前回記事の続編です。
「ヨンジャル・テルマル・ホテル(Yoncalı Termal Otel)」ご自慢の温泉浴場へ向かいましょう。客室からロビーへ下り、案内表示に従って廊下を歩いてゆくと、浴場の中央ホールへと行き当たりました。前回記事では、正面玄関の他に日帰り入浴専用の出入口があると申し上げましたが、その出入口を利用しますとダイレクトにここへ入ることができます。トルコの一般的なハマムの建築様式を踏襲しているこのホールの中央には大理石の泉があり、その上は吹き抜けとなっていて、泉の前には受付のカウンターが設けられています。このカウンターの左側が男性入口、右側が女性入口です。
左(上)画像は更衣室(ロッカールーム)の様子です。こちらで日帰り入浴する場合等は、このロッカールームを利用することになりますが、私は客室で水着に着替え、バスローブを羽織って浴場へ向かったので、このスペースは使っておりません。通路を挟んだ反対側には大理石が多用されたハマムもあり、洗い場の水栓を開けると温泉のお湯が出てきます。各洗い場の壁にはキュタフヤのタイルが嵌めこまれており、いずれも青色系の模様なのですが、それぞれの模様の意匠が全て異なっていおり、そうした芸の細かさには驚かされます。またこちらのハマムは休憩用の台が2つもあり、温泉熱でほんのり暖かくなっている大理石の台で寝そべると、なかなか気持ちが良いのです。おそらく別料金で頼めば、ここで垢すりやマッサージなどのサービスが受けられるのでしょうね。なおこれらのロッカールームやハマムは、男女でシンメトリな構造になっているものと思われます。
ハマムから更に通路を進んでゆくと、ガラスのドーム天井が美しい内湯に出ました。こちらは男女共用です。天井ばかりか側面にもガラス窓が多用されているので、太陽が出ている時間帯なら、照明無しでも充分に明るく、ガラス越しに降り注ぐ陽光を反射している湯面は、湯気を上げながらキラキラと輝いていました。
(上画像は日没後に撮影したため、全体的に青みがかっています)
浴槽の深さは約120cm。この浴槽へ安全に入れるよう、カーブを描くステップが設けられています。温泉成分の付着によるものか、このステップの表面はベージュ色に染まっており、またステップの手摺が湯面と接する箇所にも、カルシウムと思しき瘤状の析出がこびりついていました。
ステップ脇の切り欠けよりプールサイドの樹脂グレーチングへ排湯されており、その切り掛け部分のタイルも、槽内のステップ表面と同様にベージュ色に変色しています。
湯口は湯面下の側面で出臍のようにちょこんと突き出ており、その吐出口で温度を計測したところ、40.8℃と表示されました。
そのお湯によって満たされる浴槽内では39.3℃となっており、湯口と比べても温度低下があまり見られません。投入量が多いのか、はたまた循環装置などが稼働されているのかという、湯使いに関しての詳細はよくわかりませんが、特に消毒臭いようなことはありませんし、お湯から鈍っているような感触も得られなかったので、放流式かそれに近い湯使いが実施されているものと推測されます。
浴槽内に貼られているタイルの関係でお湯はエメラルドグリーンに見えますが、実際にはほぼ無色透明でありながら、幾分ベージュ色を呈しているようであり、槽の底面ははっきりと目視できますが、微かに濁っているようにも見えます。匂いや味に関して大雑把に表現すれば、ほぼ無味無臭で癖の少ないお湯なのですが、ハマムの水栓のお湯を口に含んでみますと甘味を伴う石膏味がほんのり感じられ、同様の匂いもほのかに香っているようでした。総じて言えば無色透明の硫酸塩泉と、重炭酸土類泉とミックスさせたような知覚的特徴を有し、お湯に浸かるとその手の泉質にありがちなキシキシと引っかかる浴感がはっきりと肌に伝わり、その浴感が全身に纏わりついてきます。とはいえ、硬水であるトルコの水道よりははるかに柔らかいお湯であり、街中のホテルでシャワーを浴びるとゴワゴワになってしまう髪の毛も、ここのお湯を頭から浴びると、シットリ滑らかな指通りが戻ってくれました。
また湯船では39℃というややぬるめの湯加減ですが、さすがに温泉だけあって温まるパワーは本格的であり、40℃にも満たないお湯だというのに、湯上がりはしばらく汗が引きませんでした。それゆえ、前回記事でちょっと述べましたが、お部屋で飲むビールが美味しく感じられるんですね。
ガラス張りの内湯から屋外に出ると、露天風呂とプールがある広々としたエリアとなります。上画像は温泉が張られている露天風呂です。敷地を取り囲む木立の向こうにはなだらかな丘が裾を広げており、空気が澄んでいる静かな環境ですから、とても開放的で爽快です。にもかかわらず、シーズンオフだからか、私以外に客の姿は見当たりません。
