ドイツコダック社が1934年から第2次大戦前から戦後にかけて製造した35mmビューファインダーレンズシャッターカメラRetina(レチナ)。その中の戦後の1946年から1949年まで製造されたのが、今回紹介するRetina II(#011)です。
ちなみにRetina IIはレンズ固定フォールディングカメラで、1936年の最初の型(#122)から始まり、#142→#011→#014と1951年まで製造されていたようです。※1 #142については以前にご紹介していました。
Retina II #110のレンズは、シュナイダーのクセノン50mm F2、ローデンストックのヘリゴン50mm F2 と私が入手したレチナについていた米国コダックのエクター47mm F2の3種があったようです。(※1、2)
エクター47mm F2は、第2次大戦末期に米軍通信隊の依頼でニューヨーク・ライツ社の下請けだったプレミア・インスツルメント社に作らせたライカIIIaのコピー機であるカードンの標準レンズとして、米国ロチェスターのコダック社から供給されていたものが有名ですが(※3、4)、カードン用のライカLマウントのレンズは、数も少ないため、現在でもものすごく高価で取引されているそうです。レチナIIのエクター47mmもカードン用に供給されていたものと同じ構成のものと言われています。シリアル番号の冒頭のEOは1946年製であることを表しています。(※1)
私が入手したRetina II は、ボディの表面は剥がされ錆が出ており、巻き上げノブは外され、蛇腹は破れており蓋が閉まらない、というジャンクカメラでした。幸いにしてレンズはわずかな傷や汚れがあるものの、使えそうな状態ですので、レンズだけを摘出したいと思ってトライしましたが、なかなかうまくいきませんでした。またいつかもう一度チャレンジしてみようかと思っています。
参考資料
※1:山嵜省一(2004)「コダック・レチナII」『スプリングカメラでいこう』 p.52,写真工業出版社
※2:片山良平「特集2 レチナのすべて」『カメラレビュー クラシックカメラ専科34 ローライ二眼レフヒストリー、レチナのすべて』1995年9月発行,p.30,朝日ソノラマ社
※3:西ゆうじ(1999)「憧憬のレンズ”エクター”」『クラシックカメラ劇場』 p.84,主婦と生活社
※4:武田正一郎,岡田誠一郎,田村影英「ライカスクリューマウント ノンライツ特集! コダックエクター」 『カメラスタイル13巻』2001年11月発行,p.28,ワールドフォトプレス社