常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

花筏

2019年04月24日 | 日記

 桜は蕾から、開花、満開そして散りゆくまで多様な美しさを見せてくれる。散った花びらが、水に浮かぶのを、しゃれて花筏というが、究極の美であるといえる。鮭を一尾、刺身やルイベ、塩鮭、干鮭、あら汁と一尾を食べ尽くす趣に似ている。その花筏にしても、風が吹き花吹雪の中や、雨のなか、そして早朝とで、それぞれの趣きがある。こうした花の鑑賞の仕方、鮭の賞味の仕方が、日本人の繊細な情趣を育んできたような気がする。

花は散りその色となく眺むれば むなしき空に春雨ぞ降る 式子内親王

古今和歌集で女流歌人の白眉と評される式子内親王の歌である。式子は後白川天皇の第三皇女で、長く加茂の齋院の地位にあった。うす暗い庵室のなかの孤独と忍従の生活は、その内面へと自己の思いを沈殿させていった。皇女の歌は忍ぶ恋に、その真髄を表出している。

暁のゆふつげ鳥ぞあはれなるながきねぶりおもふ枕に 式子内親王 

                                                                                

                                           


 

 

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