江戸時代から続いた新潟市の書店「北光社」の閉店の動画を見つけて涙した。
新潟古町 「北光社」 閉店
出版業界の不況に加え、ネット通販の便利さと引き換えに、文化の殿堂がなくなった哀しい日。
新潟市に住みバックパッカーをしていた20代の頃、北光社の美術コーナーに横尾忠則の新刊の画集が並んでいた。3万円以上もするので購入を諦めたが、近くの女性店員さんに「今は買えないけど、人気のある作家だからいつか再販されますよねぇ・・・」と恐る恐る聞いたら、「画集は再販されることはあまりないのですが、もしよろしければ分割支払いできますよ。」と救いの言葉。
耳を疑って詳細を聞いたら、金利無し、定額支払いでもなく、ある時払いの催促なしと夢のような申し出。住所と氏名だけ記入して、財布の中の有り金から食費の2,000円ほど差し引いた8,000円を手付金に画集を買った。
初対面の私を信用してくれた店員さんの意気に応え、生まれて初めて家計簿を作って金を捻出し、2か月で完済した。
北光社の経営者はよほどに本と人が好きだったのだろう。その気持ちは店員さんにも行き渡っていたから、こんな人間臭い客と店員のやり取りもあったが、ネット通販ではあり得ないできごと。
つまりは本屋は文化の拠点、ネット通販は文明の利器。拠点を無くしては文化はどうなるのか?街の彩と潤い、人間臭さと便利さのどちらを選びますか?その選択は我々に委ねられている。
我が青春の北光社が2010年に倒産して、古町の彩が失われた。新潟市の映画館は「シネウインド」が頑張っているが、私は本屋と映画館のない街に潤いを感じない。
街から文化の拠点が失われる喪失感を味わいたくないから、本は近所の本屋で注文し、絶版本のみネットで古本を買うようにしている。
アウトドア衣料は小売店で試着して、家電販売店で説明を聴いた上で、ネット通販で安く購入すると自慢する人がいたが、心が痛まないのだろうか。地元の小売店を大事にしようではないか。本は本屋で買いましょうよ。
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