やや腰痛ぎみだった身体。
気分転換に出かけた行先は、奈良市都祁白石町。
どうしても食べたくなった塩っ辛いサシサバ買い。
お盆の真っ盛りの15日の午後では売り切れも仕方ない。
気になれば、なるほどにうずうずしてくる気持ちを抑えきれなくて・・。
以前も買ったことがある食品売り場は、奈良テレビ放送で繰り返すショッピングセンターたけよしのコマーシャルソング。
「♪・・みつけっちゃたねェ~ ゆめ~いっぱい なんでもそろぅ うっ! たけよし~・・♪♪」。
午前9時から夜の8時までが営業時間。
運よく、見つかった「たけよし」の刺しさば。
1パックに1尾売りの480円。
6枚も残っていた和歌山産の刺しさばに歓喜する。
賞味期限は9月13日。
そもそも刺しさばは、保存食なんですわ。
入手した時間帯は、午後5時45分だった。
売り場の棚にあった紛らわしいPOP。
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「脂がのった昆布だし塩鯖。北海道産の昆布だしにじっくり漬け込み、まろやかな味に仕上げました」。
その横にあった手書きPOPが「サンマヒラキ」。
益々紛らわしくなるPOP文字。
鯖なの、それとも秋刀魚なの・・。
魚肌の文様でわかる鯖そのもの。
魚形から見ても秋刀魚の開きではない。
これこそ刺しさばである。
自宅に戻ったその夜。
すぐには食べない貴重な逸品。
食べたいと思うときに食卓に・・。
そうは思っていても思い通りにならない家庭の食卓。
口にするのは、私一人だけだ。
袋から取り出した刺しさばを皿に盛る。
我が家ではでかい方になる皿に、丸々一尾の刺しさばを置いた。
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記録撮影のために、まずは開いた背中を撮る。
カラカラに乾いた背の部分の文様は、真鯖。
身は厚かったと思える面構えである。
わざわざ買ってきた刺しさば。その理由は、内面の干し具合を観たかったからだ。
15日に取材させていただいた山添村勝原の民家のあり方。
撮らせてもらった刺しさばの映像は、背であった。
背を裏返して身の部分を・・の思いはあっても、そこは遠慮。
なぜなら、同家では供えたその晩にいただく馳走であるから、遠慮した。
私が買って、私が食べる。
実写に、味見をしたい和歌山県産の刺しさば。
まずは、焼きを入れる。
我が家の炊事場コンロは、ガスコンロ。
魚を焼くコンロに入ればいいのだが・・・。
なんとか入れて、火を点ける。
焼きはどれくらいの時間をかけていいのやら。
えいや、っと思う時間で終えた焼き具合。
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ぷくぷく焦げの状態。
火を止めた時間が丁度いい。
そして、遠慮なく、裏返した刺しさば。
コンロ焼きに裏返しはどうなのだろうか。
その焼きを見ることなく、箸が勝手に動き出した。
カチコチだと思っていた刺しさば。
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柔らかくもないが、ほどほどに箸が入る。
ちょっと掻い出しては口に入れた一口目の味は、想定通り。
思わず口に出る「しょっからーーい!」。
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日本酒がすすむ塩辛い味。
塩鯖のレベルではない。
とにかく、しょっーーかっ、らーーい。
塩辛いから、また日本酒を喉に押し込む。
一気に食べるには、勿体ない。
骨と皮は無用。
箸で食べられる身を剥がす。
この作業は、嫌いでもない。
むしろ大好きな作業。
どのような魚であっても、箸を用いて、身を削ぐ。
吉野の杉箸は使いやすい。
竹製の箸も使いやすい。
