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紀伊半島南部の某所へとやってまいりました。今回は敢えて場所の特定を控えさせていただきますが、本来この場所には建築物が存在していました。しかし、ご覧のように今は何もなく、荒涼とした景色の中に水たまりがポツンをあるばかりです。
紀伊半島では数年前に台風による大水害が発生し、多くの河川が大氾濫して各地に甚大な被害がもたらされましたが、この付近の集落でも犠牲者が出てしまうほど被害が生まれ、濁流に呑み込まれてしまったこの一帯では、数年経った今でも水害の爪痕が残っているのです。
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河川では護岸の改修工事が行われており、重機が唸っている工事現場の脇をかすめながら、荒れてしまった土地を横切って崖の下へ歩いてゆくと、眼前に不思議な物体が現れました。なんじゃ、ありゃ?
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黒いホースからオレンジ色の丸い即席プールへ水が注がれており、その下にはご丁寧に足場用のコンパネが敷かれています。また脇には園芸用のトロ舟が置かれ、中には桶が入っていました。お風呂が大好きな私には正にお誂え向きなセッティングでして、期待に胸を膨らませながらホース先の水を触ってみると、期待を裏切らないどころか、予想以上の素晴らしい加減のお湯が吐出されていました。
ホースの上流を辿ってみるとコンクリの源泉小屋があるので、そこで湧出してこちらまで流れてくるのでしょう。水害に見舞われるまでこの場所では温泉入浴施設が営業していたのですが、濁流に呑み込まれて現在ではすっかり廃墟になっております。しかしながら、そこで使われていた源泉はいまでもしっかりと生きており、絶えることなく逞しく自噴し続けていたのです。
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どうですか、このロケーション。尤も、視界が開けているのは水害の影響であるために、諸手を挙げて喜ぶわけいはいきませんが、でも、野湯同然のワイルドな環境でありながら、ここまで開放的な露天風呂というのも珍しいかと思います。
オレンジ色の樹脂板で造られたハンドメイド感溢れる一人サイズの丸い即席槽には、無色澄明の温泉がドバドバと大量に注がれており、流入量があまりに多いため、槽内ではグルグルと渦が発生していました。
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特筆すべきは湯中で乱れ舞う夥しい数の気泡であり、その多さゆえにお湯がボンヤリと白く霞んでいるようにも見え、入浴すると全身が忽ち気泡だらけになってしまいました。お湯に元々含まれる泡の他、投入時の勢いによって更に気泡が発生して、その相乗効果でこのような泡付きになるのかと察せられますが、それにしてもここまで激しい泡付きは滅多にお目にかかれないでしょう。
湯口での温度は35.5℃でちょっとぬるめ。お湯からは茹でタマゴ的な匂いや味が明瞭に感じられますが、この手の温泉にありがちな苦味は控えめで、比較的マイルドなフィーリングです。
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あまりに気持ち良いため自分撮りしてしまいました。上述のようにちょっとぬるめですが、ツルスベの浴感が気持ち良いばかりか、ロケーションによる爽快感が半端じゃなく、この即席浴槽に一度体を沈めたら、完全に虜になってしまい、この時の1時間以上浸かり続けてしまいました。
温泉分析書なし
場所の特定は控えさせていただきます。
私の好み:★★★