11月4・5日
『きものメンテナンスセミナー』を
受講させていただきました。
きものの汚れの種類の説明から、
現在、一般的な丸洗い(油性の溶剤を使うドライ方式)と
先日、見学させていただいた真水による流水洗い=名水洗い
違い・水洗いの特長の説明、シミ・黄変等の見積もり実習、
丸染めの説明や色彩の講義など、内容は盛りだくさん。
キモノを着るみなさんにも、
お知らせしたいことがいっぱいありました。
いつか、少しづつでもHP『Polepole Life』に
Upしていきたいと思います。
↑簡単な染み抜きの体験
あがり性の私には緊張の連続でしたが、
熱心でキャリアもある皆さんの中で大変刺激をいただきました。
あー。きものの常識や色の和名・・・。
自分への宿題もてんこ盛り「お持ち帰り」です。
追記: この記事をUPした後、アクセスが急に増えていました。
メンテに関して興味をお持ちの方が覗いてくださったとしたら
内容に触れていないので、申し訳なく思います。
それで「続きを読む」に、取り急ぎしみ・汚れのことから
通常の丸洗い・名水洗いの違いについてさわりだけでも
書いてみました。
着用後のお手入れ、どうしていますか?
たとえば・・・
着物ハンガーにかけ、よく乾かした後収納。
衿や袖口等ベンジンで汚れを落とす。
クリーニング屋さんに出す。
きもの屋さんの丸洗い(ドライ方式)にだす。
きもの屋さんの本洗い・名水洗い(真水による流水洗い)にだす。
等々・・・
インターネット・本・店頭等でさまざまな情報が
飛び交っていますが、キモノを着る頻度やご予算によって
最終的には、着る人ご自身が判断しなければなりません。
店頭で直接お客様に接する私たちは、お客様サイドに
立ったご相談相手となりうるべく、今回のような
勉強会を重ねていますが、今回の研修内容のうち
ご判断の良い参考になりそうな部分をまとめてみました。
一般的なシミ汚れの種類
1)植物油・アイシャドウ・口紅・塗料
→ 油性の有機溶剤(揮発油など)で解ける。
水に溶けない
2)汗等人体からの分泌物・新しい食べ零し・あたらしい血液
→ 水に溶ける
油性の有機溶剤で溶けない
3)鉄サビ・緑青・古くなって酸化した油じみ・汗じみ・変質した血液
→ 油性の有機溶剤に溶けない
化学薬品でとかすか漂白
4)墨 → 水・有機溶剤・化学薬品にとけない
漂白できない。
界面活性剤である程度の除去が出来るのみ。
(すす・ドロはねは水と溶剤交互の洗浄で落ちる)
このうち、
クリーニング屋さんやきもの屋さんの丸洗い(ドライ方式)は
油性の有機溶剤による洗いであり、
水洗いが、本洗い・名水洗いなのです。
着用後、目立つ汚れが無くても洗いに出す方の多くは
時間とともに黄変やカビの原因となる汗汚れを
落とすことが目的かと思いますが、驚くことに
繊維にしみこんだ汗は油性の有機溶剤を使用した
ドライ方式では落とせない。
汗を落とせるのは水洗いなのです。
和蔵(私が勤めるお店)では、名水洗いという名称で水洗いを
お受けしていますが、名水洗いという事でお預かりしますと
繊維奥の汗をさっぱりと、落とすだけでなく
一般的な油性の汚れもそれに対する処理をして落とします。
繊維の間に入った水がお着物の風合いもよみがえらせてくれます。
このように利点の多い名水洗いですが、問題は現場に行って
工程をみると仕方の無いこととはいえ和蔵であれば、
リサイクルで、かなり上等なきものの買える
料金(袷のお着物 30,000円)が掛かかるということです。
(解き洗いに較べれば解き代、お仕立直し代が掛からない分
ずいぶん、経済的になったといえるのですが。)
洗いだけではなく、シミ取や染めに関しても現在の技術では
さまざまな形でキモノを再生させることが出来るのですが、
(シミが目立たなくならない場合、丸染めのほかにその部分
後加工により刺繍や彩色等でカバーすることも可能:別料金)
料金を考慮に入れながらどのようにそれらを利用していくかは、
お着物自体のイタミ具合・価値やお客様のそのお着物に
対する思い、ライフスタイルの中でのご着用の仕方など
によっても、判断は変わってくるところではないかと思います。
店頭で判断が付きかねることも多く職人さんの目を通しての
無料お見積もりが必要になることも多いのが現状です。
+ + + +
すぐに、お役に立てる情報も書き加えさせていただきます。
1)きものを汚したら出来るだけはやく専門店に。
コレは皆さんご存知かと思いますが一般的に、特に付着後
3週間以降、著しい変化が生じるそうです。
2)季節の虫干しがなかなか出来ない場合、からっとした日に
週一あるいは月一、箪笥の引き出しを開けるだけでも
しみ・カビ防止に効果大です。
3)「着たことがない。洗いに出した後着たことがない。」でも油断大敵。
たたみなおした手のわずかな汗、一緒にしまったきものや
箪笥に残ったみえないカビからも変化は始まります。
4)ご相談・お見積もりは無料です。
シミ・カビがすすむ・広がるものです。
ご心配のある方は、ダメージを最小限に
食い止める為にも、早いご相談をお勧めします。