そのなかでも一番使いやすかったのは、生駒・高山に住まいする職人が作る竹製の割りばしである。
中でも廃材のススダケが一番だった。
二度と手に入らないススダケの箸・・・。
売っていても高いだろうな。
話しを刺しさばに戻そう。
大皿一枚の大きさだった刺しさばも、皮と骨を取り除いたら、身はちょっとに・・。
大半は私の口にちょびちょびいただいたが、ほんの少しだけを残した。
食べさせてあげたい友人たちと出会う日は、9月に入ってからだ。
毎年に訪れる十津川村の滝川。
その上流に広地がある。
そこでいただく昼めしにちょい喰いしてもらい、刺しさば味わってもらおうと魂胆したわけだ。
9月8日、メイン食の準備中に出した一皿。
見たとおり、ほんのちょっとだけの刺しさば。
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箸で摘まんで口に入れる。
その味、しょっぱぁーーイ!。
強烈なしょっぱさに、参加者全員が、一様に口走った。
塩っけが強いから夏場に相応しい味。
皿にもったほんのちょびっとが、すっかり消えた。
ちなみに全日本さば連合会会員のSさんが、FBにコメントしてくださった「刺し鯖って、はじめて知りました😂ググッたら、食べたくなりました!」に、今さらであるが、”刺し鯖“をキーに、ネットをぐぐってみたら、あるある・・。
一つは、江戸の地にも「刺鯖」があったそうだ。
江戸文化歴史検定試験にも出題される「刺鯖」と「鯖代献上」。
天保九年(1838)刊の『東都歳時記』に、7月15日の盆に「中元御祝儀。荷飯(はすめし)・刺鯖(さしさば)を時食とす(刺鯖は、その色、青紫のものを上とす。能登産を上品とし、越中これに亜(つ)ぐ)、良賤生身魂(いきみたま)の祝ひ(七月の盆に、亡者の霊魂来るよしを言ひてまつるより移りて、現存の父母兄弟などの生御たまをいわう意なりとぞ)」。
まさに探し求めていた生身魂(いきみたま)・刺し鯖の歴史譚である。
ブロガーの「気ままに江戸♪」さんが、アップしていた記事に救われる江戸文化歴史検定図書の『江戸の祭礼と歳事』の「刺鯖」と「鯖代献上」。
「7月15日、祖霊を敬う行事であるとともに、生きている両親の長寿を祝う“生身魂(いきみたま)”行事もしていた」というのは、奈良県内東部山間地に、今なお継承しているお盆に生きている両親の長寿を祝う「刺し鯖」御供である。
ちなみに、「気ままに江戸♪」さんが続いて書いていた産地情報。
「東都歳事記によれば、能登産が最上に、次いで越中産だった」そうだ。
私の知る範囲では、当記事でもわかるように和歌山県産。
以前、山添村・桐山の大矢商店店主から聞いた話では、サシサバの仕入れ先は奈良県中央卸売市場であるが、作っている人は和歌山・新宮だったと・・。
また、後年になって天理商店街に商売するお店で知った仕入れ先は、北陸の福井県。
また、宝暦調書からわかった石川県羽咋郡・西海産もある。
江戸期とは違って、現代は産地文化に用をたす県民に、多様な流通経路も絡んでいるだけに、時代を遡り、調査するには限界を感じる。
また、「奈良の食文化研究会」によれば、同じく奈良県中央卸売市場の塩乾物卸売業者の奈良塩乾物㈱の仕込み。福井県丹生郡越前町の江戸時代の文書に「・・二尾一組の刺し鯖を供物・・」とあるから、『江戸の祭礼と歳事』の記載と同じだ。
民俗行事に登場する刺しさばもある。
事例は、お盆行事でなく、形態も違う島根県『津和野町史』にある鶴舞神事に頭屋儀式に添える刺鯖だが、これまで揚げていた生身魂(いきみたま)とはまったく異なる事例もある
また、刺鯖(さしさば) 初秋 – 季語と歳時記 - きごさい歳時記によれば、刺し鯖は、季語にもなるようだ。
※やっと登場した私が取材した刺し鯖ブログ記事に忘れていた「刺し鯖」は、冷たい茶粥で食べると云ったのは辻村商店の店主だった。
(H30. 8.15、19 SB932SH撮影)
(H30. 9. 8 SB932SH撮影)
