マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

野遊び⑦下見in矢田丘陵+矢田山遊びの森

2015年08月17日 11時06分09秒 | 自然観察会
久しぶりに野遊びに参加できそうだ。

7月から10月までは行事取材と重なることが多く不参加が続いている。

この日は22日に行われる自然観察会の下見。

たまたま何もないゆっくりする休日日。

下見会に寄せてもらった。

コースは大和民俗公園から滝寺廃寺・矢田山遊びの森・東明寺を目指す秋の観察会。

本番に際して何を観察してもらうか探してみる。

動態保存された民家を拝見する。



茅葺民家もあれば吉野集落民家もある。

民家を拝見した向こうに巨木のメタセコイアの葉が揺らいでいた。



特徴あるギザギザ葉が光り輝いていた。

公園にあった実はトベラ。



赤い実が弾けていた。



ナツメの実も赤く熟していた。

野の鳥が鳴いていた。

ちょっとこい、ちょっとこいと呼んでいるコジュケイやキチキチと叫ぶモズ。

遠くではホオジロも鳴いていた。

双眼鏡を持ち合せていないこの日。

肉眼であったがカシラダカが枝に留っていた。

矢田丘陵はとても寒かったが、ダウンジャケットを着こんできたので身体はほっかほか。

野山の自然観察会だったが思わず「干した」景観を撮ってしまう。



大和民俗公園から望んだ矢田丘陵のイネカケやススキがある。

遠目なので判り難いが稲穂の天日干しでなく藁干しだと思う。

ついつい民家に干してあった吊るし柿もシャッターを押してしまう。



吊るし柿をされていた家は3軒もあった。

それぞれの家の吊り方。

数も違うし並べ方も、である。

先に拝見した家では直列下ろし。

帰路に拝見した家では水平だった。

大和民俗公園を抜けて矢田丘陵を探索する。

この日は冷たい風が吹いていた。

大きな樹木の枯れた葉がすっとんでいく。

野の花は、どれもこれも強い風に煽られて揺れが激しくブレブレになったアキノキリンソウやツリガネニンジン。

そこらじゅうにあったのはツリガネニンジン。

どれもこれも強い風に煽られて揺れが激しい。

昨夜はどしゃぶりの雨だった。

屋根を叩き付ける音は激しかった。

朝ともなれば晴れていたが、冷たい風が吹く。

セーターを着たくなるような寒さだ。

気温は前日より4度も下がって14度であるが、体感温度はそれ以下だ。

風を防ぐにはジャンパーどころではない。

そう思って防寒ダウンジャケットを着こんでいた強風の日。



ススキは風に対抗するかのようにすくっと立つ。

大きな樹木の枯れた葉がすっとんでいく。



背丈が小さいタムラソウは風にも負けずに咲いていた。

近くにあるかと探してみたセンブリ。



草刈りはまだだったのでほっとする。

なんせ寒い日。

大陸からやってきた寒気団の関係で12月下旬並みの気温になった。

いつもの場所に「きけん イノシシ注意」の立て看板がある。



鉄製のオリであるが不在であった。

近くの田畑はイノシシアラシ。



どこもかしこも荒らした足跡が見られる。



リンドウも咲いていた田園にはフユノハナワラビもあった。



メジロも鳴いていた。

そういえば数日前に庭に飛んできたメジロが囀っていた。

ここからは暗がりに入る。

いつも見つかるツチグリが見当たらない山道。

今年はどうなっているのだろうか。

暗がりに入る。

花後のコクランは葉の形で判る。

10株ぐらいが見つかったが、減少傾向にあるようだ。

そこには朽ちた木に大き目のキノコがあった。



白い塊のようであるが何のキノコか判らない。

シメジの塊だろうか。

谷川を遡る。

とはいっても川でなく緩やかな山道だ。

倒木で道が塞がれていた。

根っこがむき出しだ。

その辺りに密生していた白いキノコ。



まぎれもない自然のシメジだ。

腐敗している状態のシメジもある。



倒木の木はおそらくシラカシであろう。

さらに登る道無き道。

急な坂道を登っていくうちに汗がでる。

途中に落ちていたアケビ。

ここら辺りは落下したアケビが多い。



写真を撮ったがまるでサツマイモのようだ。

ようやく着いた地は滝寺廃寺。

磨崖仏は県指定の史跡である。

もう少し登って車道に出る。

道路沿いにある植物も観察する。



赤い実をつけたヒヨドリジョウゴ。

名前にヒヨドリが付いているが、ヒヨドリも食べない有毒性をもつ実。

生薬として利用されている。



黄色くなったヤマノイモがたくさんあったがムカゴは少ない。

今年は不作のようだとグッチ先生が云う。

矢田丘陵では珍しくなったツルリンドウ。



赤い実が残っていた。

その付近にはヤシャブシの実が落ちていた。

高木のヤシャブシは強風に煽られて枝ごと実を落としていた。

これより矢田山遊びの森に入る。

今では矢田山遊びの森の名称であるが、かつては子供の森と呼ばれていた。

今でも通じるのでそう呼んでいる。



入り口辺りにあったムラサキシキブ。

実の色は紫色。

判りやすい色だ。



傍にはウメモドキの赤い実もある。

葉の裏毛がほんわかしている。



もう少し歩けばシュンランの株があった。

ハイカーも通る道だけに花が咲いていたら抜き取られてしまうかもしれない。

イノシシアラシはここにもある。

登ったり下ったり、駆け巡ったイノシシ道だが活動は夜間。

昼間はどこに居るのだろうか。

もう少し歩けばすべての葉が枯れていた高木があった。

ナラタケ菌にやられた木はいずれ倒木するであろう。

歩く人に突然やってくる危険状態。

状況は子ども交流館の職員も掴んでいたが、対応は早いうちが良かろう。

本番の観察会ではここで食事を考えている。

職員さんに利用させていただくことを伝えて再び出発する下見。

いつもならたくさんの実をつけているスダジイに実がない。

まったくないのである。

花が咲いた様子もない。

不作の年は翌年も続くのだ。

原っぱにあったゲンノショウコ。

花後の形が面白い。



パチンと弾けて飛んだ実の跡。

これをミコシと呼ぶそうだ。

なぜにミコシなのか。

神輿の屋根にある飾りと似ているからだ。

飾りは鳳輦(ほうれん)。

鳳凰の飾りをつけた神輿は天子の車を意味するそうだ。

山道を下る。

いつも見つかるツチグリが見当たらない。

今年はどうなっているのだろうか。

見つかるのはイノシシの足跡。

イノシシは偶蹄目。



前の蹄が2本で後ろは2本だ。

見ての通りこれは前蹄である。

登ったり下ったり、駆け巡ったイノシシ道だが活動は夜間。

