マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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栢森加夜奈留美命神社山の神

2012年01月11日 08時07分56秒 | 明日香村へ
明日香村の栢森に鎮座する加夜奈留美命(かやなるみのみこと)神社。

古代の歴史を尋ねて当地を訪れる人は多いという。

特に珍しいのは狛犬だと話す当番の人。

神さんから見て右にある狛犬は、子供と思われる(唐)獅子が母親に抱きつくような姿の石造りである。

左側は丸い石を左足で押さえている。

どのような意味をもつのか判らないという狛犬。

同様の形をみる石造物に奈良市法蓮町の常陸神社がある。

そのことを思い出したのであった。

そんな話をされる当番の人は門松立てから始まって、一年間の神社祭祀の世話をする。

ねんぎょ(年行)とも呼ばれている人は2軒。

毎月1日と15日には神社へ参っているという。



この日は山の神と呼ばれる神事が執り行われる。

予め、年行は古い釜に水を入れて薪の火で湯を沸かしておく。

そのころにやって来た神職や御供を抱えた総代たち。

二本の笹束と幣を神前に置かれた。



神職はその幣を手にして釜湯に浸ける。

次に笹の葉も湯に浸けていく。

それを御湯(おみゆ)と呼ぶのだと神職はいう。

それを御供や氏子たちに向けて振られた。

その勢いで飛び散った湯を被る。

祓い清めの儀式であろう。

開扉、御供献饌、祝詞奏上、玉串奉奠など神事が執り行われていく。

本社の献饌には二段のモチ、タイ、シイタケ、ダイコン、カブラ、リンゴ、ミカンなどににごり酒がある。



献饌は本社の他に社殿外にある宇須多伎社若しくは八幡神社、葛(九頭とも)神社と考えられている社にも供えられる。

また、龍福寺付近にある庚申さんの石仏にも供えられるがにごり酒は見られない。



飛鳥川最上流の清流、せせらぎの音だけが聞こえる神事はとても厳かな様相を醸し出す。

本社での神事を終えれば氏子たちは左側の社に向かっていく。



そこでのお参りを済ませると、今度は右側の社に移った。

そこでも同じように拝礼をされる。

そして、最後に庚申さんへもお参りをされたのであった。

「山の神」と呼ばれる祭礼であったが、にごり酒を供えることから新嘗祭も兼ねているのであろう。

(H23.12. 4 EOS40D撮影)