黒曜石で勾玉を作ってみた。
旧石器時代から出土する黒曜石の加工品は、叩いたり押圧剥離して整形した石器が大部分だが、勾玉も若干出土しているようだ。
押圧剥離とは、黒曜石やフリント、チャートや瑪瑙といった硬い石の端っこにパキパキと鹿の角を押しつけて剥離していく技法で、旧石器時代から世界各地で行われていた石槍や石斧、石ナイフなどの整形方法である。
このような加工技法で作られた石器を打製石器と呼び、旧石器時代とは打製石器を使っていた時代という意味である。
黒曜石は天然のガラスだから、鹿角で叩けば簡単に大割することができ、研磨しなくても光沢があり、刃も鋭く作ることができるが、磨製石器のように砂岩などで研磨すると表面は逆にザラザラになってしまう。
因みに新石器時代とは、打製石器も残しながら磨製石器が使われるようになった時代であり、日本列島では縄文時代のことだ。
ぬなかわヒスイ工房では、枯渇する一方の糸魚川ヒスイ原石の入手が困難になってきていることもあり、これまで蛇紋岩類などの糸魚川ならではの石材を使った新商品を開発してきたが、今回は黒曜石で磨製の勾玉を作ってみた。
打製の黒曜石製品は多いけど、磨製の黒曜石製品はあまり見かけないし、恐らく勾玉は誰も作っていないだろうから、ちょっと自慢。
原石は黒い塊だったが、研磨途中で光りを透かしてキズのチェックをしていて気づいたのだけど、黒一色の黒曜石に縞模様が入っていた。
これだから加工は面白い。
黒地に赤い斑模様が入った黒曜石を特に「十勝石」と呼ぶのだと聞いた。
十勝石で作った矢尻型ペンダント。
十勝石は、黒い黒曜石のような透光性は無いようだが、これも面白い。
ヒスイ関係者はヒスイで勾玉ばかりを作る人が多いのだけど、まだ誰もやっておらず、面白い可能性を持つ石材や製品が沢山あると思う。
アイデアがドンドン湧き出てきても、作る時間がなくて困っている(笑)
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