昼間はどこに居るのだろうか。



今年はとにかく多い。

多いというよりもさらに被害が広がっているように思えたイノシシアラシ。

矢田山遊びの森手前の池下にも広がっている。

近くでソウシチョウの鳴き声が聞こえた。

外来の野鳥だが各地で繁殖していると云う。

さらに下れば独特の色のキノコがあった。



色は銅が錆びた色。

緑青(ろくしょう)である。



その色とよく似ていることから名付けられたロクショウタケは別称で正式にはハツタケである。

ここら辺りはたくさんあった。

強く吹いていた風はややおさまった。



常緑樹に光が当たった森の姿。

大木に寄り添うように絡みつく。

紅葉でもないがなぜか感動する色合いだ。



しばらくすれば燃えるような紅葉色に染まったお寺にでる。

真言宗派の鍋蔵山東明寺である。



23日は大般若経の転読法要をされる。

案内状をいただいたが今年は生憎の曽爾村行事取材で失礼する。

お声をかけさせてもらった住職は忙しい。

法要するにあたって参列される本堂の清掃。

社寺所もそうだし雑草の刈りこみ作業が待っている。

落葉もあるぐらいに今年の紅葉は例年より早い。

法要までもつだろうかと心配されていた。



光と影のぐあいで緑色も映える。

美しい佇まいに見惚れる。



転読法要の前日は観察会の本番日。

一時休憩させていただくことを伝えて下ったが、境内ではいたるところでイノシシ荒らし。

穴ぼこは尋常とも思える状態になっていた。



染まりつつあるビナンカズラがある。



僅かだがここにもリンドウが咲いていた。

もう少し下った地に花後のキチジョウソウがあった。

暗がりだったのでブレブレである。

要ストロボだと認識した。

稲刈りを終えた田んぼにマメを干してあった。



ハダに架けたマメはおそらくアゼマメ。

何年か前にアゼマメ状況を見たことがある地区だ。

さらに下った畑道。

青空の下で天日干しをしていたマメ干し景観。

「干す」テーマに記録しておく。

もう少し下った三の矢塚付近。

稲藁を干していた。

三本足に組んだ竹に藁を干す。



県内ではこれを「ススキ」と呼んでいる地域が多いが、それぞれ形が違う。

ここまで来れば出発地はもうすぐだ。



帰路に見つけた赤い実はトキリマメ。

一般的にはタンキリマメと呼ぶ人が多い。

さらに見つけたもう少し時期がくれば真っ赤になるヤブコウジ。



数は少ない。



実とは言い難い栽培しているハヤトウリもあった。

前月に桜井市の山間・民家でいただいたハヤトウリは漬物にした。

これは美味かった。

植え付けはこれを丸ごと植える。

はびこるぐらいに育つそうだ。



ツルノコの名があるカキ。

青空の下の実成りである。

この日の下見に拝見した吊るし柿。

されている家は3軒もあった。

それぞれの家に吊り方。

数も違うし並べ方も、である。

先に拝見した家では直列下ろし。



帰路に拝見した家では水平だった。

生活道路に黒い実が落ちていた。



見上げてみればムクロジだ。

左にあるのはセッケン(石鹸)の実。

英名ではソーブナッツ。

かつては洗濯に使っていた。

ちなみに中に入っていた黒い実は羽根突き羽子板の羽の丸い玉(ツクバネの実の場合もある)。



再び見上げてムクロジの木を再認識する。

そういや女の子がしていた正月の羽根突きはまったく見ない。

いつごろ消えたのだろうか。



最後に見かけた田園を染めるススキ群。

出発地点にあったがススキ原ではない。

草原のように見える穂の波はヨシ・アシ類。

アシは「葦」。

「悪しき」の呼び名は不敵という考えもあって「良し」になったそうな。

古くはエジプト文明。

こぎ出した船は葦を編んで作った「葦船」である。

決して「ヨシ船」とは云わない。

琵琶湖畔に生えている「葦」は「ヨシ」と呼んでいる。

それで作った船は「ヨシ舟」の名がある。



手前は大きなセイタカヨシ。

青々とした葉があるから判りやすい。

それより低いのがヨシ・アシである。

広がる傍にはオギもあった。



穂はほんわかこんもり。

それがススキに見えたのだ。

強い風に煽られてやや斜めになった穂の波を見届けて出発地点に戻った万歩計。

およそ8400歩であった。

(H26.11.13 EOS40D撮影)

一週間後の菩提山町周辺

2014年12月26日 07時19分44秒 | 自然観察会
ツチアケビとササユリのその後の様子を知りたくて再たたびやってきた正暦寺周辺。

本来の目的は「無風庵」におられるボランティアガイドのNさんを訪ねることだ。

N婦人は正暦寺の僧侶でもある。

4月に行われた薬師会式でお勤め、午後は修験者の身となりホラ貝を吹いていたと話す。

預かっていた正暦寺で行われる正月修正会の史料は行事取材に役立つ。

そう思ってお借りしていた。

史料を返却して山へ向かう道を辿る二人。

ツチアケビは見事に咲いていた。

開いていた花は3輪。

この日の15日に開花したもようである。

寺世話の人が誤って雑草刈りでもしてしまわないように咲いていたツチアケビ周りに印の棒を立てていた。



8日の観察会のときには咲いていなかったクチナシグサ。

わずかであるが咲いていた。

雑草刈りはしていなかったから助かった。



イチヤクソウも全開に咲いていた。

そこには糸を垂らしたムシがいたが、クモではないように思える。



もう少し歩けばいつもの場にもあったツチアケビ。

まだまだツボミの状態である。

水田を越えて林にあったササユリを探してみたが、見つからない。

背丈があったササユリは葉っぱも見つからない。

たぶんに盗られたのでは、と思った。



林内はヤマトテンナンショウがあちこちに見られる。

丁度、開花時期のようだ。



付近には花後のムロウテンナンショウもあった。

N婦人の話しによればムロウテンナンショウ→ヤマトテンナンショウの順で咲くと云っていた。



後ろ向きのテンナンショウはどっちだろうか。



下見の際には気がつかなかった小さなササユリ。

たぶんそうだと思うササユリには蕾もない。

復路で見つけたササユリの花は2輪。



林の中で育っていた。

前にある笹が遮っているので見つからず、盗られなかったようだ。

そっとしてほしいササユリ。

ここなら盗られることはないと思うこの場は平成23年6月13日の観察会でも拝見した処だ。

ほぼ同じ期日に咲くのであろう。



高木にあった巣穴。

コゲラかアオゲラか。

正体を待っていたが現れなかった。

(H26. 6.15 SB932SH撮影)

