※この場所へ至るまでの流れは、前回記事「紅葉と野湯の秋田焼山 2014年10月 後編」の前半を参照。

秋田焼山の頂上から下りて、名残峠で昼食を摂った後、火口の外縁東側を歩いて硫黄鉱山跡を通り過ぎ、ガレの谷底に向かってひたすら下ってゆきます。下りきったところが上画像の地点でして、登山道はここで沢を渡ります。この一帯ではあちこちで温泉が湧いており、そのお湯が集まって湯の沢を形成しています。そして湯の沢では野湯が楽しめちゃいます。かつてこの付近では硫黄が採集されていたことから、野湯ファンからは「硫黄取りの湯」と称されており、かなり有名な野湯スポットでもあります。
●まずは最上流部へ

渡渉したところで大小2つの沢が合流します。大きな流れの方を遡ってゆくと、焼山火口のカルデラに白濁の温泉が湧き出る湯沼方向へとつながります。一方、もうひとつの小さな沢には、流れに沿って石垣が築かれていました。硫黄鉱山が操業していた当時のものかと想像されます。まずは、この小さな沢をちょっと遡ってみました。沢の河床は白く染まっており、一部では湯気も上がっていますので、温泉が流れていることは明らかです。

登山道から数十メートル遡ると、フツフツと温泉が湧出している箇所へ行き当たりました。早速携行していた計器を取り出して、そのお湯を計測してみますと、温度は65.0℃、pH=2.2というデータが得られました。アツアツの酸性泉ですね。さすがにこの温度では入浴できませんし、湯量も入浴できるほど多くありませんので、ここでは見学のみにとどめました。なおこの湧出点より上流は、ただの冷たい沢水です。
●熱めの湯溜まり

小さな沢から登山道へ戻り、合流後の沢に沿って20メートルほど下ると、道沿いに上画像のような湯溜まりが出来上がっています。その様子から想像するに、おそらく野湯愛好家が拵えたものでしょうが、上手い具合に岩が組まれてお湯が張られており、その傍らにはバスマットやホースまで用意されていました。

湯船は広いように見えますが、深さが足らないため、肩まで浸かろうとするとかなり寝そべらなくてはならず、体を伸ばして寝そべりながら入ると、せいぜい1~2人が精一杯かも。はじめのうち、湯溜まりのお湯は無色透明だったのですが、お湯をちょっとでも動かすと、沈殿していた湯の華や湯泥が舞い上がって、たちまち灰白色に強く濁りました。ちょっと上流側の湧出箇所より湧きたての温泉が加水されることなく注がれてくるため、湯加減は少々熱めの44.6℃でした。

前回記事にも掲載しましたが、この湯船に浸かるとこんな感じです。熱い湯加減ですが、焼山頂上へ至るまで冷たい風雨に晒されてきた私の体にとっては、むしろ冷えきった我が身を体の芯から温めてくれる、有り難い救いのお湯にように思われました。

なお、湯溜まりにお湯を注ぎ込んでいる源泉では、湯温51.4℃、pH=2.2でした。その数値が示すように、はっきりとした収斂酸味を有し、イオウ臭が強く漂っています。酸性硫黄泉であることは、分析表を見なくとも明らかです。
●湯の沢

続いて、「硫黄取りの湯」のメインである湯の沢へと向かいましょう。上述の湯溜まりから岩の上を伝って沢へ下りてゆくと、上画像のようなミニ滝壺のような箇所があり、ここが入浴に最適です。

道端の湯だまりには白い沈殿や湯泥が溜まっており、お湯をちょっとでも動かすと白濁して、実際に入浴してみると湯泥に紛れ込んでいる小石や枝なども舞い上がってくるのですが、この滝壺は常に大量のお湯が勢い良く流れており、沈殿なんて逗まる暇もなくどんどん流れ去っていきますから、お湯も底もクリアそのもの。一般的に、野湯での入浴は不純物との戦いを強いられますが、ここには不純物が一切なく、信じられないほどクリーンな環境で湯浴みできました。不自然な姿勢をとることなく、ただ底にお尻をつけるだけでちゃんと肩まで浸かる深さがありますし、しかも温度も40.0℃という、長湯にもってこいな絶妙の湯加減。これぞ大自然の恵みですね。

うひゃーーー!! めちゃくちゃ気持ち良いぜ!! この上なく爽快です。
滝のお湯を肩に当てて、打たせ湯にしてみるのも一興。
あまりの気持ち良さゆえ、出られなくなってしまい、かれこれ1時間近くこの滝壺で長湯し続けました。
再訪必至の極上野湯でした。
野湯につき温泉分析表なし
秋田県鹿角市八幡平
(この野湯を愛好している先達に敬意を表し、地図による場所の特定は控えさせていただきます)
野湯につき備品類なし
道中はクマに注意
私の好み:★★★