温泉露天風呂に隣接しているプールは空っぽ。夏季限定なのでしょう。
ホテルの上には月が上がっています。この画像を撮っているとあっという間に暗くなり、空に星が瞬き始めました。「秋の日は釣瓶落とし」と言いますが、これって日本だけじゃなく、トルコの秋の夕暮れにも全く同じことが言えるんですね。季節は晩秋、日が傾き始めると一気に気温も下がり、海水パンツ姿で屋外にいることが、かなり辛くなってきます。特に足の裏が冷たく、そこから体の芯に冷えが伝わって、全身がジンジンと冷えてきます。早く温泉露天に入って暖をとらなければ…。
ひゃっほー! オイラしかいないぜ。夕暮れの露天風呂を独占できて最高だ! はじめのうちはそう喜んでいたのですが、冷たい外気に晒されて続けている露天風呂は36.2℃しかなく、思いっきりぬるくて長湯できません。お湯は槽内から投入されており、プールサイドからは結構な量のお湯が溢れ出ていましたから、お湯の供給に関しては問題ないのですが、さすがの温泉も季節というものには抗えないのでしょう。やがて私はお風呂のぬるさと外気の冷え込みに耐えられなくなり、内湯へと戻って暖を取り直したのでした(内湯で汗がひかないほどしっかり温まったことは、上述の通りです)。なおこの露天風呂は深さが140cm程あり、内湯よりも若干深めの造りです。
ホテルとしては造りが古くて、宿泊客として聊か不安に覚える箇所もいくつかあるのですが、肝心の温泉浴場は大きくて快適ですし、お湯の質もまずまずですから、当地へ観光する際には訪れる価値が十分にあるかと思います。
単純温泉 41.2℃ pH6.64 溶存物質766.4943mg/kg
Na+:13.4284mg(6.0194mval%), Ca++:141.7616mg(72.9629mval%), Mg++:23.6925mg(20.0957mval%),
Cl-:12.0000mg(3.4260mval%), SO4--:135.8000mg(28.6158mval%), HCO3-:402.6000mg(66.7577mval%),
H2SiO3:31.2mg,
(公式サイト内に分析表あり)
GPS座標:N39.493543, E29.832981,
日帰り入浴可能(料金や営業時間は調査し忘れちゃいました…)
ホームページ
私の好み:★★
「ヨンジャル・テルマル・ホテル(Yoncalı Termal Otel)」ご自慢の温泉浴場へ向かいましょう。客室からロビーへ下り、案内表示に従って廊下を歩いてゆくと、浴場の中央ホールへと行き当たりました。前回記事では、正面玄関の他に日帰り入浴専用の出入口があると申し上げましたが、その出入口を利用しますとダイレクトにここへ入ることができます。トルコの一般的なハマムの建築様式を踏襲しているこのホールの中央には大理石の泉があり、その上は吹き抜けとなっていて、泉の前には受付のカウンターが設けられています。このカウンターの左側が男性入口、右側が女性入口です。
左(上)画像は更衣室(ロッカールーム)の様子です。こちらで日帰り入浴する場合等は、このロッカールームを利用することになりますが、私は客室で水着に着替え、バスローブを羽織って浴場へ向かったので、このスペースは使っておりません。通路を挟んだ反対側には大理石が多用されたハマムもあり、洗い場の水栓を開けると温泉のお湯が出てきます。各洗い場の壁にはキュタフヤのタイルが嵌めこまれており、いずれも青色系の模様なのですが、それぞれの模様の意匠が全て異なっていおり、そうした芸の細かさには驚かされます。またこちらのハマムは休憩用の台が2つもあり、温泉熱でほんのり暖かくなっている大理石の台で寝そべると、なかなか気持ちが良いのです。おそらく別料金で頼めば、ここで垢すりやマッサージなどのサービスが受けられるのでしょうね。なおこれらのロッカールームやハマムは、男女でシンメトリな構造になっているものと思われます。
ハマムから更に通路を進んでゆくと、ガラスのドーム天井が美しい内湯に出ました。こちらは男女共用です。天井ばかりか側面にもガラス窓が多用されているので、太陽が出ている時間帯なら、照明無しでも充分に明るく、ガラス越しに降り注ぐ陽光を反射している湯面は、湯気を上げながらキラキラと輝いていました。
(上画像は日没後に撮影したため、全体的に青みがかっています)
浴槽の深さは約120cm。この浴槽へ安全に入れるよう、カーブを描くステップが設けられています。温泉成分の付着によるものか、このステップの表面はベージュ色に染まっており、またステップの手摺が湯面と接する箇所にも、カルシウムと思しき瘤状の析出がこびりついていました。