気分転換に出かけた行先は、奈良市都祁白石町。
どうしても食べたくなった塩っ辛いサシサバ買い。
お盆の真っ盛りの15日の午後では売り切れも仕方ない。
気になれば、なるほどにうずうずしてくる気持ちを抑えきれなくて・・。
以前も買ったことがある食品売り場は、奈良テレビ放送で繰り返すショッピングセンターたけよしのコマーシャルソング。
「♪・・みつけっちゃたねェ~ ゆめ~いっぱい なんでもそろぅ うっ! たけよし~・・♪♪」。
午前9時から夜の8時までが営業時間。
運よく、見つかった「たけよし」の刺しさば。
1パックに1尾売りの480円。
6枚も残っていた和歌山産の刺しさばに歓喜する。
賞味期限は9月13日。
そもそも刺しさばは、保存食なんですわ。
入手した時間帯は、午後5時45分だった。
売り場の棚にあった紛らわしいPOP。
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「脂がのった昆布だし塩鯖。北海道産の昆布だしにじっくり漬け込み、まろやかな味に仕上げました」。
その横にあった手書きPOPが「サンマヒラキ」。
益々紛らわしくなるPOP文字。
鯖なの、それとも秋刀魚なの・・。
魚肌の文様でわかる鯖そのもの。
魚形から見ても秋刀魚の開きではない。
これこそ刺しさばである。
自宅に戻ったその夜。
すぐには食べない貴重な逸品。
食べたいと思うときに食卓に・・。
そうは思っていても思い通りにならない家庭の食卓。
口にするのは、私一人だけだ。
袋から取り出した刺しさばを皿に盛る。
我が家ではでかい方になる皿に、丸々一尾の刺しさばを置いた。
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記録撮影のために、まずは開いた背中を撮る。
カラカラに乾いた背の部分の文様は、真鯖。
身は厚かったと思える面構えである。
わざわざ買ってきた刺しさば。その理由は、内面の干し具合を観たかったからだ。
15日に取材させていただいた山添村勝原の民家のあり方。
撮らせてもらった刺しさばの映像は、背であった。
背を裏返して身の部分を・・の思いはあっても、そこは遠慮。
なぜなら、同家では供えたその晩にいただく馳走であるから、遠慮した。
私が買って、私が食べる。
実写に、味見をしたい和歌山県産の刺しさば。
まずは、焼きを入れる。
我が家の炊事場コンロは、ガスコンロ。
魚を焼くコンロに入ればいいのだが・・・。
なんとか入れて、火を点ける。
焼きはどれくらいの時間をかけていいのやら。
えいや、っと思う時間で終えた焼き具合。
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ぷくぷく焦げの状態。
火を止めた時間が丁度いい。
そして、遠慮なく、裏返した刺しさば。
コンロ焼きに裏返しはどうなのだろうか。
その焼きを見ることなく、箸が勝手に動き出した。
カチコチだと思っていた刺しさば。
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柔らかくもないが、ほどほどに箸が入る。
ちょっと掻い出しては口に入れた一口目の味は、想定通り。
思わず口に出る「しょっからーーい!」。
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日本酒がすすむ塩辛い味。
塩鯖のレベルではない。
とにかく、しょっーーかっ、らーーい。
塩辛いから、また日本酒を喉に押し込む。
一気に食べるには、勿体ない。
骨と皮は無用。
箸で食べられる身を剥がす。
この作業は、嫌いでもない。
むしろ大好きな作業。
どのような魚であっても、箸を用いて、身を削ぐ。
吉野の杉箸は使いやすい。
竹製の箸も使いやすい。
そのなかでも一番使いやすかったのは、生駒・高山に住まいする職人が作る竹製の割りばしである。
