いただきものの映画DVDシリーズ第二作目は、1965年製作のコメデイ映画「グレート・レース」。20世紀初頭に行われたニューヨーク・パリ間の自動車レースを漫画チックに描いた大ヒット作品。
小学生の時にテレビの映画劇場で観た時、アニメ「チキチキマシン猛レース」の元ネタであることに気が付いていた。
犬のケンケンのモデルになった悪役の助手が、「刑事コロンボ」で人気者になる前のピーター・フォークであることにも気づいていたが、視聴しているうちに忘れていた小学生当時の発見がよみがえってきて実に楽しい映画だった。
善玉のトニー・カーチスは車も服も白づくし、悪玉(ブラック魔王の元ネタ)のジャック・レモンは黒づくし、紅一点のナタリー・ウッドはピンクづくしのわかりやすいキャラクター設定だが、シリアス演技も定評のある名優たちがコメデイを演じるのだから、面白くないハズがない。
右が悪玉のジャックレモンと手下のピーターフォーク。「チキチキマシン猛レース」ではブラック魔王と犬のケンケンになっている訳ですね。
子供の頃に大人気だった「チキチキマシン猛レース」のケンケンとブラック魔王。ケンケンの「ヒヒヒヒヒ」という笑い方を真似した子供はたくさんいたと思う。わたしもそのひとり(笑)
昔の西部劇によくでてくる酒場の大乱闘や、美人女優のナタリー・ウッドにも容赦ないパイ投げ合戦の場面などなど、コメディ映画の要素が盛りだくさん。
ジャック・レモンの吹き替えは愛川欽也が定番だが、劇中でレモンがなんどもする高笑いと愛川さんの笑い方がそっくりで、もしかしたら愛川さんのコメデイタッチの演技はレモンから影響を受けているのかも?それにしても最初にレモンの吹き替えに愛川さんを起用した演出家の慧眼にも敬意。
それと主演のトニー・カーチスの絵にかいたような二枚目演技と、抜群の身体能力に惚れ惚れする。
この人は史劇でも見事な剣劇アクションを披露しているが、この映画にも剣劇場面があり、いわゆる様式美の殺陣ではなく、クロサワ映画の三船敏郎のようなリアルな殺陣がスリル満点。
また立っているだけの演技で、王子様キャラの雰囲気を醸し出すことのできる俳優でもあり、まさしく「銀幕のスタア」と呼ぶに相応しい。近頃はこんな俳優はいないナ。
トニー・カーチスが女性に笑いかけると、目や歯がキラリと光るマンガチックな演出など、この映画は「チキチキマシン猛レース」だけでなく、後の映画や漫画に与えた影響は計り知れませんな。