バルケシル県の都市であるギョネン(Gönen)は、古くから湯治場として知られていた温泉地であり、街の中心部に温泉浴場があるらしいので、どんなところか行ってみることにしました。
街の北西に位置しているオトガル(バスターミナル)の北には、市民の憩いの場である緑豊かな公園が広がっているのですが、その公園の真ん中を貫く歩行者専用のバンヨラル通り(Banyolar Cd)を奥へ奥へと歩いてゆくと、温泉施設を擁する4つのホテルの敷地へ行き当たります。この4ホテルは同じ経営母体によって運営されているのですが、価格帯が異なっており、「イェシル・オテル(Yeşil Otel)」は廉価、「ギュネシ・オテル(Güneş Otel)」は中価格帯、それよりちょっと高めの「パルク・オテル(Park Otel)」、そして高価格帯の「ユルドゥス・オテル(Yıldız Otel)」となっているようです(高価格といっても高が知れていますが…)。
(公式サイト)
「イェシル・オテル」と「ユルドゥス・オテル」の中間には、古くからの公衆浴場があるのですが、大きい建物であるにもかかわらず浴室が男女に分かれていないため、曜日によって男女を入れ替えており、私がギョネンに到着した日は女湯の曜日だったので、この浴場利用は翌日へ後回しにすることとし、「ギュネシ・オテル」に付帯している個室風呂に入ってみることとしました。個室風呂でしたら曜日を問わず誰でも利用できます。
公衆浴場であろうとホテルのお風呂であっても、この温泉ホテルグループの施設で入浴する場合は、「イェシル・オテル」と公衆浴場の間にある上画像のチケット売り場で、利用施設に応じた料金を支払い、レシートのようなチケットを入手します。料金形態はかなり細分化されており、詳しくは当ページの下で紹介致しますが、私が今回利用した「ギュネシ・オテル」の一人用個室風呂は13リラでした。
こちらは「ギュネシ・ホテル」の正面玄関およびその周りの外観ですが、個室風呂を利用する場合はこの正面玄関ではなく、ぐるっと裏手へ廻って専用入口から入館します。
正面玄関のちょうど真裏に、個室風呂専用の入口がありました。温泉施設の玄関ではなく、従業員専用口ではないかと不安になるほど地味で控えめな佇まいですが、私がちょうどここへやってきた時、バスタオルを頭から被っていた湯上がりの夫婦がこの出入口から出てきましたから、こちらで間違いないようです。
入ってすぐ左にある窓口のスタッフに先程のチケットを差し出すと、その裏にスタンプを捺した上で、私を個室へ案内してくれました。そのスタンプには"Görülmüştür"と記されていたのですが、さしずめ「チェック済み」といった意味でしょうか。
窓口の奥は休憩ができるロビーがあり、その一角には売店が設けられていました。スナック菓子や飲み物の他、女性用の水着も販売されていたのが興味深く、トップスがビキニでボトムスがショートパンツのようなものもあれば、イスラム圏という土地柄、肌を隠す部分が多い服のようなタイプも陳列されていました。私の感覚で見るといずれもダサダサなデザインと色合いで、特にヒョウ柄の服タイプなんて完全におばさん趣味じゃないのかな…。
館内は極めて無機的で殺風景。まるで古い病院のようですが、これでも温泉施設なんですよ。廊下の両側に個室の扉がズラっと並んでいるのですが、浴室なんだか病室なんだか、ぱっと見ただけでは判然としません。薄暗くて不気味な雰囲気は「バイオハザード」のワンシーンのようでもあり、いまにも扉が突然開いて中から「ウォォォーッ」と叫び声を上げながらゾンビが襲ってきそうな感じです…。
廊下に掲示されている構内図によれば、なんとこのフロアだけで39もの個室があるんだとか。部屋によって大きさや設備が異なるようですが、これだけたくさんの個室風呂を擁する施設って、珍しいんじゃないでしょうか。
