温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

勝浦温泉 はまゆ 2013年12月再訪

2014年06月17日 | 和歌山県
 
拙ブログを立ち上げた頃に勝浦温泉の公衆浴場「はまゆ」を取り上げたことがありますが、久しぶりにあのビターで濃厚な硫黄臭に包まれたくなり、某日の夜9時過ぎに再訪しました。勝浦漁港の船だまりの前にあり、周囲は漁師町らしく庭がなくて玄関と路地が直接接しているような民家が蝟集しており、正面の岸壁の角っこに打ち寄せるさざ波がチャポンチャポンと小さな音を立てています。男女別に分かれた入口には牛乳石鹸の暖簾がかかっていました。牛乳石鹸が全国の温泉に配っている社名入りの暖簾には、地域によってタイプが異なっており、年度によっても意匠が違っているのですが、私の訪問時にかかっていたのは、おそらく2001年冬バージョンの京都型ではないかと思われます。



「はまゆ」は地域の方々から人気を集める銭湯ですから、夕方以降は混雑していることが多く、それゆえ今回は時間をズラしてクローズに近い時間帯を狙って暖簾を潜ったのですが、その読みは見事に当たり、番台のおばちゃんにお金を払って脱衣室に上がると、皆さんお風呂から上がって体の露を拭いながら服を着ている最中で、浴室には誰もいませんでした。

ウッディーな脱衣室内には、昭和の銭湯らしいアルミ板の鍵が付いたロッカーが設置されており、その上には常連さんの風呂道具が並んでいます。洗面台の水栓は浴室から漂ってくる硫黄の影響で黒く硫化していました。なお脱衣室内にドライヤーは無く、もし持ち込みで使う場合は40円を要するとのこと。


 
浴室の上半分は脱衣室同様にウッディーですが、水がかかる下半分はタイル貼り。一つの大きな浴槽と、一列に並んだ洗い場が左右に配置されています。


 
洗い場にはお湯と水の水栓がペアとなって7組並んでおり、カランから出てくるお湯は硫黄臭をプンプン漂わせる源泉です。水栓金具は一応防食コーティングされているのでしょうけど、それでも部分的に硫化して黒く変色していました。


 
浴槽は縁がワインレッドで槽内は水色のタイル貼り、8~9人は同時に入れそうな容量を擁し、一般的な浴槽に較べてかなり深く、身長165cmの私が槽内で直立すると、臍下まで浸かるほどの深さがあります。女湯側の仕切り塀には昔の陶器製石鹸置きみたいな形状をした湯口が設けられ、そこから湯船へ投入されたお湯は、脱衣室側の縁より惜しげも無くしっかりとオーバーフローしています。

浴槽のお湯は、青森県屈指の名湯「新屋温泉」を彷彿とさせるような美しいエメラルドグリーンを帯びています(はじめからお湯がこの色を有しているというより、槽内タイルの水色の影響で、黄色いお湯が緑に変色して見えるのかもしれません)。加温加水循環消毒の一切ない完全掛け流しであり、温度調節していないにもかかわらず、湯船では42~3℃と絶妙な湯加減が保たれていました。

浴室内には燻されたようなビターな感じの硫黄臭が充満しており、お湯を口に含むと僅かな塩味の他、喉の粘膜に苦味がこびりつくような焦げ渋系の苦味が強く感じられます。そして体を湯船に沈めると、優しいツルスベ浴感に包まれました。とにかく苦みと焦げたような感覚を伴う硫黄感が強く、じっくり入っていたくなるような湯加減であるにもかかわらず、硫黄の血管拡張作用が覿面に現れるのか、比較的短時間で逆上せてしまいました。ここのお湯は見た目は美しいにもかかわらず、強力なボディーブローを食らわせてくる、美女プロボクサーみたいな性格です。
さすがに和歌山県屈指の名湯だけあり、素晴らしいお湯です。


 
湯上がりに番台のおばちゃんへビン牛乳をお願いすると、おばちゃんは一旦番台から表へ出て、わざわざ裏手に回って冷蔵庫から牛乳を持ってきてくれました。この天満牧場の牛乳は地元産なんだそうでして、キンキンに冷えた牛乳は実に美味しく、あっという間に瓶を空にしてしまいました。瓶の裏側に描かれたムッチムチの子供の絵が微笑ましいですね。地方の温泉めぐりをしているとき、ご当地でしか販売されていない(大手業者ではない)牛乳があると、つい嬉しくなってしまい、有無を言わずに飲んでしまう癖が、私にはあります。


勝浦温泉はまゆ源泉
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 46.3℃ pH8.4 106L/min(動力揚湯) 溶存物質1.587g/kg 成分総計1.588g/kg
Na+:380.4mg(67.28mval%), Ca++:152.7mg(30.98mval%),
Cl-:828.2mg(87.52mval%), HS-:12.4mg, S2O3--:1.1mg, SO4--:60.1mg(4.68mval%), HCO3-:41.2mg(2.55mval%),
H2SiO3:44.5mg, H2S:0.5mg,
夏場のみ温度を下げるためわずかに加水することあり

JR紀勢本線・紀伊勝浦駅より徒歩12分(1.0km)
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町勝浦970
0735-52-1201
和歌山県温泉協会公式HP内の紹介ページ

13:00~22:00 毎月7日・22日休業
320円
ロッカーあり・他備品類なし(基本的な風呂道具の販売あり)

私の好み:★★★

コメント
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