野遊び③in菩提山町周辺

2014年12月18日 09時46分52秒 | 自然観察会
正暦寺がある地は奈良市菩提山町。

一条天皇の勅命を受けて藤原兼家の子になる兼俊僧正によって正暦三年(992)に創建された。

標高はおよそ200m。

天正年間に書かれた菩提山正暦寺古図写に当時の正暦寺龍華樹院全景が描かれている。

周辺の山々に鎮座する神社もあるようだが名称は判読できない。

手前にある寺駐車場より東に向かって道がある。

峠を越えれば田原の里の矢田原に繋がる道である。

登り坂を巡るこの日の自然観察会。

参加される保護者らよりもスタッフの方が多くなってきたようである。

一週間前にもやってきた当地。

相変わらず多くのテングチョウが舞っている。

追いかける子供たちは捕虫網を手にして駆けずり回っていた。

参加された親子さんは10人。スタッフは9人だ。

いずれも自家用車に乗ってやってきた。

寺駐車場は参拝者用。

もしかと思って登った処にある「庵」に寄った。

その場におられた婦人は知人のNさん。

大和郡山の観光ボランティアガイドの一員であるとともに正暦寺で寺奉仕をされている。

昨年もお願いした上の駐車場の借用願い。

事情を話して、すぐさま住職に電話してくださって一時的な使用承諾を得た。

ありがたいことである。

観察を始める前にはいつもの通りに注意事項を伝える。

うめちゃん先生の話しを聞く子供たちも一年、一年ごとに大きくなってきた。



トイレの前のシャラの木はまだ蕾でしたね。

もう一週間もすれば開花することであろう。

その付近にいたガ。



なんとなくヒメシャクガの仲間のように思えるのだが、名前は判らない。

ヤマボウシの葉にいたケムシ。

金色模様の筋がある。



特に面白かったのが顔だ。

顔といえばいいのか、頭なのか。

黒い二本の文様・図柄が実にユニークだ。

「ハ」の字型が特徴であるマイマイガの幼虫。

いったい眼はどこなのだろうか。



ウスタビガの繭があった。

小さなタマゴがついているが、空っぽの状態である。

ヤマボウシの葉の裏にあったが、よく見つけられたものだと感心する。

ウグイスやイカルの囀りが聞こえる。

天気予報では曇り空。

午後には雨が降る予報を覆すこの日は晴天。

気持ち良いほどの日になったが、気温は30度。

タオルを持ってくれば・・と思った。

この年のテングチョウは多い。

幼虫はエノキの葉を食べる。

下見のときに拝見した樹木。

葉っぱが一枚もないほどに食べていた。

食べ尽くしたテングチョウはサナギで過ごして成虫になって飛び出す。

虫が多いということは野の鳥も多いということだ。

エノキは秋ともなれば黒茶色の実になる。

甘くて美味しいと先生は話すが、未だに見たことがない。

テイカカズラのカザグルマを口で吹いて回す。



ここら辺りにはたくさん咲いているテイカカズラ。

笹の先を摘んでプロペラの芯にする。



ふっと息を吹きかける。

くるくる回るカザグルマ。

うまく回せたかな。

護岸化されていない川にはサワガニがいる。



裏を見れば♂ということだ。

オオルリもサンコウチョウも早朝には鳴いていたと話すNさん。

野の鳥や花に囲まれて「庵」で過ごしている。



今年も拝見したハナショウブ。

色鮮やかに田んぼの向こうで咲いていた。



ホタルブクロの向こうに「ガ」が飛んできたが、どこにおるやらさっぱり判らない。



花が咲く園にはヒラヒラ飛んできてとまってくれたモンシロチョウもいる。



これはヒメウラナミジャノメのように見えるが、どうなんだろうか。

園には風に揺られる白いフワフワ虫がいる。



オオデマリを食用にしているババシロアシマルハバチである。

フワフワは何の役目をしているのだろうか。

それよりもう少し上に登った。



道中で初めて発見したツチアケビ。

これまで何度か当地で観察をしてきたが、この場にあったのは初めてだ。

ツチアケビはラン科植物。

蕾の状態であれば不思議な形だと思ってしまう。

一般的には湿った地に生息するのだが、道中はどちらかと云えば明るい乾燥地。

ツチアケビはナラタケに共生する腐生植物だが、付近にはナラの木は見られない。

ラン菌がここまで飛んできたのか。

翌年もここに咲いていれば良いのだが、消滅することもあるようだ。

一週間、10日後には花開きを、8月末ぐらいには細長いウインナ姿を拝見したいと思った。

ふわっと飛んできた虫を捕まえた子供さん。



手のひらでひっくり返るか、コメツキムシ。じっと待っていたら、むっくり起き上がった。

樹液を吸っていた。



これってツマグロヒョウモン?ではなく、とてもよく似ているサトキマダラだった。



イチヤクソウの開花を見届けて途中下車した観察会。

その後にオオルリをじっくり拝見したらしい。

途中下車の訳は県立民俗博物館の「祭りの用具の語り」があるからだ。

本人が話すだから、遅れてはなるまいと思って下車した。

この場で別れたNさんが聴講に来てくださっていた。

ありがたいことに仲間の観光ボランティアガイドと連れもってだ。

「語り」には正月初めの行事である矢田寺の「修正会」も話した。

ほぼ同じ様相であると話すNさん。

いずれは住職に了解をいただいて正暦寺の修正会を取材したいものである。

(H26. 6. 8 EOS40D撮影)

野遊び③下見オプションの北椿尾

2014年12月16日 10時10分21秒 | 自然観察会
正暦寺近辺の下見を終えたうめちゃん先生、hanasukiさんとともにもう一カ所を探索する地は奈良市北椿尾町。

当地で行われているカンセンギョ、とんどに続いて神社オコナイなどの村の行事を取材させていただいた。

カンセンギョに参る人たちは上・中の地区の稲荷講のみなさん。

上の地区の方々が向かう地はサガシオとも呼ぶ城山。

椿尾山城跡がある。

とんど風景の写真を撮らせていただいたお礼に写真をさしあげた。

自然観察する地域は集落を抜けて山道に入った処だ。

これより向こう側は軽トラなどの4輪駆動でなければ行くこともできない。

徒歩で登った城山・・・とまでは行かない。

ときおり城山を目指す人と遭遇すると話していた男性。

ぐるりと遠回りして下ってくる。

山道では対面通行は不可能。

出合う車と遭遇すれば難儀する。

私たちは安全にということで登った山歩き。

どこからかキョロリ・キョロリ・カッカッと聞こえたクロツグミの鳴き声が聞こえる。

シジュウカラ、イカル、ホトトギス、キビタキ・・・。

なんと、サンコウチョウが鳴く声が近くで聞こえた。

こういう場合は動かない。

じっと待つのである。

鳴いた方角に目を凝らした。

立ち木の杉林。僅かに動いた鳥がいた。

それがサンコウチョウ。

眼の縁周りはブルー。

姿も青く、長い尻尾が目立つ。

双眼鏡で現認した。

オオルリやカケスもいる。

鳥の鳴き声に混ざってタゴガエルの声も聞こえる。



その場にはテンナンショウの花が咲いていた。

テンナンショウにはいくつかの種類がある。

これは何であろうか。



近くにはシロタツナミソウが咲いていた。

生息は僅かである。

少し歩いた、といっても山の道。

いくら歩いたのか判らなくなる。

ここにもテンナンショウが咲いていた。



三株もあったが、さきほど見たテンナンショウと比べればやや細い。

同じ種類なのか、見分けが難しい。



ハルジオンは群生だ。



正暦寺近辺でもみたキンイロジョウカイもいた。

ジョウカイボンよりも大きくて、足・触角の色が濃いように思える。



ノビルは花後状態のネギボウズ姿だ。

野性種ではなく、かつて畑作地であった名残である。



それより登った地に咲いていたシライトソウの花はブラシ状に見えた。

花茎にある葉は細葉だが、下部の根生葉はロゼット状態である。

初めて拝見した自生のシライトソウに感動する。



登山道にある野の草にアマドコロが多く見られる。

花は葉の下に垂れ下がるように咲くので下から見上げないと撮れない。



ここにもあったギンリョウソウ。

立ち上がる寸前だ。

矢田山より2週間以上も遅い咲き始め。

北椿尾の城山の標高は522mであるが、西にある矢田山の頂池は284mだ。

その差は238mもある。

標高の差は気温の差。冬場は寒く、雪は積もりやすいが、夏場は涼しい。

自然界の植物が敏感に感じる標高差を思い知った。

木漏れ日の山道を歩いて下山したとたんに暑さを感じるこの日は30.1度。

自然を体感できて、しかも雄大な景色を見る。

それだけの価値がある。そう思ってもう少し登ってみた。



そこに咲いていた黄色い花はキバナツクバネウツギ。

網目状で、ほんのりと淡い橙色をみせてくれる花弁。



可憐な姿で心を癒してくれたキバナツクバネウツギの別名はコツクバネウツギである。

ここでUターンした下山途中で拝見したオカタツナミソウ。



正暦寺に咲いていたものと種類が違うように見える。

もしかとすればヤマタツナミソウなのか、判らない。



下にも咲いていたシライトソウ。

垂れ下がっているので咲き始め、のように思える。



怖かった崖崩れの山道。

いつ崩れるかもしれないと思うと、足早に渡る。

そこを通り抜けたらホトトギス・・・。



花はまだまだだが、葉っぱの文様からホトトギスであろう。



何の鳥か判らないが、巣が落ちていた。



これってヤマハタザオ。

小さな花がついているが、風にゆらゆら、腰をかがめて撮るのがしんどい。



全体を知るために下部の葉っぱも入れて撮っておいた。

軽トラが踏みしめた轍。



水分が残っている処に動物の足跡があった。

5本指のようにも見えるが、何の動物であろうか。

サルなのか、それともアライグマなのか。



これも轍の足跡だ。

同じ動物かも知れない。



これもまた同じ動物と思われる轍にあった足跡。

メジャーで大きさを測っておけばよかったと思ったのは下山してからだ。

これは明らかに違う足跡。



三本足であるが、何の鳥か判らない。

一か月後に菩提山町を訪れた山ちゃん先生が聞いたサル群団の件。

群れを追って調査していた女性の話しによれば「信楽の方から追ってきた」というのである。

何年か前に柳生で遭遇したサル群団。

何十頭ものサルがガードレールに座り込んでいた。

怖くて近寄りがたかった。

調査員の話ではおよそ30頭。

栗の実が食べごろにやってくるそうだ。

信楽から菩提山町までの距離は直線にして70km。

移動距離はけっこうある。



最後にもう一度登場したテンナンショウで北椿尾の下見観察を終えた。

(H26. 5.29 EOS40D撮影)