私は最も安い部屋のチケットを購入したのですが、空いていて部屋に余裕があったのか、1ランク上のジェットバス付き浴室へ通されました。個室のドアを開けてまず足を踏み入れるのが、4畳ほどの脱衣室です。白いタイル貼りの室内は窓が全く無く、ゴーゴーと換気の音が響くばかりで、閉塞感が半端じゃない。病院の霊安室と見紛うばかりで、閉所恐怖症の方でしたら失禁してしまうかも。でも壁際には二つのベンチがあり、ミラーやドライヤーなどの備品類によって、ここが入浴施設であることを確認させてくれました。
脱衣室同様に浴室も窓が無くて閉塞的なのですが、空間自体は比較的ゆとりがあり、家族で利用しても問題無さそうな感じで、洗い場がひとつ、そして3人は入れそうな容量のあるタイル張りのバスタブが1つ据えられています。洗い場はトルコのハマムでよく見られる装飾が施された金属製の水栓が取り付けられており、お湯の水栓を開けると温泉が吐出されました。
入室時のバスタブは空っぽですから、まずはお湯を溜めなきゃいけません。ハンドルを全開にしてお湯を出すと、50.3℃という熱めの温泉が出てきたのですが、お湯だけでは熱くて入浴できそうにありませんから、水も同時に投入して湯加減を調整しました。なおジェットバスの噴出口はお湯の吐出口を兼ねており、ある程度まで湯嵩が溜まると、ジェットバスが運転できるようなシステムになっていました。
お湯が満たされたところで入浴です。槽内には曲線を描く段があり、寝そべりながら、あるいは腰掛けながら、ジェットバスの水流を体に当てて湯浴みできるようになっていました。一般的にこの手の設備のスイッチは、浴槽の縁や壁などに取り付けられていますので、せっかくですから私も、旅の疲れで凝った体をほぐしてもらおうと、浴槽縁のスイッチらしき物体を押してみたのですが、ちっとも稼働してくれません。どうしたものかと一旦浴室から出て脱衣室の壁に設けられていたサーキットブレーカーのような大きなスイッチをONにしたところ、ようやく轟音を立てながらジェットが噴射されたのでした。
お湯はほぼ無色透明無味無臭ですが、湯口にてわずかに金気を感じました。また槽内では硫酸塩泉のような引っかかりも肌に少々伝わりましたが、総じて言えば癖の少ない優しいフィーリングのお湯であります。でも一見すると癖のないお湯でありながら、湯上がりの温浴効果はとてもパワフルで、お風呂から出た後もしばらくは汗が引かず、外套を羽織らないと寒い晩秋の気候でありながら、私はカットソーだけでの姿で汗を掻きつづけてしまいました。
殺風景で温泉風情はちっともありませんが、個室ですから誰の目を気にすること無く、水着不要で湯浴みできるのはうれしいところです。なお利用後はお湯を抜いておきましょう。
GPS座標:N40.113346, E27.648907,
(↑サムネイルをクリックすると料金表の画像が拡大されます)
【ギュネシ・オテルの個室風呂】
・小(一人向け)浴室:1人利用13.00リラ(←今回の記事で利用した料金)、2人利用16.50リラ、3人利用22.00リラ
・大(二人向け)浴室:2人利用19.00リラ、3人利用24.00リラ、4人利用27.5リラ、
・ジャグジー個室:1人利用19.00リラ、2人利用24.00リラ、3人利用27.5リラ、
"Gönen Termal Resort"ホームページ
ドライヤーあり、売店にて入浴道具の販売あり
私の好み:★★
街の北西に位置しているオトガル(バスターミナル)の北には、市民の憩いの場である緑豊かな公園が広がっているのですが、その公園の真ん中を貫く歩行者専用のバンヨラル通り(Banyolar Cd)を奥へ奥へと歩いてゆくと、温泉施設を擁する4つのホテルの敷地へ行き当たります。この4ホテルは同じ経営母体によって運営されているのですが、価格帯が異なっており、「イェシル・オテル(Yeşil Otel)」は廉価、「ギュネシ・オテル(Güneş Otel)」は中価格帯、それよりちょっと高めの「パルク・オテル(Park Otel)」、そして高価格帯の「ユルドゥス・オテル(Yıldız Otel)」となっているようです(高価格といっても高が知れていますが…)。
(公式サイト)
