「国立新美術館で10月10日まで開催中のヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展を、終了日前日の昨日見てきました。
展示は、「ルネサンスの黎明-15世紀の画家たち」「黄金期の幕開け-ティツィアーノとその周辺」「三人の巨匠たち-ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノ」「ヴェネツィアの肖像画」「ルネサンスの終焉-巨匠たちの後継者」のテーマ・年代別で構成されていました。
上は、「黄金期」に属するティツィアーノ・ヴェチェッリオの「聖母子(アルベルティーニの聖母子」。幼子キリストの手が下がっているのは死の予告を暗示しているとのこと。そんな幼子を見つめる聖母マリアの悲しみの表情が印象的です。
同じく「黄金期」のアンドレア・プレヴィターリの「キリストの降誕」とパリス・ボルドーネ「眠るヴィーナスとキューピッド」。「キリストの降誕」は、細部の情景が丁寧に描かれていて興味を惹かれます。左上に見えるのはアルプスの峰とのこと。ヴィーナス像は布の赤、木の深い緑がヴィーナスの肌の美しさを際立てています。
「三人の巨匠」コーナーから、ヤコボ・パッサーノ「懺悔する聖ヒエロニムスと天上に現れる聖母子」、パオロ・ヴェロネーゼ「レバントの海戦の寓意」。現実の世界には苦悩があって、その天上には聖なる世界が広がっているという世界観が、私には不思議で、興味を惹かれるところです。
「ルネサンスの終焉」コーナーから、パルマ・イル・ジョーヴァネ「聖母子と聖ドミニクス、聖ヒュアキントゥス、聖フランチェスコ」。これも画面が上下二つの世界に分かれていて、下の黒の色調が上方の黄金色の輝き、明るく優しい色調を際立たせています。
最終日前日のため、主催者お勧めの絵の絵葉書は多くは売り切れでしたが、これだけでもヴェネツィア・ルネッサンスの雰囲気は伝わってきますね。
全体に明るさと落ち着きがあって、女性像は美しく、絵の中にドラマも感じられて、楽しい展示会でした。いつか是非ヴェネツィアに訪れて、こうした絵画を町の風景や教会の建物と共に味わいたいです!(三女)