野遊び③正暦寺近辺の下見

2014年12月15日 07時18分27秒 | 自然観察会
翌月の8日に観察する地は奈良市菩提山町。正暦寺近辺の自然を巡る。

当日の観察会に備えて予め自然の状況を確かめる。

動植物にはどのようなものが生息、或いは植生を知る下見会である。

駐車場には大量に発生したテングチョウが乱舞している。

ぱっと飛び去るが、再び舞い戻る2カ所。

1カ所では100匹もいるのではと数えるgucchi先生。お久しぶりの登場だ。

その様相は橿原神宮でも同じようだと話す。今年は当たり年だと云う。

菩提山町に囀るウグイス、シジュウカラ、イカル。

ホオジロの声も聞こえてくる。



付近を散策すれば、テングチョウのサナギが見つかった。

樹木はアラカシだ。

テングチョウはエノキの葉を食べる。

食べられたあとに、若い芽が育ってきた。

傍には食べた主がいた。



テングチョウの幼虫はムシャムシャと食べていた。

食べて、どれぐらいの期間でサナギになるのか・・・。



遠くに見えるエノキ類の大木。

葉っぱは見事にない。

どれほどのテングチョウがいたのであろうか。

少し登っていった処に民家がある。

家には名も知らない幼虫が住んでいると話す婦人の話しに釣られて伺った。



そこにいたミドリヒョウモンの幼虫は割合、大き目だ。

ミドリヒョウモンはツマグロヒョウモンと同じようにスミレやパンジーの葉を食べる。

成虫になったミドリヒョウモンの姿は美しい。

大阪のおばちゃんが着こなすヒョウモン柄よりも・・と思っている。



紹介してくださった民家の玄関上に飾ってあったモノは正暦寺で授かった御幣だ。

正月三日から五日間にかけて初祈祷をされる修正会がある。

五日の結願が終わればお寺に出向いて貰いにいくそうだ。

御幣はこのように飾って家を一年間守ってくれた御幣は小正月の1月15日にとんどで燃やす。

菩提山町のとんどは家を出た辻で行われる。

「めんめんこう」の各家ごとにすると云うが、川を渡ってはいけないというしきたりがあるそうだ。

とんど火が下火になれば、12月30日に搗いた正月のモチを焼く。

コゴメを入れたドヤモチがいちばん美味しいと同家の婦人が話す。

観察会で出合った民家のおかげで正暦寺の行事を知った。

ありがたいことである。



ニワフジも奇麗な花を咲かせていたその場を離れてもう少し上を登っていく。

サンショウクイが飛んでいった。

一瞬だっただけに見逃した。



畑の横に咲いていたヤワゲフウロ。

大阪富田林にあった牛糞に紛れてやってきた外国産。

いつしか広範囲に広がったそうだ。

ホトトギスも鳴いていたこの辺りは野の鳥が多い。



いつも拝見するイチヤクソウが花芽をつけていた。

一週間も経てば開花するであろう。



傍にはやや朽ちかけたギンリョウソウもあった。

6月ともなれば溶けているだろう。

もう少し登れば田植えを済ませた水田が広がる。



そこにいた交尾中のホソミオツネントンボ。

愛のハートマークになっていた。



次に発見したのはシュレーゲルアオガエルの卵塊だ。

泡のように見える卵塊には200個以上もあるそうだ。

カワラヒワ、コゲラ、オオルリの鳴き声も聞こえた。

しばらくすれば奇麗な文様の餓が飛んできた。



キンモンガの文様はタイガース紋。

稀に白色のキンモンガもいるらしいが、文様に違いがある。

付近にはエゴノキが咲いていた。



垂れ下がるエゴノキの白い花。

で、あればオトシブミもあるはずだと探してみたら、たくさんあった。



この映像では左下に見える。

オトシブミの種類はエゴノキの葉が主食のエゴツルクビオトシブミ。

葉っぱを喰い尽くすところまではいかない。



白いふわふわした花はガマズミの花。

モアレがかかったような感じだ。

さらに上流を遡る。

水田を抜ければ森林浴。



森のなかにぽつんとあった一本のササユリは希少種。

大切なササユリはそっとしておこう。



湿った土地に生息するコバノギボウシ。



そこら辺りには矢田山で拝見したミヤマシラスゲもあった。



樹木の葉っぱにとまっていたのは旧名ニシカワトンボの交尾。

今ではニシカワトンボの名ではなくニホンカワトンボ。

近縁種にアサヒナカワトンボがあるが、見分けは難しい。



画像をアップすればはっきり判る。

ホソミオツネントンボと同様にハートマークの形になって交尾していた。



カンアオイの葉っぱが好きだ。



葉をそっとどけると下にあった花とも思えない姿の花弁。

もしかと思って探してみたが、ギフチョウはいなかった。



渓流のシダの葉にもいた交尾中のニホンカワトンボも撮った。



湿った地に多く咲いていたミズタビラコだ。



これもササユリと思ったが、葉っぱの幅が広いので違うのだろう。



モジャモジャの花をいっぱいつけたヤマハゼである。

ウルシ科ウルシ属の植物なのでかぶれる可能性があるが、ハゼウルシとの違いが判らない。



エジプト色柄にように見えたキマダラツバメエダシャク。



そっと逃がしてあげても戻ってきた。

頭から見れば「コワーイ」顔なのだ。



長閑な水田にあった巨樹はサクラ。

来年の春こそ拝見したいものだ。



その水田にあったトノサマガエルの卵塊。

戻る途中にあった樹木にできたて作りたてのゲラの巣穴があった。



コゲラ、アカゲラ、アオゲラ・・・何だろうか。



キマダラヒカゲが立ち止まった。



クロヒカゲも立ち止まった。



キンイロジョウカイも立ち止まった。

ここら辺りはいろんな昆虫が飛んでくる。

午後からは用事があるやまちゃん先生は帰路についた。

その後の下見はもう一カ所。

北側の地である。お寺に向かう参道は砂利の地道。



ここにもいっぱいいたテングチョウの群れ。

近くまで寄るとぱっと飛び舞う。

しばらく歩けば入場禁ずの地がある。



その場に咲いていたのはオカタツナミソウ。



草むらの中に咲いていた。

よく見ればあちこちに咲いている。

ここら辺りで約束の時間が迫ったgucchi先生と別れたうめちゃん先生、hanasukiさんと私の3人は下見の続行である。



シダの葉にとまったのはカワトンボの♀であろうか。

山から流れでる水が溢れて山道はびしょびしょである。

水気が多い処である。

そこにあったタチクラマゴケ。



上から撮ってもタチクラマゴケ。



横から撮ってもタチクラマゴケは地面を這うように広がる。

山林に広がるシダ類の植生。



朽ちた橋は数年前にみたときよりもさらに侵食していた。

キビタキやジュウイチの鳴き声が聞こえた。

これ以上、上流を目指しても変わらない景色。

植生に変化は見られない。

ここよりも午前中に下見した地の方が良かろうと判断して下った。



葉っぱにとまったクロナガカワゲラ。

成虫になれば後ろの尻尾は消えるのであろうか。

それとも写ることのできない細いものだったのか。

もしかとすればオナシカワゲラが正解かもしれない。

いずれにしても川の水質が奇麗だということだ。



陽があたる地点に来れば、テングチョウに混ざってヒラヒラ。

久しぶりに拝見したイシガケチョウだ。



あっちへ飛び、こっちへと飛んでいたが、足元まで寄ってくれた。



ユキノシタの群生もある。



遠目に咲いていたオカタツナミソウもアップしておいた。

