縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

戦争映画のファンタジー化を危惧・・・戦争を知らない世代が作った戦争映画

2021年08月20日 07時11分40秒 | 記録しておきたいヒト・モノ・本・映画

映画界に戦争体験者が大半を占めていた時代の戦争映画と、戦争を知らない世代が作った戦争映画では明らかにトーンが違い、最近は一種のファンタジー映画になっていることに危惧を感じる。

人格円満でニコニコと超人的に達観した山本五十六像では、原作者で五十六贔屓の半藤一利さんが泣くよ。

①善玉と悪玉を二項対立的に描く
②人間愛に溢れる主人公が時流に翻弄される悲劇
③無頼漢のようなマンガチックな軍人像
④饒舌なセリフと大仰な演技で説明し過ぎる
⑤目を剝き、顔に力を入れた安直な怒りの演技
⑥SG頼りの戦闘場面はお見事でも、人間が描き切れていない
 
一蓮托生の軍艦の中で寝食を共にする上級将校たちが、口角泡を飛ばすような喧嘩腰の議論などできる訳がない。
東宝の名作「太平洋奇跡の作戦 キスカ」など、実に冷静に議論しているではないか。これがリアリティ。
 
海軍は陸軍のように肘を45度の角度に曲げた敬礼はしないし、海軍軍人の一人称は「私」であって、「自分」は明治期に長州閥が上層部を占めたために長州弁が広まった陸軍の一人称。もう滅茶苦茶に混ざっている。
沖縄に向かう作戦行動中の夜の甲板に集まり不安を語らう初年兵に対し、叱って兵員室に戻すべき立場の下士官から握り飯をふるまわれる・・・海軍用語で銀バエという犯罪行為ですから公平に!(笑)
 
80年代くらいまでは戦争体験者が撮影現場にいたし、元軍人が時代考証を担当していたからリアリティはあったが、「スターウォーズ」を観て育ち、戦争ってこんな感じ?と、戦争に冒険の要素や、ある種のロマンチズムを感じ取る世代が撮影現場を占めるようになっているのではないか?
ベタベタのヒロイズムやロマンチズムで描かれた戦争映画ばかりではやばいよ。
 
実のところ、太平洋戦争を主導していった陸軍軍人や右派政治家たちには、現実を客観視しない冒険主義と、八紘一宇の甘美なロマンチズムやヒロイズムに満ちていたことを忘れてはならない。
出撃しながら一発も撃たずに生還を繰り返す戦闘機搭乗員が本当にいたなら敵前逃亡罪に問われ、味方の戦力が減る利敵行為どころか裏切りとなり軍法会議モノ。命がけで戦っていた元搭乗員は怒るだろう。
 
戦争を過去の悲劇として描くだけでなく、50年後に我々が悲劇の主人公として戦争映画が作られないようにするには?と自然と考えが向くような、骨太な戦争映画が出てきて欲しいもんだ。
 
 
 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