常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

春の七草

2019年04月09日 | 日記

芹、薺、御形、はこべら、仏の座、すずな、すずしろ。春の七草である。子供のころ、七草の名を覚えようとして暗唱したものだ。しかし御形がははこぐさであることを知る由もなく、仏の座がタラビコと呼ばれる早春の草であることは、図鑑で調べるだけで、今日に至るまで実物を見たことさえない。まして、すずな、すずしろがかぶと大根であることを知ったのは、ずっと長じてのことである。このうちで、一番早く花を咲かせるのは薺で、一番遅いのが芹で、この花が咲くころにはもう初夏になっている。陽暦で3月と5月、その開花の時期にふた月のもの差がある。

よくみれば薺花さく垣ねかな 芭蕉

薺は本来、陽当りのよい平地好んで繁殖する。昔、草屋根にも咲いたので、ペンペン草の生える屋根は、荒廃したあばら家を意味していた。垣根には、むしろハコベのような日陰の草がふさわしいが、芭蕉が詠んだのは、こんなところにも、という驚きを現した句である。其角が編んだ「続虚栗」には、この句に

うすらひやわづかに咲る芹の花 其角

にこの句を添えているのは、芭蕉の驚きの向こうを張ったものであろう。

春の七草は、正月7日に七草粥を食べる、ととして今に伝えられているが、春の野で摘めるようになるのは、新芽が萌えはじめるこの季節である。

 

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