ティオマン島行きのフェリーは、首都クアラルンプールからバスでマレーシアを東に横断する形で7時間行ったメルシンという港町から出ている。
メルシンからティオマン島まで3時間程度だ。
折しも隣国シンガポールの学校休みと言う事もあって、メルシンのフェリー乗り場はシンガポール人観光客でごった返していた。
「ブルーヘブンズダイバーズ」のアキさんによれば、シンガポールからメルシンまでバスで3時間程度なので、シンガポール人にとって島ティオマンは最も身近なリゾート地であるらしい。
華僑の女の子がしていた中国銭とタビーズ。民俗資料としてタビーズだけの撮影を頼んだ積もりが満面の笑みでピースしてくれた。
ゴメンね、おぢさんは胸元のタビーズにしか興味が無いのだよ(笑)
タビーズに施された線刻模様も中華風に観えなくはない。
以前のティオマン行きフェリーは屋上デッキに登れたので展望が良かったのだけど、少し前に転落事故があったそうで、乗船客は冷房のきついキャビンにじっとしていなくてはいけなくなっていた。
船内は我々のような外国人バックパッカーは少数で、シンガポール人が大部分。
肌の浅黒いマレー系の人々は比較的静かなのだけど、困った事に華僑系の人々は声が大きく騒々しいのだ。
華僑の女の子が奇声をあげて走り回っていても、親は注意しなかった。
強すぎる冷房と騒々しさを避けて、船尾デッキにある6人程度が座れる屋外喫煙所に退避した。
ティオマン到着まであと1時間という頃、我が憩いの喫煙所に船内で走り回っていた華僑の女の子がやってきた。
あっち行け、シッシッ!と心の中でつぶやいたのだけど、間近で見た女の子の胸元にタビーズが飾られている事に興味を持った。
タビーズとは、インド以西のモスリムやヒンドウー教徒のお守りで、銀製カプセルの中に経文やグル(宗教的指導者)から授かった縁起物や魔除けなどが封じ込められたペンダントである。
してみるとモスリムの華僑?
それとも仏教か道教が宗派なのだけど、お守りとしてタビーズを用いているのか?
面白いのはタビーズと中国の古銭が組み合わされて事。
東南アジアでは中国の孔開き古銭は福を呼ぶ縁起物で、このコラボレーションは東南アジアならでは。
彼女のタビーズは、彼女一家の歴史や東南アジアの歴史を物語っている。
マレー半島は文化の交差点なのだ。