正暦寺には幹廻りが太いサルスベリがある。



紅い夏の花はまだまだだが、ツルツルの木肌になにやら立っている仏さんがいる。



というように見えたが、違った。

木のコブだった。



石垣にはヒトツバが垂れていた。



これはシオヤトンボの♀であろうか。

シャッターを押した瞬間に飛んでいった。



トイレ前に咲いていたヤマボウシ。

傍にあった蕾はなんでしょう。



夏椿のシャラの木と思われる。

一週間後には白い花が見られるかもしれないが・・・。

(H26. 5.29 EOS40D撮影)

野遊び②in矢田山頂池

2014年12月08日 07時17分33秒 | 自然観察会
今年度2回目の野遊び自然観察会。

観察の目的地は矢田山頂池である。

普段の例会ならば大和郡山市立の少年自然の家の駐車場を利用させていただくが、頂池までは長い距離の坂道を歩かねばならない。

幼児も参加する親子観察会ではどうするか、である。

もっと近くを集合地にしたいと考えて矢田寺とするが、あじさいを観にくる人が多いと想定されたので、寺南方の駐車場とした。

その場からは僅かであるが、急な坂道を行く。

初夏と思わせるような暑い日差し。

この日の気温は27.4度であるが、爽やかな風が吹いていた。

絶好の行楽、ではなく観察日和になった。

まずは矢田寺境内を目指して登っていく。



寺境内にある池にはミズカンナが植生していた。

自然ではないが、これも観察してみよう。

ミズカンナは葉っぱがカンナに似ている水生植物で7月ころには花が咲く。

いつ頃植えられたのか知らないが、青々とした葉が美しい。

池内の社はおそらく弁天さんだと思われる。

池の水面に目を下ろした。

水面にいっぱい泳いでいたのはヌマエビではなく、スジエビだ。



アップしてみたが、判り難い。

矢田寺には、これまで度々行ったことがあるが、ミズカンナもスジエビも始めて拝見したのである。

RYU先生の話ではスジエビは肉食性が強く、足が長いそうだ。

一週間前にも撮らせていただいた迎え地蔵。



よだれ掛けの色には変化はないが、後方に咲くツツジは一週間も経てばほとんどが萎んでいた。

下見の際に撮った映像と見比べてみれば一目瞭然の様変わりである。

季節の変わり目の矢田寺のお花。

早くもアジサイに転じようとしていた。



一輪だけであるが、淡い水色が迎えてくれる。

今月末ともなれば、あじさい花の花見客で溢れる。

6月1日からの入山料は大人が400円で小学生が200円。

あじさいが咲き誇る時期は有料となるのだ。

矢田寺大門坊ホームページでは境内注意事項が掲載されているので参照されたい。

地蔵堂・大師堂の脇を通って「四国八十八カ所霊場巡り」の立て看板に沿って山道を登る。

この日の眺望はすっきりはっきり。



遠くは三輪山辺りまで見えるのだ。

平坦盆地の町並みの向こう側がそうだが、かなり遠い。



東屋から眺めた若草山からずっと手前左端は工事中の新県立奈良病院のアクセス道路だ。

斜め筋は覆屋で見えない解体修理中の薬師寺東塔。

もう少し上には東大寺二月堂が見える眺望の矢田山。

午後4時以降であれば、西日があたってすっきりと見えるかも知れない。



大正十四年に信者やさまざまな講中が建之された石仏お大師さんの傍らに咲いていたオダマキがあった。

お供えの花の種が零れて根付いたのであろうか。

ギンリョウソウはすっかり溶けていたのか、見つからず。



傍にはアマドコロの蕾がついていた。

数日後には辺り一面に白い花が見られそうだ。



タツナミソウの花時期は長い。

これからもしばらくの間を楽しませてくれるだろう。

ここら辺りから森林浴の矢田山。

逆光に映える木の葉に思わずシャッター押したが、樹木は何なのだろうか。



3枚葉の姿が特徴のタカノツメである。

しばらく歩けば着く頂池小屋。



一週間前の下見の際にはたくさんの虫さんがぶらさがっていたが、すっかり消えていた。

消えたのは虫だけでなく、この葉もすっかり丸坊頭。

喰い尽くしたと思われるのが、どこへ行ったのだろうか。

一匹も見つからないのである。

小屋でたっぷり休憩して付近を観察する。



モチツツジの花も一週間経過すれば増えていた。



この場で発見したキンラン。

3株も見つかった。



花は全開せず半開き、愛らしい姿にうっとりするが、奈良県では絶滅危惧種。

そっとしておいてほしいのだ。



その下にはコナスビも咲いていた。

光が当たりすぎて、若干白飛びになってしまった。

コナスビなどの小さなお花は撮り難い。



もっと小さな蕾の花はヤブジラミだ。

ピントはどこに合わしたらいいのだろう。

悩ましき小さなお花である。



下見の際には蕾であったギンラン。

咲き終わりの状態になれば見つけるのも難しい。

奈良県のギンランは希少種。

これもまたそっとしておいてほしい。



コメツキムシが葉っぱにとまっていたが、何の種類か判らない。

こちらも葉っぱにとまっていた昆虫。



同じように黒っぽいが、これはアブだ。

何かを銜えているように見えるが、これもまた何の種類か判らない。



キクラゲがついていた樹木。

採ってみたいが、手が届かない。

ここからは下り。

湧きでた水が溜まった湿地にあった植物は見覚えがある。

昨年に観察した正暦寺周辺。

そこで拝見したミヤマシラスゲとよく似ている。

記憶は正しくミヤマシラスゲである。



カサスゲとよく似ているが間違いなくミヤマシラスゲだったのだ。



葉っぱにとまっていたクヌギカメムシの幼虫。

とても小さいのでトリミングアップしておく。

昼食の場は南僧坊谷池。

弁当を広げる広場はない。

狭い道に腰をおろして食事する。



その場を通り抜ける自転車サイクラー。

この辺りはサイクラーや山駆けランニングをされている人が多い。



次から次へと走り去っていく。

池には昆虫類がたくさん出没する。



これはジョウカイボンだ。

何度も見つかるジョウカイボンは覚えてしまった。

欄干でじっとしていたのはシオヤトンボの♀だ。

そろそろと寄っても逃げない。



ノートリミングのシオヤトンボの♀の後ろ姿である。



向きを換えて頭のほうからも撮らせてもらった。

ここではシオヤトンボがいっぱい飛んでくる。

ふっと、♂が飛んできて数匹の♀に絡んだかと思った瞬間に空中で交尾した。

しばらく飛びまわってじっとしている。



青色が♂で上、下は逆さになった♀である。

ギンヤンマもホソミオツネントンボも飛んでいたが、スイー、スイーと動き回るのでカメラレンズが追いつかない。



ここからは下りである。

耕作地の水利用の池がある。



ヒツジグサに囲まれた水面からウシガエルが私たちの動きを観察している。

そう見えたのだ。

さらに下って自然保護員でもあるうめちゃん先生が設置した赤外線カメラを見せてくださる。

器材に見事に写っていた夜に流離うイノシイの姿がバッチリ写っていた。



そのイノシシであろう、通り道の状況がよく判る映像も記録と思って撮っておいた。

参加された親子さんは二組だったが、満喫されたことと思う。

気温が高かったが、森を通り抜ける風が心地よく汗もそんなにでなかった観察会を終えて県立民俗博物館に向かった。

(H26. 5.18 EOS40D撮影)