秋田焼山の頂上から下りて、名残峠で昼食を摂った後、火口の外縁東側を歩いて硫黄鉱山跡を通り過ぎ、ガレの谷底に向かってひたすら下ってゆきます。下りきったところが上画像の地点でして、登山道はここで沢を渡ります。この一帯ではあちこちで温泉が湧いており、そのお湯が集まって湯の沢を形成しています。そして湯の沢では野湯が楽しめちゃいます。かつてこの付近では硫黄が採集されていたことから、野湯ファンからは「硫黄取りの湯」と称されており、かなり有名な野湯スポットでもあります。
●まずは最上流部へ


渡渉したところで大小2つの沢が合流します。大きな流れの方を遡ってゆくと、焼山火口のカルデラに白濁の温泉が湧き出る湯沼方向へとつながります。一方、もうひとつの小さな沢には、流れに沿って石垣が築かれていました。硫黄鉱山が操業していた当時のものかと想像されます。まずは、この小さな沢をちょっと遡ってみました。沢の河床は白く染まっており、一部では湯気も上がっていますので、温泉が流れていることは明らかです。


登山道から数十メートル遡ると、フツフツと温泉が湧出している箇所へ行き当たりました。早速携行していた計器を取り出して、そのお湯を計測してみますと、温度は65.0℃、pH=2.2というデータが得られました。アツアツの酸性泉ですね。さすがにこの温度では入浴できませんし、湯量も入浴できるほど多くありませんので、ここでは見学のみにとどめました。なおこの湧出点より上流は、ただの冷たい沢水です。
●熱めの湯溜まり


小さな沢から登山道へ戻り、合流後の沢に沿って20メートルほど下ると、道沿いに上画像のような湯溜まりが出来上がっています。その様子から想像するに、おそらく野湯愛好家が拵えたものでしょうが、上手い具合に岩が組まれてお湯が張られており、その傍らにはバスマットやホースまで用意されていました。


湯船は広いように見えますが、深さが足らないため、肩まで浸かろうとするとかなり寝そべらなくてはならず、体を伸ばして寝そべりながら入ると、せいぜい1~2人が精一杯かも。はじめのうち、湯溜まりのお湯は無色透明だったのですが、お湯をちょっとでも動かすと、沈殿していた湯の華や湯泥が舞い上がって、たちまち灰白色に強く濁りました。ちょっと上流側の湧出箇所より湧きたての温泉が加水されることなく注がれてくるため、湯加減は少々熱めの44.6℃でした。

前回記事にも掲載しましたが、この湯船に浸かるとこんな感じです。熱い湯加減ですが、焼山頂上へ至るまで冷たい風雨に晒されてきた私の体にとっては、むしろ冷えきった我が身を体の芯から温めてくれる、有り難い救いのお湯にように思われました。


なお、湯溜まりにお湯を注ぎ込んでいる源泉では、湯温51.4℃、pH=2.2でした。その数値が示すように、はっきりとした収斂酸味を有し、イオウ臭が強く漂っています。酸性硫黄泉であることは、分析表を見なくとも明らかです。
●湯の沢

続いて、「硫黄取りの湯」のメインである湯の沢へと向かいましょう。上述の湯溜まりから岩の上を伝って沢へ下りてゆくと、上画像のようなミニ滝壺のような箇所があり、ここが入浴に最適です。


道端の湯だまりには白い沈殿や湯泥が溜まっており、お湯をちょっとでも動かすと白濁して、実際に入浴してみると湯泥に紛れ込んでいる小石や枝なども舞い上がってくるのですが、この滝壺は常に大量のお湯が勢い良く流れており、沈殿なんて逗まる暇もなくどんどん流れ去っていきますから、お湯も底もクリアそのもの。一般的に、野湯での入浴は不純物との戦いを強いられますが、ここには不純物が一切なく、信じられないほどクリーンな環境で湯浴みできました。不自然な姿勢をとることなく、ただ底にお尻をつけるだけでちゃんと肩まで浸かる深さがありますし、しかも温度も40.0℃という、長湯にもってこいな絶妙の湯加減。これぞ大自然の恵みですね。

うひゃーーー!! めちゃくちゃ気持ち良いぜ!! この上なく爽快です。
滝のお湯を肩に当てて、打たせ湯にしてみるのも一興。
あまりの気持ち良さゆえ、出られなくなってしまい、かれこれ1時間近くこの滝壺で長湯し続けました。
再訪必至の極上野湯でした。
野湯につき温泉分析表なし
秋田県鹿角市八幡平
(この野湯を愛好している先達に敬意を表し、地図による場所の特定は控えさせていただきます)
野湯につき備品類なし
道中はクマに注意
私の好み:★★★