今日の桜
突然の強風に満開の桜が大きく揺れている。しかし花はまだ散る様子はない。散り始めるのは花の芯の部分が赤くなってからと聞いた。
童謡に「つくし誰の子 スギナの子」と歌われている。子供たちが戸外で遊んでいたころは、広場の身近な存在であった。これが食用に供されるということを知ったのは、すっかり大人になってからである。もうかなり以前、20年も前のことだが、関西から親せきの友人が遊びにきたことがあった。山菜というものが珍しく、山でコシアブラを採って、天ぷらとお浸しで供したところ珍重されて、大喜びされたことがあった。そのとき、土筆が話題になった。関西では、誰もが土筆に目がないらしく、春になって土筆が出るとたちまち採り尽くされてしまう、と話されていた。
旅館に泊まってて、最上川の船下りに行くと、待合にいく広場に一面に土筆が出ていた。関西の人達は、船の出発時間を忘れて土筆採りに夢中になった。調理法を聞くとハカマを取って、3等分くらいに切って、水にとって一晩あく抜きしたものを醤油、味醂、砂糖、みりんを適量に汁けがなくまに詰めるとのこと。簡単なので、作ってみると、これが意外においしい。それから春には一度は食べたものだが、しばらく続けたがそのうちに忘れてしまった。食べ物とは、子供のころに身につけたものが、生涯のものになるというが、その通りである。
くれなゐの梅散るなべに故郷に つくしつみにし春し思ほゆ 正岡子規
この歌に詠まれている土筆摘みも、夕餉の食卓にのせるために、子どもたちが摘んだものであろう。先端の穂のような部分は花で、ハカマは葉が変形したものだ。一本の土筆にはハカマが二つ付いているので、手で取るのに意外と手間取る。これは考える人がいるもので、ハカマの根本をハサミで切り、ハカマをづらせば簡単に取れると教える人がいた。