新しく出たアルバムを手に入れようとショップに来たのに、それがないとなると手ぶらで帰るのがいやでつい知らないものを拾ってしまいます。
知っていればこれは拾わなかったと思うアルバムです。
pianoとtrumpetとdrumsの変速トリオのアルバムです。イタリアのこのピアニストは他にもアルバムを知っていますが、トランペットは知りません。
2007年イタリアのフェスティバルでのライブ録音です。最初聞き出した時はフリーに近い演奏でアリャーとおもい、聴き進むうちにそうでもないと思いだしました。
地学という学問が好きな方がいますね。ハンマーで岩石なんか叩いては一生懸命集めて標本をお作りに成る。その石をながめてはうれしそうにしている人たちです。
私どうもそれには歓びを感じそうもありませんが、決して変だとは思いません。
このアルバム聴き進んで行くうちに、この岩石の標本を思い浮かべました。なんだ岩じゃんなどと思わず、じっくりとそれをながめ回すと気にいるところがあります。この記事の題を岩石の標本とするか鉱石の標本とするか悩みました。ちょっと調べたら、鉱石は岩石は違ったものです。この両者の関係は、よく「生物体」と「細胞」の関係にたとえられます。生物体を「岩石」とすると、それは様々な種類の細胞「鉱物」で構成されている、といった具合です。細胞の一つ一つは鉱物であるが、それが多く集まり固結していると岩石と呼ばれるようになります。鉱石は岩石をよーくながめるとその中に見つかるものです。
このアルバム、ちょっとごつごつした感じなので、岩石の標本を見るようにじっくり聴くとわかる気がします。“Counterpoint”“Thelonius Mood”“Steady”曲の題名からみてもあまりきちんと作曲したものでなく、ビートとかメロディをそれぞれ触発しながら演奏しているみたいに感じます。互いの反応と中に結晶した鉱石が発見できるということでしょうか。
でも私2曲目kenny Wheelerの曲“Doing Time”が一番面白いと思うし、6曲目の“Now”もJAZZ度が強く感じます。やはりコアはあるほうがいいと思うのですが。
ピアノはイタリアの中堅といわれる人でごつさを感じますが悪くありません。トランペットはエンリコ・ラバの若いときに似ていますか、あまり好みでありません。ドラムスはとてもオーソドックスでいっそのこともっと破裂したほうが面白くなったかも知れません。ということでじっくり眺めえれば良いと思うところありですが、ちょっと好みとは違いました。
岩石や鉱物のイメージをしていたら気がつきました。なんとアルバムタイトルは「hard lights]でジャケットの写真は水晶石みたいな鉱石に光が当たっているものです。デザインした人も同じように感じたのでしょうか。
hard lights / Arrigo Cappelletti
Arrigo Cappelletti (p)
Ralph Alessi (tp)
Nicola Stranieri (ds)
1 Counterpoint
2 Doing Time
3 Thelonius Mood
4 Habanera
5 Steady
6 Now
7 Spaced