チェルノブイリ原発事故により、放射線汚染地域としての退去命令に従わず、ウクライナの寒村(現在はベラルーシらしい)に住み続ける人々を追った本橋誠一監督の20年前のドキュメンタリー映画「アレクセイと泉」の村人は、今どうしているのだろうか?
村に残ったのは老人ばかりで、「どこで何をして暮らせというのか?放射能がなくても、どうせ先は長くないさ。住みなれた村で死にたい」と答える。
不思議なことに強い放射線に汚染された村のはずなのに、住民が飲む泉からは放射線は検出されず、老人たちは「この泉は100年前の湧き水だからさ」と笑う。
森のキノコも「食うなと言われても、こんな美味いものを食わない方が体に悪いよ!」と、昔ながらの生活を崩さない。
老人ばかり残ったの村の唯一の若手が、朴訥なアレクセイ青年で、村の力仕事を担っている。
よく働きよく笑い、つつましく暮らす善良な人々が、大国の杜撰な管理により発生した原発事故、今度は戦禍に翻弄されているのだろうか?
戦禍の人々に想いをはせる。