のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

スケールマシン(スケール号の冒険)

2019-06-14 | 5次元宇宙に生きる(神)
          四、命のおわりに

 

 スケール号は暗い宇宙空間を一直線に飛んでいる。それはまるで定規を当てて線を引くような正確さで星と星の間を移動しているのだ。

  スケール号は光速で飛んでいた。

 横からスケール号を見ているものがあったとしても、光が一瞬前を横切ったと言うぐらいしか分からなかっただろう。と言うのも、光は一秒間に地球を7回り半も走ることが出来るんだ。一緒に走りだしたら一歩進む間に地球を一周した光に7回も追い越される。スケール号はそんな速さで飛びつづけている。

 土星のような星の影の中でキラリとネズミの目が光り、その目の中にスケール号が光の線となって映し出された。まぶたのまたたくその一瞬の出来事だった。

  その光の速さで、スケール号は飛んで行く。目指すは、はるか彼方にあるピンクの銀河、そこがどれだけ離れているのか、だれも知らない。

  とにかく宇宙はとてつもなく広いのだ。何億年、光の速さで進んでも、その果てに行き着くことはないのだ。ピンクの銀河がもし宇宙の果てのほうにあったら、スケール号がどれだけ頑張って飛んで行っても何億年もかかってしまう。もしそうだったら、艦長も乗組員も、生きてはいないだろうし、スケール号だってすっかり溶けてなくなっているだろう。

  それでもスケール号はピンクの銀河を目指して飛んでいる。

  「神ひと様に会いたければ、まずピンクの銀河を見つけるがよい。」

  長老シリウスはそう言ったのだ。

 「ピンクの銀河、それは何処にあるのですか。」

  「あの十字架の形をした星座の中心に向かって進むのだ。だが、」

  「だが、何なのですか。」

  「どれぐらい遠いものやら、光の速さで行っても、何万年、何億年かかるやも知れぬ。それでも行くのか。」

 「行きます。」

  艦長はいきおいで答えた。しかしそれがどんな事を意味するのかよく分かっていなかった。 

  「艦長、何億年もかかったら、とても生きて行ける所じゃありませんよ。どうするんです。」ぴょんたがびっくりして聞いた。

  「心配するな、何とかなるさ。」

  艦長は無理をして答えたが、さすがに自信がなくなって、博士を見た。その目は無言で博士に助けを求めていた。

 「時間にこだわる事はない。我々は今、シリウスの二倍の大きさになっている。つまり宇宙の、星の時間の中にいるのだ。人間の一億年など、星の時間から見れば一日程の長さにすぎないんだ。心配することはないだろう。」

 「へーっ、そんなものでヤすか。」

 「それにこのスケール号はまだすべての能力を出し切っている訳ではない。」

 「もっとすごい事ができるんですか。」ぴょんたが耳をピンと伸ばしてたずねた。

 「スケール号は艦長と共に進化して行くのだ。艦長の意識が高まって行けば意識の速さで飛ぶことだって出来るだろう。」

  「なんだかよく分かりませんが、それって光よりも速く飛ぶことが出来ると言う事ですか。」

 「その通り。意識の働きは光よりも速いのだ。どんな所にでも一瞬で行くことが出来る。もっともそのためにはこの世界をより深く理解する意識の働きが必要なんだがね。」

 「どこにでも一瞬で行けると言うのは、ワープの事ですか。」

 「いや、ワープは、あらかじめスケール号に行き先を覚えさせておかねばならないんだ。だから、行き先の位置がはっきり分からなければワープすることが出来ない。だから今、我々が行こうとしているピンクの銀河もその位置がはっきりしないためにワープ出来ないんだ。」

 みんなは博士の言葉に聞き入っている。

 「ところが、艦長の意識が高まると、それがスケール号に伝わって、艦長がピンクの銀河を意識するだけで、一瞬のうちにピンクの銀河に移動することが出来るようになるんだ。」

 「ああっ、むつかしいだス。もうだめだス・・・」

 ぐうすかが頭を抱えて、うめくように倒れ込んだ。そしてそのまま床に転がって動かなくなってしまった。

 「どうした、ぐうすか。」

  艦長がぐうすかに駆け寄った時には、すでにぐうすかは、いびきをかいていた。 

  「やれやれ、ぐうすかの奴、これで結構頭がいいんだから、嫌みなやつだよ。」ぴょんたがぐうすかを蹴飛ばして言った。

 「えっ、ケーキだスか。うれしいだス。ムニャムニャ」

 蹴っ飛ばされたぐうすかは、眠ったままうれしそうな顔をして、口をモグモグさせた。よだれがあふれて来た。夢を見ているのだ。

 「汚ねー。」ぴょんたが呆れた顔をした。

 「幸せな奴でヤすな。」

 「まあまあ、」艦長が二人の間に入った。

 「ぐうすかにはぐうすかのやり方があるのだ。それを認めてやろうじゃないか。」艦長が笑いながらぐうすかを見て、そう言った。

 「分かりました。」

 「分かったでヤす。」

 二人共、首をすくめて笑った。

 「ようするに、我々は必ず、ピンクの銀河に行くことが出来ると言うことだ。」

 博士にそう言われて、艦長はやっと安心した。

 それにしても、意識が高まればスケール号を光よりも速く飛ばせると博士は言ったけれど、どう言うことなのだろう。

 そういえば、彗星モクモクを助けに行ったときだったが、捕らえられていた地下室から、心の中でスケール号を呼んだら、助けに来てくれたことがあった。もしかしたらその事と関係があるのだろうか。

 どうしたら、そんなすごいことが出来るんだろう。艦長はひとしきり考え込んでいた。

 すると、艦長の心を見透かしたように、博士が言った。

 「艦長、むつかしく考える必要はないよ。」

 「えっ、でも、博士。」

 「君はスケール号の立派な艦長だ。どうしようなどと考えることはないんだ。ぐうすかが、ぐうすかのままでいいのと同じように、君は君のままでいい。そうすればいつか時期が来る。時期が来れば花が咲くように、自然にスケール号を意識のままに操れるようになるだろう。」

 艦長はうれしくなった。博士の言っていることはよく分からなかったけれど、少なくとも、自分はこのまま頑張っていればいいという事が理解出来たのだ。

 

(つづく)

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宇宙の小径 2019.6.14

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ワープ(瞬間移動)

 

三次元の世界はものが存在する世界。

ものはただ存在しているだけで動かない今だけが永遠に続いて行く

 

その三次元の世界に空想の力が働いて

過去と未来の方向に三次元の世界が並んでいく

過去の三次元から未来の三次元まで

動かなかった視界は紐のようにつながる

これが時間、四次元の世界だ

 

このひものような世界の両端をくっ付けると

わっかが出来て「今の時間」と「行きたい時間」がつながる

これがワープである

瞬間移動は四次元の世界の産物だ。

 

ところが五次元では

瞬間移動を通り越して

即身仏的なイメージが成り立つ

空間は移動しなくてもすでに目的地なのだ

スケールの世界を旅するという事は

己を自覚するという事と

同じことなのだ

 

 

 

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