

長湯温泉の中心部、丸長旅館の隣に位置する公衆浴場「長生湯」に、朝一番(早朝6時!!)で入ってまいりました。寝ぼけ眼のままで外観を撮ったので、カメラの水平がとれておらず、画像が傾いていてゴメンナサイ。「長生湯」という古風な名前とは裏腹に、ドーム状の天井上に湯気抜きを戴く湯屋は、正面には6~7台ほど停められる駐車場があり、その周囲は石畳が敷かれていて、ちょっとモダンな造りとなっていました。公衆浴場とは思えない、落ち着いて趣きのある佇まいです。


川岸へ突き抜ける中央の通路を挟んで左右に男女別の浴室があり、川に向かって右が男湯、左が女湯です。九州の温泉公衆浴場によくある無人施設なのですが、入口と出口が別箇に分かれており、両方に一方通行の回転ゲートが設けられています。入室するには、入口用のゲートの棒を手前に引いてゲート内に入り、奥に設置されているマシーンへ100円玉を2枚投入すると、ゲートの奥の自動ドアが開くようになっています。この手順に気づかないと、入館方法に戸惑ってしまうかもしれませんね。なお、小銭を持っていないお客さんのために、表には両替機も設置されていました。旅行者に親切な施設です。


脱衣室はそこそこ広く、ロッカーやプラ籠の他、洗面台や扇風機なども用意されています。朝一番なので流石に誰もおらず、備品はきちっと整頓されていました。なおロッカーには10円玉用と100円玉用があり、いずれも有料なのですが、なぜ2種類もあるのでしょうか(再入館できない仕組みなので、小銭を持っていないお客さんのために二通り準備しているのかな?)。


天井が高くて空間にゆとりのある浴室は、逆三角形の窓が採用されているモダンな造りで、木材を多用した内装からはぬくもりのある雰囲気が生み出されている上、温泉成分が床などに付着しているため、全体的に赤茶けているように見え、その着色のためか、そこはかとない風格すら漂っています。
洗い場にはシャワー付き混合水栓が2基設置されています(カランから出てくるお湯は真湯です)。壁に沿ってベンチが用意されており、入浴中に休憩することもできます。


成分付着のため、デコボコ&トゲトゲのモンスターみたいな姿と化した湯口より、角を面取りしたような形状をした長方形の浴槽へ、源泉100%のお湯が絶え間なく注がれています。湯口に置かれたコップでお湯を口に含んでみると、金気の味と匂い、硬くて重く、口の中にまとわりついてくるような土類的な味と匂い、そしてハッキリとした炭酸味が感じられました。


湯船のお湯はモスグリーンを帯びた黄土色に強く濁っています。浴槽の切り欠けからは、惜しげも無くお湯が捨てられているのですが、大勢で入ると浴槽上部からの溢れ出しもあるのでしょうか、浴槽側面の下部には細かな鱗状の析出がビッシリこびりついていました。


析出が激しく現れる長湯温泉のお湯らしく、まだ誰も入っていない朝一番の湯船には、まるでロウソクの蝋を垂らし続けたかのように、湯の華の白い膜が一面に広がっていました。そして手すりなどの突起物によって湯面の流れが変わるところには、ペーズリー柄のような模様が生まれていました。温泉が生み出した不思議な造形美を目にして思わず心が奪われ、膜を砕くことは躊躇われたのですが、入浴するにはこの膜を破る他ないので、入浴前にこの膜を手でそっと削いでみますと、パリパリと微かな音を立てながら、掌に広い湯の華がどんどん積み重なってゆきました。一番乗りしたからこそできる体験ですね。早起きは三文の得なのです。


私が湯船に入るや否や、湯面に張った膜は見事に砕け、姿を消してゆきました。もったいないけど仕方ありませんね。お湯は加水加温循環消毒が一切ない完全掛け流しで、鮮度感は極上です。上述のように炭酸味は明瞭なのですが、特に湯中で泡付きが見られるようなことはありません。また、湧出温度が42.5℃であるため、湯船では40℃あるかないかというぬるめの湯加減だったのですが、炭酸の温浴効果が存分に発揮されるのか、肩までしっかり浸かっていると、体の芯からポカポカ温まり、湯上がり直後こそちょっと肌寒いものの、温浴効果は長い時間持続しました。
こんな素晴らしいお湯が200円で利用できるんですから、長湯温泉って本当に素敵な温泉地ですね。
マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩温泉 42.5℃ pH6.8 湧出量測定せず 溶存物質3.734g/kg 成分総計4.492g/kg
Na+:369.5mg(32.63mval%), Mg++:260.0mg(43.33mval%), Ca++:193.4mg(19.59mval%), Fe++:2.4mg,
Cl-:158.2mg(9.67mval%), SO4--:315.4mg(14.24mval%), HCO3-:2141.8mg,
H2SiO3:213.2mg, HBO2:5.4mg, CO2:757.9mg,
加水加温循環消毒なし
豊後竹田駅より大野竹田バスの直入支所(長湯温泉)行で「長湯」バス停下車、徒歩2分(200m)
(時刻等は大分バスのHPでご確認ください)
大分県竹田市直入町大字長湯7991 地図
6:00~21:00
200円
ロッカー(有料10円もしくは100円)あり、他備品類なし
私の好み:★★★