野遊び②矢田山頂池下見

2014年12月05日 09時51分57秒 | 自然観察会
この日は頂池コースの下見。

スタッフのみなさま、お疲れさまである。

久しぶりの「へんろ道」に沿って登った頂池コースは楽しませてくれた。

平成20年以来の久しぶりの観察地である。

矢田寺南僧坊より南側の駐車場から往復歩数は6700歩だった。

駐車場から南僧坊へ向かう急坂を歩く。

前日に雨が降れば登り、特に下りが滑りやすくなくなる。



駐車場から矢田寺境内に到着すれば、クリの臭いが漂っているかと思えば・・萌えるヤマのように見えるドングリの色に目が覚める。

木々の緑色が映える季節は清々しい。



キショウブにツツジ色に染まる御池には金色の鯉が泳いでいた。



矢田寺のお地蔵さんがほほ笑むように迎えてくれる、今日はえー天気。

「へんろみち」の札で道先を案内してもらって登っていく。



イチヤクソウの若葉が出ていたが、花はまだまだ先のようだ。



タネツケバナが、えー天気でバンザーイと云っているように思えた。

僅かであるが、ギンリョウソウが残っていた。



やや黒ずんではいるが、立派なギンリョウソウである。

シダにぶら下がって巣作りをしていたムモンホソアシナガバチ。



敵に見つけられないように、こんなところにも巣を作るんだと思った。



そこにはタツナミソウが満開に咲いていた。

キビタキ、ソウシチョウなどの囀りを聞きながら登ってきた頂池小屋に辿りつく。



木漏れ日が新緑を美しく輝かせていた。

ところがケムシが空から降ってくるようにいっぱい降りている。

森林浴はゆっくり味わえなかった。



そこから数メートル先に咲いていたギンランは蕾だ。

数日後にはぱっと開くような感じである。



しばらく歩いて美味そうなキクラゲがびっしりあった。

この辺りでは自転車サイクラーが通り抜けていく。



少し歩けばピースサインを贈ってくれるウラジロの芽もある。

五月の植生は清々しく疲れは感じない。



もう少し歩けばツボスミレの群生に出くわした。

場所はこの辺りである。



撮った立て看板を縮小したので判り難くなったマップでみれば半周ぐらいでしょうか。

関係者以外立ち入り禁止札下を降りて池の処で解散した。

その場で弁当喰い。

時間を忘れて、ゆっくり寛がせてもらった。



その場から降りてきてイノシシが通った草むらが見つかった。

凹んだところがそうであるが、見えるだろうか。



駐車場に戻ってタラヨウの葉と花を撮っておいた。

(H26. 5.10 EOS40D撮影)

