落語家の春風亭柳昇(春風亭昇太の師匠)のベストセラーで映画化もされた「与太郎戦記」に、新兵時代は夜毎に上官から性的暴行を受けていたことが書かれている。
落語家だから明るい筆致で「最後の一線はこえさせず操をまもり通した」旨で笑いばなしのように書いているが、どこの国の軍隊も似たようなものであったらしい。
柳昇師匠は中国大陸で対空砲部隊の小隊長になったが、護衛もなく南方に転戦したときの輸送船の唯一の武器が「秘密兵器」として積まれた打上げ花火で、空襲時はこれを打ち上げて応戦しろと命令された。実際に打ちあげたら米軍機は驚いて逃げていったそうだ。
悲惨な戦争体験を笑いに昇華させた落語家。明るく軽やかな芸風で、必ず客席を沸かせる名人だった。
昭和史に興味をもったら、芸風そのままの本書を読めばとっつきやすいと思う。
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