二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

知的興奮満載の書! ~福岡伸一「動的平衡 2」を読む

2022年09月14日 | エッセイ(国内)
まさに知的興奮満載!

■福岡伸一「新版 動的平衡 2 生命は自由になれるのか」小学館新書(2018年刊)

新しくやってきたこの本が、3-40冊はあるほかの本を押しのけて、目前に躍り出てきた。
軽く斜め読みしたり、あとがきを読んだりして、読書の優先順位がさだまってゆく。途中まで読んだのが、2冊ある。
養老先生つながりで、福岡伸一ハカセへの興味が再燃した(^^♪

以前、新書大賞・サントリー学芸賞をW受賞し、50万部を突破したという「生物と無生物のあいだ」をとてもおもしろく読ませていただいた。
そのあと「動的平衡」「ルリボシカミキリの青」などを手にしたけど、終わりまでキチンと読まなかったなあ。
ところがYouTubeで、講演・対談などを拝見しているうち、「おお、お!」と俄然興味がわいてきた。

生物学、地学は、高校時代から好きだった分野。養老先生や福岡ハカセは、理系と文系を架橋する、卓越したユニークな著作家である。

少し長くなるが小学館のホームページより引用してみよう。
《「私たちはなぜ『うま味』に惹きつけられるのか」「海外旅行に行ったとき、お腹の調子が変になるのはなぜなのか」「人間の行動は遺伝子に支配されているのか」「生命は宇宙からやってきたのではないか」「ヒトとチンパンジー、遺伝子はほぼ同じなのに、なぜ大きく異なるのか」「ヒトにフェロモンはないのか」「ヒトは遺伝子に動かされている乗り物なのか」など、誰もが一度は考えたことがあるような、身近な疑問を考えつつ、最新のサイエンスを紹介する、大人気サイエンスエッセイシリーズの第2弾。
福岡ハカセの絶妙な語り口を味わいながら読み進めるうちに、いつのまにか、「生命の本質とは何か」という根源的な問題を探求していることに気づきます。今回、「時間とはなんなのか」を考える新章も追加。知的な興奮が味わえる「福岡ハカセの生命理論」の決定版です。
第1巻を読んでいても、いなくても、ハードカバー版を読了した方にも楽しんでいただける1冊です。》

なかでもわたし的に興奮させられたのは、
第5章 バイオテクノロジーの恩人
第8章 遺伝は本当に遺伝子の仕業か?
第9章 木を見て森を見ず
第10章 「動的平衡」時間論

・・・であった。
福岡ハカセは、ハーバード大学の研究員をしていた、専門家中の専門家。
そういう人が、文系の素人にもわかることばを探し、わかりやすく専門分野の“キモ”を講義してくれている。
「う~ん、どういうことだろう」
いま一つピンとこないところがあるのは、わたしが福岡伸一さんを、十分読みこなしていないせいだ。

《だから個体の死というのは利他的なあり方なのである。》(第9章「木を見て森を見ず」259ページ)
ここにさしかかったとき、思いがけず胸が震えた。
本編のオビには「身近な問いから始まる知的興奮の旅!」といった大文字のコピーが躍っているが、このCMは掛け値なし・・・だと思われる。
わたしはしばし、眼が点になるような興奮を味わった。

「動的平衡」というキーワードをつくった(蘇らせた)福岡ハカセに感謝申し上げまする。
本編は以前は単行本で刊行されていたはずだが、現在は小学館新書で、第1巻、第2巻、第3巻を読むことができる。
講談社新書「生物と無生物のあいだ」が世に出たのは、2007年。それから・・・福岡ハカセの周りを、世界が、時代が一巡したのだ。
調べればすぐにわかるが、分子生物学・博物学の分野のみならず、「ドリトル先生航海記」の翻訳(新潮文庫)までしているのだから“大活躍”といっていいだろう。

本編を読む前に、「せいめいのはなし」(新潮文庫 平成26年刊)という対談集を読ませていただいた。しかし、こちらはレビューは省略。
本編には「『せいめいのはなし』をめぐって」という長いあとがきが付されていて、これもおもしろいエッセイになっている。
福岡ハカセは、一方ではフェルメールの大ファンで、世界にちらばっている37点すべてを見て歩いた人として知られている(「フェルメール 光の王国」は手許にあるけど未読)。



ほかにもこんな著作があるので、いずれ上空を飛行し、どんな光景が拡がっているのか確認してみよう♪



評価:☆☆☆☆☆


<おまけ> 福岡ハカセとはルリボシカミキリつながりでもある。↓


   (交尾するルリボシカミキリ。2014年6月 長瀞にて撮影)


<おまけ2> つぎに読もうかしらとスタンバイさせてある中野京子さんの本。
   
   (「名画の謎 対決篇」 文春文庫)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« けん太も家族の一員 | トップ | 大笑い!? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

エッセイ(国内)」カテゴリの最新記事