これ面白いかもと去年買っておいて置いてあったものを読みました。
民族の殲滅をめざして600万人の人々を虐殺したナチに対しての復讐をテーマにしたノンフィクションです。
母親から赤ん坊を奪って炉に投げ入れてしまうような、またさかさ釣りにして水桶に頭をつける状態にして弱って死に至るのを楽しんだナチがいたこと、アウシュビッツなどの史実は知らないわけではありませんが、そこに残された民族に対してのまれにみる逸脱は改めて驚く内容です。
この本はナチの行為の事実は記述ありますが、内容は戦後、世界中に逃走したナチに対しての復讐に関しての記述になります。
知っていること以外に驚くのが、自分の権力の保全のため利権の為にナチをかばい続けた政治家や、ナチの闘争を支援したカトリックたちには、あまり知らなかったのでこれは驚きました。
本自体は1998年ハヤカワからでていたものですから17年まえ、その後のナチへの追求がどのように展開されたかも気になります。
600万人の虐殺にたいして、復讐者が法にかけたり、自己で処刑した数は千から二千人だそうです。
ここで示されているのは、残されたもの人たちが復讐に臨んだ意思。
法と正義が一体になっていないなら、どちらを取るか、選択せざるえない。だから復讐者たちは危険を充分承知のうえで、正義をえらんだのである。
表現が適切ではないけれど、平和な境遇で生まれて、ところがその時代の人々を知らないわけではない我々は、何をいまさらと思うかもしれなせんが、一つの歴史の回答を得たような気分です。
知識にある程度この史実を持っている方には是非お薦めです。