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昨日、飯田地区の瀧山登山会。23名の人が参加した。この会の歴史は古い。私は40周年の記念登山に参加してから4回目になる。昨日の雨はあがり、予報には晴れマークもついた。だが、見上げる瀧山は、すっぽりと雲に覆われている。飯田公民館をマイクロバスで6時出発。登山口は西蔵王の放牧場である。バスに乗ること15分、登山口にバスが着く。そこで靴を履き替え、嗽場へ向かう。放牧場には、放牧されたばかりの牛たちが、朝の草を食む姿が見えた。牧場に残されたオオヤマザクラやどっしりと根を張った大木が目をひく。放牧のために植えた牧草の中の所々に樹を残したためであろうか、太くたくましい名木の姿である。加えて、蔵王山噴火で吹き飛ばされてきた、巨大な石が所々に見えている。自然の力の巨大さを物語っている。
嗽場から姥神コースを取る。登山道の左脇には牛たちを遮るバラ線が張り巡らされている。そこから、ブナを含む雑木林だが、今朝は霧に包まれて幻想的である。
山友会は同じメンバーで気ごころが知れていて、人間関係で緊張することはないが、年一回の登山会では初めてお会いする方が多い。4回目ともなると、顔見知りの方も少しづつ増えてきた。昨年のブログを見ると山中の静寂さが強調されていたが、今年は春ゼミの蝉しぐれで、人の会話をかき消すような大音響である。土から這い出たばかりの蝉が、まだ飛ぶ力もなく、木の葉の裏にしがみついている。体長2㌢ほど、こんな小さな体で、どこから大きな鳴き声を出すのか不思議だ。手にとって腹のあたりに触れると、ジ、ジーと音を出す。
やがて尾根道にある姥神のところに着く。姥神は三途の川で、死者に着替えをさせて着ていた着物を川に流し、その浮き沈みで、地獄へ行くか極楽へ行くを判断する役目を果たしていた。そんな話をしながら、いよいよ急坂の登りにとりかかる。山の道は何度歩いても新しい発見がある。1200mを越えたあたりから、春に咲くイワカガミが可憐な花を咲かせている。このあたりでは、雪がとけて間がないことを教えてくれる。
深い霧を背景に、シルエットのような女性の姿が現れた。スタイルも身につけた山の服も見事な若い女性だ。聞けば仙台からここの一人で登ったという。思わず、「かっこ良かったよ」と声をかけた。深い霧、三途の川、イワカガミ、そしてめったに見かけない若い女性。山の楽しさは極まっていく。
少しづつ霧が晴れてくる。見晴らしのよいところで、ベールを剥ぐように美しい新緑が現れる。足元は昨夜の雨でぬれてはいたが思ったほどには滑らない。長い休憩、要所、要所での記念撮影。それでも、10時過ぎには頂上に着く。そこだけが霧が晴れ、強い陽ざしがさしている。ここで、冒頭の蝉しぐれ動画を撮った。ツツジの赤、新緑。霧が上がって、次第にはっきりとしてくる蔵王の連山。
この会のもう一つの楽しみは、蔵王温泉「かわらや」で行う懇親会だ。メインは採れたての笹竹に鯖缶で出汁をとるタケノコ汁だ。山菜の天ぷら、焼き肉。そして風呂上りのビール。持参した地酒も冷えていて。ワイワイと盛り上がる話に、つい飲み過ぎるのも人情だ。今年も出会った新しい山友達と、フエイスブックの友達となって帰路に就いた。