中でも廃材のススダケが一番だった。
二度と手に入らないススダケの箸・・・。
売っていても高いだろうな。
話しを刺しさばに戻そう。
大皿一枚の大きさだった刺しさばも、皮と骨を取り除いたら、身はちょっとに・・。
大半は私の口にちょびちょびいただいたが、ほんの少しだけを残した。
食べさせてあげたい友人たちと出会う日は、9月に入ってからだ。
毎年に訪れる十津川村の滝川。
その上流に広地がある。
そこでいただく昼めしにちょい喰いしてもらい、刺しさば味わってもらおうと魂胆したわけだ。
9月8日、メイン食の準備中に出した一皿。
見たとおり、ほんのちょっとだけの刺しさば。
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箸で摘まんで口に入れる。
その味、しょっぱぁーーイ!。
強烈なしょっぱさに、参加者全員が、一様に口走った。
塩っけが強いから夏場に相応しい味。
皿にもったほんのちょびっとが、すっかり消えた。
ちなみに全日本さば連合会会員のSさんが、FBにコメントしてくださった「刺し鯖って、はじめて知りました😂ググッたら、食べたくなりました!」に、今さらであるが、”刺し鯖“をキーに、ネットをぐぐってみたら、あるある・・。
一つは、江戸の地にも「刺鯖」があったそうだ。
江戸文化歴史検定試験にも出題される「刺鯖」と「鯖代献上」。
天保九年(1838)刊の『東都歳時記』に、7月15日の盆に「中元御祝儀。荷飯(はすめし)・刺鯖(さしさば)を時食とす(刺鯖は、その色、青紫のものを上とす。能登産を上品とし、越中これに亜(つ)ぐ)、良賤生身魂(いきみたま)の祝ひ(七月の盆に、亡者の霊魂来るよしを言ひてまつるより移りて、現存の父母兄弟などの生御たまをいわう意なりとぞ)」。
まさに探し求めていた生身魂(いきみたま)・刺し鯖の歴史譚である。
ブロガーの「気ままに江戸♪」さんが、アップしていた記事に救われる江戸文化歴史検定図書の『江戸の祭礼と歳事』の「刺鯖」と「鯖代献上」。
「7月15日、祖霊を敬う行事であるとともに、生きている両親の長寿を祝う“生身魂(いきみたま)”行事もしていた」というのは、奈良県内東部山間地に、今なお継承しているお盆に生きている両親の長寿を祝う「刺し鯖」御供である。
ちなみに、「気ままに江戸♪」さんが続いて書いていた産地情報。
「東都歳事記によれば、能登産が最上に、次いで越中産だった」そうだ。
私の知る範囲では、当記事でもわかるように和歌山県産。
以前、山添村・桐山の大矢商店店主から聞いた話では、サシサバの仕入れ先は奈良県中央卸売市場であるが、作っている人は和歌山・新宮だったと・・。
また、後年になって天理商店街に商売するお店で知った仕入れ先は、北陸の福井県。
また、宝暦調書からわかった石川県羽咋郡・西海産もある。
江戸期とは違って、現代は産地文化に用をたす県民に、多様な流通経路も絡んでいるだけに、時代を遡り、調査するには限界を感じる。
また、「奈良の食文化研究会」によれば、同じく奈良県中央卸売市場の塩乾物卸売業者の奈良塩乾物㈱の仕込み。福井県丹生郡越前町の江戸時代の文書に「・・二尾一組の刺し鯖を供物・・」とあるから、『江戸の祭礼と歳事』の記載と同じだ。
民俗行事に登場する刺しさばもある。
事例は、お盆行事でなく、形態も違う島根県『津和野町史』にある鶴舞神事に頭屋儀式に添える刺鯖だが、これまで揚げていた生身魂(いきみたま)とはまったく異なる事例もある
また、刺鯖(さしさば) 初秋 – 季語と歳時記 - きごさい歳時記によれば、刺し鯖は、季語にもなるようだ。
※やっと登場した私が取材した刺し鯖ブログ記事に忘れていた「刺し鯖」は、冷たい茶粥で食べると云ったのは辻村商店の店主だった。
(H30. 8.15、19 SB932SH撮影)
(H30. 9. 8 SB932SH撮影)