野遊び①in民博公園から矢田丘陵へ

2014年10月25日 07時53分11秒 | 自然観察会
今年度初回に参加した自然観察会。

年8回の実施だが、民俗取材と重なる日が多く、ほとんど欠席状態。

始めて参加したのは息子たちが小学生の頃だったので20年も前のことだ。

野の鳥、山野草が大好きな私は子供についていった。

野の鳥に熱中しはじめたのは蒲谷鶴彦さんの番組をラジオで聞いた声からだ。

解説する声は蒲谷さんで、収録された野の鳥の声は衝撃だった。

たしかNHKの朝のFM放送だったように思える。

テレビでも放映されたような記憶もある。

それかどうか覚えていないが、傘で作ったパラボラ型集音マイク装置。

無指向性マイクを取り付けて集音されていた映像に感動、憧れにソニーから発売されたパラボラ集音器を買って生駒山に登ったことを覚えている。

かーさんはその形をみて三度笠やと言った。

録音機はカセットデンスケ。

動かないが今でも三階の収納庫に残している。

私にとって野の鳥の始めは鳴き声だった。

子供は大きくなって卒業したが、親父は居残って平成10年からは観察補助員。

毎年観察する動植物は、私にとっていつも新鮮。

目にする自然の生態に感動するが、いまだに名前を覚えられないのはいっぱいある。

特に昆虫類は多種多様、専門の先生方に聞きまくりである。

大和民俗公園のウワミズザクラはまだ蕾の状態。

昨年の観察会は4月14日。

ウワミズザクラは満開だった。

一日違いのこの日は13日であるが、これほど差があるとは。

旧暦でみれば昨年は旧暦3月5日。

今年の14日は旧暦の3月14日。

10日間もずれている。

ソメイヨシノはほぼ昨年と同じように咲いていた。

何かの要素がウワミズザクラの花に影響を与えているのではないだろうか。

この日は野遊び観察会の初観察。

スタッフは13人にもなったが、初回の参加者は子供が5人の3家族。

例年ならもっと多くの参加者が来られるが、諸行事と重なったらしい。

集合場所は大和郡山市の少年自然の家。



ピロティで参加受付をする。

ルーペの使い方を伝える先生方。

目に直接あてて接眼するところがどうも判らなず、眼から離してしまう。

風が冷たい冷え込む朝。どんよりとした曇り日だった。

雨が降るやしれない日だが、揃って出発した。



始めに観察する場はゲートを入った段丘だ。

もっこり盛りあがった土があった。

正体はモグラである。

畑を荒らすと云われているモグラであるが、主食はミミズや昆虫。

畑に埋まっているダイコンなぞを引き抜くことはない。

市内伊豆七条町に住む婦人はモグラのことをオンゴロと呼んでいた。

大阪の能勢の住民もそう呼んでいた。

伊勢地方の人たちもオンゴロと呼ぶようだ。

そう呼ぶ分布地域はどれほどあるのか存知しない。

モグラの姿を拝見することはできないが、おそらくコウベモグラであろうと話す。



樹木の隙間に居た昆虫は羽化中の脱皮寸前。

シリアゲムシの羽化と思われたが、羽根にある模様からマダラガガンボでは・・と図鑑と見比べるがピントは外れる。

その場には春のいろんな花が咲いている。

毎年来ていても覚えることができない。



ピンと立った花は(ミチ?)タネツケバナ。

揚げた手がバンザイをしているようにも見える。

シジュウカラやホオジロが樹木の上の方で囁いている。



シャガの花芽を観察する子供たち。



その場にはミツバツツジが美しい色合いもみせていた。



何十羽もいるのであろう、ここら辺りで聞こえてきたニュウナイスズメのざわめき。

盛んに鳴いているが、姿は見えない。

高い樹木に止まっているの。

おそらくヤマザクラと思うのであるが、遮る木々でその先にある樹木が見えないのだ。

ざわめきはピタッと一斉に鳴きやむ。

しばらく経てば再びざわめき。

ニュウナイスズメに先導者がいるのか知らないが、サクラの蜜を捕食する嬉しそうな鳴き声に聞こえた。

その場にあったザ(サ)イフリボクは蕾も見られずのまだまだだ。

カスミサクラも満開には至っていない。

花の樹木によっては大きく異なる今年の花たち。

平坦部のソメイヨシノが満開になった頃から冷え込む日が続いていた。

そういうことが影響しているのだろうか。

定点観測どころか、毎日の変化を観察する定時観測しなければと思うが・・・日々の余裕は持ち合わせていない。

大和民俗公園には移築復原された江戸時代の民家が建ち並ぶ。

重要文化財や県指定文化財の旧家は15棟。



そのうちの一つ、緑色の若芽が美しいと思った旧岩本家住居から煙の臭いが漂ってきた。

住居は旧室生村の黒岩で代々農業・林業を営んでいた庄屋年寄を務めていた家と伝えられている。

竃に火を入れて雑木を燃やしていた煙であったのだ。



職員が毎週の土曜、日曜に火をくべる竃。

煙による防虫だそうだ。

そこから広場へ移動した。



枝垂れの宝クジ桜が咲いている。



アオジの囀りが聞こえてきた。

奇麗な鳴き声である。

通りの向こう側の芝ではシロハラが何かを啄んでいる。



地面を歩いては啄む。

土にいる虫であろう。

その向こうからも鳥の声が聞こえてきた。

鳴き声からおそらくアカハラではないかと思った。



この辺りの斜面にはワラビが見つかる。

美味しそうなワラビであるが、まだ少ない。

昨年はもっと多かった。

ついつい手が出てしまいそうになる春のご馳走だ。

動態保存していた旧民家は室生上笠間の旧松井家住居もあれば吉野集落もある。



春の花が主役のこの日。



ピンク色で迎えてくれた民家に見惚れるが、ゆっくり佇む時間もなく、次へと向かった十津川村旭の旧木村家住居。



主屋には自在カギがある囲炉裏も見られる。

高台から眺望する矢田丘陵に春がきた。



来月ともなれば、森林浴が味わえる新緑の季節も訪ねてみたい。



集落床下にもあったアリジゴクが住んでいる砂穴。

地獄穴から出てくるのを待っていたが、顔は出さない。



下った広場に咲いていたシロ花のカラスノエンドウ。

野山では見かけることはないが、毎年楽しみにしている場に昆虫が飛んできた。



アブの仲間であろう。

カワラヒラが鳴きながら飛んでいった。

地面にいたのはツグミだ。

昨今、見ることが少なくなってきた。

公園を離れて里山を巡る。

ガガンボの一種であろうか、フワフワと飛んできて止まった。

じっとしているガガンボ。



羽根の模様に特徴があるようで、なんとなくキリウジガガンボのようだ。

いつもならこの場で昼食を摂るのであるが、今回は断念。

最近になって市が設営したイノシシの罠がある。



餌のヌカを内部に入れた鉄の扉は開いている。

餌を求めるイノシシが内部に入ったところで身体に接触したピンが外れるようにしている。

子供たちにとっては危険な場。

興味本位で侵入することにでもなれば大事故に繋がる。

安全に過ごせる昼食場はここにはない。

足を伸ばして村の外れ。

気温は上昇して風もない穏やかな時間帯。

すっかり寛いでしまう。

林の向こうにいたエナガやモズが高い声で鳴いていた。

ウグイスも鳴いている。

何かが動いたと声があがった。



樹木の下はドロ田。

そこでちょこちょこ動く物体。

双眼鏡で探してみればクイナであった。

長い嘴の下側が赤い色。

僅かに湾曲しているように見えた。

胴体・羽根は縞模様だ。

出たり、入ったりの繰り返しをする。

餌がドロ田にあるのだろう。

後日に再訪されたやまちゃん先生の報告によれば、その場にはヒクイナもいたそうだ。



脇道に入れば絶滅種のシュンランが咲いていた。

香りはしなかったが自生するシュンランだ。



場を明かすことはできない生息地。

そっとしてほしい山中。



ひっそりと佇んでいた石仏にお花が寄せられていた。



下った田畑にレンゲの花が広がっていた。

レンゲを背景に撮ってみた樹木。

新芽の色はまるで雪を被っているようだが、木の名前は判らない。



山から下りて咲いていたアリアケスミレを見る。

その辺りの畑にはダイコンの花も咲いていた。



なんとなく可愛い。

その場は畦。

零れタネが落ちていたのであろう。



ヒメシジミもヒラヒラ舞う田園の里山。

キジやコゲラの鳴き声も聞こえる戻りの道中。



リンゴの花も咲いていた。

この年のヒメハギはまだ開花していなかった。

サルトリイバラの花も黄色さがでていない。

しばらく歩いて花とは思えないような花が咲いていた。



黄色姿が面白くて撮ったが、花弁はどれであるのか、名前もさっぱり判らない。

この日に歩いた歩数計は4400歩だった。

(H26. 4.13 EOS40D撮影)

野遊び⑧in馬見丘陵公園

2014年08月03日 06時40分44秒 | 自然観察会
馬見丘陵公園は河合町、広陵町、香芝市などに跨る標高70m程度の東西約3kmで南北が約7kmにもおよぶ広大な丘陵地。

