう道なんか無くなってゐるが
しづかな青い雪明りだよ。
1920年から1926年までの伊藤整の詩集「雪明りの路」に入っているものである。整が20歳前に作った詩である。海辺の小樽は、吹雪く厳しい冬がやってくる。そんな雪の風景が似合う詩人である。