温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

茅沼温泉 憩いの家 かや沼

2014年03月26日 | 北海道
 
私はいくら温泉バカであるとはいえ、風光明媚な土地を訪れておきながら、温泉以外には目もくれずにひたすら温泉を追い続けているわけではなく、時間の許す限り、その土地の風土や文化を体感できるようなアクティビティにも参加しているのです。前回取り上げた「テレーノ気仙」をチェックアウトした私は、すぐさま釧路湿原で水を湛える湖沼の一つである塘路湖へと向かい、カヤックで湖から釧路川へと下って、湿原の自然にたっぷり抱かれたのでした。


 
この日は湿原全体がかなり増水しており、塘路湖から川へ向かうべく釧網本線の鉄橋を潜る際には、身を屈めないと頭をゴッツンとぶつけてしまうほど、鉄橋と川面がスレスレな状態でした。また、普段は陸地である箇所も増水によって水没しており、木々の茂みの間をカヤックですり抜けるという摩訶不思議な体験ができました。



途中の流れが淀んでいるところでコーヒーブレイク。ちなみに今回のカヤックのアクティビティはナヌークさんに申し込みました。ご夫婦で運営なさっているとってもアットホームな業者さんで、私のような一人客でも追加料金無しで催行してくれましたし、とにかく親切で良心的。一緒についてきた子どもたちはすぐに私に懐き、たくさんじゃれあいましたが、別れ際には下の女の子が泣いちゃいました。オイラもつられて泣きそうだったよ…・


 
さてさて、カヤックでちょっと冷えた体を温めるべく、陸に上がった後は、茅沼温泉「憩いの家 かや沼」でひとっ風呂浴びることにしました。シラルトロ沼を臨む小高い丘の上に位置する大きな公営(標茶町観光開発公社)の宿でして、広い敷地内にはキャンプ場やパークゴルフ場も併設されています。また釧路湿原国立公園で唯一の天然温泉でもあるんだそうです。訪問時は正面玄関が改修工事中でしたので、仮玄関より入館しました。



入浴料金はフロントで支払います。温泉分析表はこのフロントに掲示されていました。


 
浴室入口には靴棚が置かれており、これによって男女の入口を分けていました。広くて清潔感溢れる脱衣室には、床に塗ったワックスを乾かす際に使いような大きなファン(扇風機)が用意されているので、湯上がりのクールダウン対策もバッチリです。



奥へ長い造りになっている浴室には多様な浴槽があり、それぞれには掛け流しの温泉が用いられています。


 
洗い場は後述する「癒しの湯」という浴槽を挟んで前後2箇所に分かれて配置されており、計12基のシャワー付き混合水栓が並んでいます。なおシャワーから出てくるお湯は真湯です。


 
前後に分かれた洗い場の中間には打たせ湯が1本用意されている他、その反対側には立って使うシャワーも設けられていました。


 
浴室に入ってまず左手に見える浴槽が「やすらぎの湯」(HPでは「源泉の湯」)。湯口側は段々になっており、最上段の供給口より吐出されたお湯がステップを伝って下の浴槽へと流れています。加水されていない源泉そのままのお湯が供給されているため熱めの湯加減となっていまして、私の体感だと44℃くらいだったように思います。大きな浴槽を満たしたお湯は縁から床へと溢れ出ており、床を流れるオーバーフローはまるで川のような状態でした。



2つの洗い場に挟まれる形で浴室の右側に据えられているのが「癒しの湯」と称する浴槽です。こちらの浴槽はちょっと浅めの造りになっており、浴槽に腰を下ろすと胸あたりまで浸かる感じでした。宿側の説明によれば「半身浴や横になっての入浴に最適です」とのこと。


 
内湯の主浴槽であるこの岩風呂は、万人受けする42℃くらいの湯加減に設定されていました。その名前の通りに縁には岩が並べられているばかりでなく、底面にも鉄平石のような石材が敷かれており、タイル貼りである内湯の他の浴槽とは一線を画する雰囲気を放っていました。


 
露天風呂はシラルトロ沼を見下ろす丘の上に位置しており、お風呂からは湿原を見晴らす眺望が…と言いたいところですが、実際には斜面に自生する木々によって視界が遮られ、梢の隙間から湖面がチラチラと覗く程度でした。でも訪問した日は真っ黄色に染まった紅葉が美しく、また下の湖沼から木々の間を吹き抜けてくるそよ風も爽快で、実に心地の良い湯浴みを楽しむことが出来ました。



お湯は僅かに黄色を帯びているようにも見えますが、ほぼ無色透明といって差し支えないでしょう。溶存物質9.745g/kgという数値が示すようにかなり濃い等張性の食塩泉でして、飲泉許可も得ている立派な掛け流しですから、実際に湯口のお湯を掬って口にしてみますと、とてもしょっぱく、そして弱い出汁味も感じられます。またアブラ臭に似たようなモール泉っぽい匂いも嗅ぎ取れます。塘路湖一帯はかつて海だったそうですから、地熱によって温められた化石海水がこの茅沼温泉なのかもしれませんね(間違っていたらゴメンナサイ)。各浴槽とも投入量が多く鮮度感は良好でして、食塩泉らしいツルスベ浴感が気持よく、しかも上画像のように細かな気泡が肌に付着してくれました。広大な湿地が広がるこのエリアでは濃厚なモール泉が多く見られますが、そんな環境にあってこちらの温泉は毛色が異なる鹹味の強い食塩泉ですから、当地を湯めぐりしていてモール泉に飽きたら、こちらでアクセントを加えてみるのも良いかもしれませんね。


憩の家源泉
ナトリウム-塩化物温泉 47.0℃ pH7.8 610L/min(動力揚湯) 溶存物質9.745g/kg 成分総計9.765g/kg
Na+:3463mg(92.56mval%), NH4+:5.0mg, Ca++:161.0mg(4.94mval%),
Cl-:5655mg(98.34mval%), HCO3-:138.9mg(1.41mval%), Br-:15.7mg,
H2SiO3:125.4mg, HBO2:50.1mg, CO2:20.3mg,

釧網本線・茅沼駅より徒歩15分(1.1km)
北海道川上郡標茶町字コッタロ原野茅沼  地図
015-487-2121
ホームページ

日帰り入浴
火・木・土・日曜→9:30~23:00 、月・水・金曜→11:00~23:00(受付はいずれの曜日も22:30まで)
400円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

コメント
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