馬見古墳群も見られる集積地でもある。

事務所の所在地は河合町佐味田。

駐車場は無料、公園も無料で県民憩いの場である。

Sが予め作ってくれた「馬見丘陵公園圏内マップ」には観察できるカモ鳥をレイアウトしてくれた野鳥図鑑。

ありがたく、参照しながら出発した。



コゲラとルリビタキは鳴き声だけで姿は見られず、アオサギは気配を感じて飛んでいってしまった。

2家族の参加であったが、のんびり・ゆっくりした観察会もいい。

昨日は雪解けで寒かったが、本日はお天気よろしくである。

馬見丘陵公園でみられた野鳥はさまざま。

下池に跨る橋付近に生えている葦原には小さな鳥がやってくる。

一直線に立つ葦にしっかりとまった鳥はメジロにシジュウカラだ。

池面側の藪の内側。

愛くるしい目をしたジョウビタキにはピント合わせは難しい。

シメが刈りとった草むらにいた。

遠目で見たが、何か黒いものを食べている。少しずつ、少しずつ近寄った。

馬見丘陵公園を散歩する人はまったく気づかない。



通りがかる人もいるが、気にもせず食べていたシメ。

至近距離はわずか数メートルだ。

寄りすぎて飛んでいった。



何を食べていたのか探してみたエサはエノキの黒いタネだった。

白い糞を落として飛び去った痕跡があった。

小型の鳥は落ち着くことがない。

あっちこっちに飛び交う。

その点、双眼鏡でとらえやすいのは水鳥だ。

馬見丘陵公園の下池・上池で見られる。

一番多いのはカルガモ。



フロートを結ぶロープの上にのっかって行ったり来たりしている。

カイツブリのように水面下を潜ることができないからそうしている。



葦に飛んできたのはメジロだ。



葦ノ原にはシジュウカラもやってきた。



コガモの♀がすいすいとこっちへやってきた。

多くのマガモに混じっていた異なる色彩姿はヨシガモだ。

頭は茶色で顔は緑。写真はもうひとつだが、双眼鏡で見た長く伸びる尾羽が美しい二羽の♂。

周りには♀が4羽。

一夫多妻なのだろうか。



草むらの中に潜んでいたのはジョウビタキ♂だ。



アオジもいたが、雑草の中。暗くてピンボケになった。



朝一番はもっと雪が積もっていた・・。



金剛山・葛城山山系の雪景色はなんとなく神々しい。

何をみつけたのだろうか。

池堤下の傾斜地でついばんでいるホオジロだ。



手前にはビンズイもいた。



もう一羽のビンズイも近くでエサを啄んでいた。



馬見丘陵公園から遠望した若草山。

この年は1月25日に山焼きが行われた。

伸びていた草は焼かれて消えた。

山に積もった雪はまだ残っていたが、昼過ぎには消えた。

この時期の馬見丘陵公園は咲く花が少ない。

小さなエリアに梅林がある。

僅かであるが咲いていたが樹木周りに落ち葉は寄せていない。



黄色いのはロウバイだ。

家庭に植えている処が多くなったと思う。



赤い花はアケボノアケビ。

鑑賞用に植栽された園芸品種であろう。

見慣れない実があった。

常緑つる性の木で実は卵状の球形。

なんとなく複眼のように見えた。



ヨシガモの♂(右)と♀(左)が泳いでいた。

頭が緑色の♂。

後頭部の羽毛が長く伸びている。

美しい羽毛は「三列風切羽」と称される。



ハンノキの雄花が風に揺れていた。

ぐるりと回ってきた観察会のコース。

少し歩いては観察。

もう少し歩いて観察で距離はそんなに動いていない。

公園内は奇麗に清掃されている。

履いた落ち葉は向こう側に集めていた。

梅林の株周りに寄せればいいのだが・・・。



伐採された枯れ木にたくさんあったキクラゲ。

美味しそうな姿である。

30年ほど前のことだ。

家の裏山(恐竜山)で採ってきたシロキクラゲを洗って山葵醤油で生食したことがある。

シャキシャキ・コリコリした食感は今でも忘れられない。

これも食べられると思ったが・・・公園内の植生に手をかけることはしない。



キヅタの実はバクダンのように見えた。

馬見丘陵公園にある設置してある樹木の名札プレートを裏返せば小動物や昆虫たちの住処だ。



ヤモリとクサギカメムシの冬籠りだ。

越冬昆虫は他にツヤアオカメムシ、ヨコヅナサシガメ、ナミテントウ、クモなどもいた。



解散してから見た駐車場の樹木に飛んできたヤマガラで〆た。

この日に観察した野鳥はヒヨドリ、シジュウカラ、エナガ、ジョウビタキ、キジバト、シメ♀、メジロ、アオジ、アオサギ、ビンズイ、ホオジロ、ハシブトカラス、ハクセキレイ、シロハラ、ヤマガラだった。

水鳥はマガモ、コガモ、カルガモ、コガモ♂♀、ホシハジロ♀、ヨシガモ♂♀、カイツブリである。

鳴き声で聞いたのはコゲラ、ルリビタキだ。

(H26. 2. 9 EOS40D撮影)

野遊び③in正暦寺周辺

2013年10月03日 07時03分17秒 | 自然観察会
今年度3回目の野遊びの場は正暦寺周辺だ。

自然が溢れる地域は山間の田が広がる。

この日に集まった自然観察者はサポーターを入れて40人を越えた。

曇り空になったこの日の観察は照り返す夏空よりは助かる。



関西が梅雨入りしたのは5月28日の宣言日。

その後の数日間はしょぼしょぼ降る雨空だった。

その後は晴れ間が続いた一週間だが、早いところではその頃から田植えが始まった。

地域によっては少しずつ日程が異なる。

徐々に広がる平坦盆地部の田植えは今日・明日辺りがラストであろう。

正暦寺周辺の森本町や虚空蔵町は田植え時期。

高樋町や菩提山町はほとんどが終わっていた。



照ることもないからよけいに蒸し暑い。

風も吹かない日は疲れがたまりやすいと思ったが、そんなことにお構いなしの子供たちは元気だ。

「田植えが終わった山間はヘビもいっぱい出てくる。イノシシやシカも出没するから電柵も仕掛けている」と注意事項を聞いて出発したときだ。

軽トラで山を下ってきた男性が多くの車は寺駐車場でなく臨時の駐車場を開放してくださった。

ありがたいことである。

男性は菩提山町の住民。

いつもお世話になっている。

この辺りは野の鳥が囀っている。

遠くではあるがウグイスにシジュウカラだ。

ウグイスの鳴き声はホーホケキョではなく「ピューーーコチジャン」だ。

どないに聞いてもこういう具合に聞こえてしまうウグイスの鳴き声。

コチジャンは唐辛子醤の調味料。

たいがいの炒め物料理に合う話しは今回の野遊びとは何ら関係がない。

数十メートルも登れば見慣れたご婦人が声を掛ける。

先日の下見の際にも遭遇したという婦人は馴染みの女性。

大和郡山の観光ボランティアガイドクラブのNさんだ。

Nさんは正暦寺でもお勤めをしている尼僧。



傍らの小屋で滞在する女性が丹精込めて栽培したお花の園。

メダカが子供を産んだと水槽を見せてくださる。



なんでも先日の夕刻にはアカショウビンが鳴いたという。

目の色を輝かせたが野鳥を捉えることはとても難しいと思うのだが・・・。

フワフワ、フサフサの白い物体は何か。

花後の何かと思えばそれは違う。



実は樹木に生息・食草する幼虫ハバチである。

この日の観察ではミツクリハバチの幼虫だと思われていたがそうではなかった。

ハバチ類は生息する樹木種によって異なるのだと先生方は話す。

ミツクリハバチはハンノキ属、クルミマルハバチはクルミ属だ。

フワフワ、フサフサの白い物体があった樹木はオオデマリ。

ガマズミに属するオオデマリにいたのはババシロアシマルハバチの幼虫であったのだ。

先生方が下見の際に発見していたクチナシグサを教えてもらった。



花が終わった実がクチナシに似ていることから付けられた花の名前。

若いときには緑色だが老けてくれば紫色に変化する。



若干に残っていた緑色もあった。

白い花弁はとても小さい。

半寄生の越年草である。

ウグイスカグラの葉は柔らかそう。



この実は熟れると朱色から赤色に変化。

それが美味しい食べごろのサイン。

とても甘かった。

種は小粒だ。

コゲラがギーギー鳴く。

小高い枝に留まったホオジロも囀る。



ジョウカイボンは覚えたぞ。



カメムシもいたが名前は判らない。

稀少植物になってしまったイチヤクソウ。



もうすぐ花が開くであろう。

ニワトコの赤い実。



緑色も混ざっている。

ヒメコウゾの実。



ヒゲがある。

青実をつけたウメコボシはヤマコウバシイとも呼ばれる植物。



香ばしいという名だけに香りがあるのだろう。

イカルが遠くで鳴いているが、サンコウチョウは聞こえない。

すーさんや山ちゃん先生は聞こえたようだ。



ヤブムラサキは可憐だ。

遠くに見えるアカマツの木を見てくださいと示した方角。

けっこうな距離である。

あそこにある穴だと云われるが、どこどこ。



眼を点にした先にあった巣穴はアオゲラ。

じっと待っていたが飛び出すことはなかった。

何度か訪れる観察地。

道沿いにたしかあったと思って探してみるカンアオイ。



僅かであったが見つかった。

反対側にあった樹木になりやらモノが乗っかっている。



それはハナイカダ。

上手く名付けたものである。

うっかりしておれば通り過ぎてしまうミズタビラコの小さな花びら。



接写レンズがほしいところである。

この辺りでようやく昼食時間。

山に向かう道は峠を越えて田原の里に着く。

そこまではもう少しであるが、手前でUターンだ。



その辺りを探索すれば花後のチゴユリがいっぱいあった。

その傍らにもあったカンアオイの花はしっかり咲いていた。



咲いていても花のようには見えないカンアオイである。

食事を終えて戻る道中。



行きしなは目に入らなかった初めて見るミヤマシラスゲだ。

反対側にあったのはホウチャクソウ。



痣(あざ)のように見える黄色い斑点。

何なんだろうか。

ブーメラン型の葉っぱが特徴であるアギスミレ。



ハート型に見えると云われるが、私はどっちかと云えば六角レンチだ。



オオセンチコガネが休んでいた。

テングチョウが舞いあがる。



飛び交う量があまりにも多い。

今年は大量発生らしいテングチョウである。



エゴツルクビオトシブミの鼻は長い。

その虫が作ったオトシブミはJ字型。



くるりと巻いた形が特徴らしい。

一時解散をして北へ向かった。

最後に見たのはモノサシトンボの♂だ。



明日は久しぶりの雨になるだろうと予想した雨はそれほどでもなかった。

(H25. 6. 9 EOS40D撮影)