ステップ脇の切り欠けよりプールサイドの樹脂グレーチングへ排湯されており、その切り掛け部分のタイルも、槽内のステップ表面と同様にベージュ色に変色しています。
湯口は湯面下の側面で出臍のようにちょこんと突き出ており、その吐出口で温度を計測したところ、40.8℃と表示されました。
そのお湯によって満たされる浴槽内では39.3℃となっており、湯口と比べても温度低下があまり見られません。投入量が多いのか、はたまた循環装置などが稼働されているのかという、湯使いに関しての詳細はよくわかりませんが、特に消毒臭いようなことはありませんし、お湯から鈍っているような感触も得られなかったので、放流式かそれに近い湯使いが実施されているものと推測されます。
浴槽内に貼られているタイルの関係でお湯はエメラルドグリーンに見えますが、実際にはほぼ無色透明でありながら、幾分ベージュ色を呈しているようであり、槽の底面ははっきりと目視できますが、微かに濁っているようにも見えます。匂いや味に関して大雑把に表現すれば、ほぼ無味無臭で癖の少ないお湯なのですが、ハマムの水栓のお湯を口に含んでみますと甘味を伴う石膏味がほんのり感じられ、同様の匂いもほのかに香っているようでした。総じて言えば無色透明の硫酸塩泉と、重炭酸土類泉とミックスさせたような知覚的特徴を有し、お湯に浸かるとその手の泉質にありがちなキシキシと引っかかる浴感がはっきりと肌に伝わり、その浴感が全身に纏わりついてきます。とはいえ、硬水であるトルコの水道よりははるかに柔らかいお湯であり、街中のホテルでシャワーを浴びるとゴワゴワになってしまう髪の毛も、ここのお湯を頭から浴びると、シットリ滑らかな指通りが戻ってくれました。
また湯船では39℃というややぬるめの湯加減ですが、さすがに温泉だけあって温まるパワーは本格的であり、40℃にも満たないお湯だというのに、湯上がりはしばらく汗が引きませんでした。それゆえ、前回記事でちょっと述べましたが、お部屋で飲むビールが美味しく感じられるんですね。
ガラス張りの内湯から屋外に出ると、露天風呂とプールがある広々としたエリアとなります。上画像は温泉が張られている露天風呂です。敷地を取り囲む木立の向こうにはなだらかな丘が裾を広げており、空気が澄んでいる静かな環境ですから、とても開放的で爽快です。にもかかわらず、シーズンオフだからか、私以外に客の姿は見当たりません。
温泉露天風呂に隣接しているプールは空っぽ。夏季限定なのでしょう。
ホテルの上には月が上がっています。この画像を撮っているとあっという間に暗くなり、空に星が瞬き始めました。「秋の日は釣瓶落とし」と言いますが、これって日本だけじゃなく、トルコの秋の夕暮れにも全く同じことが言えるんですね。季節は晩秋、日が傾き始めると一気に気温も下がり、海水パンツ姿で屋外にいることが、かなり辛くなってきます。特に足の裏が冷たく、そこから体の芯に冷えが伝わって、全身がジンジンと冷えてきます。早く温泉露天に入って暖をとらなければ…。
ひゃっほー! オイラしかいないぜ。夕暮れの露天風呂を独占できて最高だ! はじめのうちはそう喜んでいたのですが、冷たい外気に晒されて続けている露天風呂は36.2℃しかなく、思いっきりぬるくて長湯できません。お湯は槽内から投入されており、プールサイドからは結構な量のお湯が溢れ出ていましたから、お湯の供給に関しては問題ないのですが、さすがの温泉も季節というものには抗えないのでしょう。やがて私はお風呂のぬるさと外気の冷え込みに耐えられなくなり、内湯へと戻って暖を取り直したのでした(内湯で汗がひかないほどしっかり温まったことは、上述の通りです)。なおこの露天風呂は深さが140cm程あり、内湯よりも若干深めの造りです。
ホテルとしては造りが古くて、宿泊客として聊か不安に覚える箇所もいくつかあるのですが、肝心の温泉浴場は大きくて快適ですし、お湯の質もまずまずですから、当地へ観光する際には訪れる価値が十分にあるかと思います。
単純温泉 41.2℃ pH6.64 溶存物質766.4943mg/kg
Na+:13.4284mg(6.0194mval%), Ca++:141.7616mg(72.9629mval%), Mg++:23.6925mg(20.0957mval%),
Cl-:12.0000mg(3.4260mval%), SO4--:135.8000mg(28.6158mval%), HCO3-:402.6000mg(66.7577mval%),
H2SiO3:31.2mg,
(公式サイト内に分析表あり)
GPS座標:N39.493543, E29.832981,
日帰り入浴可能(料金や営業時間は調査し忘れちゃいました…)
ホームページ
私の好み:★★