少々日にちが溯るのですが、1月4日にTOHOシネマズシャンテで上映中の映画「サンバ」を見てきました。
この映画は「最強のふたり」の主演男優オマール・シーとエリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督が『再タッグ』を組んで作られたという前評判で、「最強のふたり」のような最高に愉快で心温まる作品に違いないと勝手に思い込み、期待していました。
ストーリーは、
『フランスに来て10年、ビザのうっかり失効で、ある日突然国外退去を命じられた青年サンバ。
人生の大ピンチに出会ったのは、移民支援協会で担当となった燃え尽き症候群の元キャリア:アリスや、不正な身分証を斡旋したり、日雇いの仕事を紹介してくれる面倒見のいい陽気な移民仲間:ウィルソンといったわけありな面々。
サンバの屈託のない笑顔に引きよせられ、人種も境遇も、キャラクターも全く違う3人は、ぶつかり合いながらも、心を通わせ、それぞれがかかえる状況を少しづつ好転させていく。ところが・・・』(HPより)
というもの。
サンバの優しく温かい人柄、アリスの繊細で疲れた様子、ウィルソンの陽気さの裏にある影、その他周囲にいるキャラクターも夫々に個性的で魅力的で、リアリティがあって、気持ちが惹きつけられます。
話は悲しさや辛さの合間にユーモアや皮肉が混じり、確かに心温まり、時として笑いを誘われますが、それでも、今回はそれ以上に、根底に横たわるフランスに暮す移民たちの困難、外部の力で運命を左右される理不尽などが強く胸に迫りました。
お正月前後には日本でのホームレスの公園締め出しが心に引っかかっていて、今度はパリで風刺漫画を売り物にしている新聞社が襲撃されるという痛ましい事件に衝撃を受けるなど、日本も世界も、社会が「排除」や「分断」の時代にあることを感じさせられる中で、「サンバ」は「最強のふたり」のような楽観的で底抜けの明るさとは全く別な、社会的な重苦しさと、そんな中でも労わりあおうとする人々の健気さにやるせなさを感じさせられる作品でした。(三女)