「イェシル・オテル」と「ユルドゥス・オテル」の中間には、古くからの公衆浴場があるのですが、大きい建物であるにもかかわらず浴室が男女に分かれていないため、曜日によって男女を入れ替えており、私がギョネンに到着した日は女湯の曜日だったので、この浴場利用は翌日へ後回しにすることとし、「ギュネシ・オテル」に付帯している個室風呂に入ってみることとしました。個室風呂でしたら曜日を問わず誰でも利用できます。
公衆浴場であろうとホテルのお風呂であっても、この温泉ホテルグループの施設で入浴する場合は、「イェシル・オテル」と公衆浴場の間にある上画像のチケット売り場で、利用施設に応じた料金を支払い、レシートのようなチケットを入手します。料金形態はかなり細分化されており、詳しくは当ページの下で紹介致しますが、私が今回利用した「ギュネシ・オテル」の一人用個室風呂は13リラでした。
こちらは「ギュネシ・ホテル」の正面玄関およびその周りの外観ですが、個室風呂を利用する場合はこの正面玄関ではなく、ぐるっと裏手へ廻って専用入口から入館します。
正面玄関のちょうど真裏に、個室風呂専用の入口がありました。温泉施設の玄関ではなく、従業員専用口ではないかと不安になるほど地味で控えめな佇まいですが、私がちょうどここへやってきた時、バスタオルを頭から被っていた湯上がりの夫婦がこの出入口から出てきましたから、こちらで間違いないようです。
入ってすぐ左にある窓口のスタッフに先程のチケットを差し出すと、その裏にスタンプを捺した上で、私を個室へ案内してくれました。そのスタンプには"Görülmüştür"と記されていたのですが、さしずめ「チェック済み」といった意味でしょうか。
窓口の奥は休憩ができるロビーがあり、その一角には売店が設けられていました。スナック菓子や飲み物の他、女性用の水着も販売されていたのが興味深く、トップスがビキニでボトムスがショートパンツのようなものもあれば、イスラム圏という土地柄、肌を隠す部分が多い服のようなタイプも陳列されていました。私の感覚で見るといずれもダサダサなデザインと色合いで、特にヒョウ柄の服タイプなんて完全におばさん趣味じゃないのかな…。
館内は極めて無機的で殺風景。まるで古い病院のようですが、これでも温泉施設なんですよ。廊下の両側に個室の扉がズラっと並んでいるのですが、浴室なんだか病室なんだか、ぱっと見ただけでは判然としません。薄暗くて不気味な雰囲気は「バイオハザード」のワンシーンのようでもあり、いまにも扉が突然開いて中から「ウォォォーッ」と叫び声を上げながらゾンビが襲ってきそうな感じです…。
廊下に掲示されている構内図によれば、なんとこのフロアだけで39もの個室があるんだとか。部屋によって大きさや設備が異なるようですが、これだけたくさんの個室風呂を擁する施設って、珍しいんじゃないでしょうか。
私は最も安い部屋のチケットを購入したのですが、空いていて部屋に余裕があったのか、1ランク上のジェットバス付き浴室へ通されました。個室のドアを開けてまず足を踏み入れるのが、4畳ほどの脱衣室です。白いタイル貼りの室内は窓が全く無く、ゴーゴーと換気の音が響くばかりで、閉塞感が半端じゃない。病院の霊安室と見紛うばかりで、閉所恐怖症の方でしたら失禁してしまうかも。でも壁際には二つのベンチがあり、ミラーやドライヤーなどの備品類によって、ここが入浴施設であることを確認させてくれました。
脱衣室同様に浴室も窓が無くて閉塞的なのですが、空間自体は比較的ゆとりがあり、家族で利用しても問題無さそうな感じで、洗い場がひとつ、そして3人は入れそうな容量のあるタイル張りのバスタブが1つ据えられています。洗い場はトルコのハマムでよく見られる装飾が施された金属製の水栓が取り付けられており、お湯の水栓を開けると温泉が吐出されました。
入室時のバスタブは空っぽですから、まずはお湯を溜めなきゃいけません。ハンドルを全開にしてお湯を出すと、50.3℃という熱めの温泉が出てきたのですが、お湯だけでは熱くて入浴できそうにありませんから、水も同時に投入して湯加減を調整しました。なおジェットバスの噴出口はお湯の吐出口を兼ねており、ある程度まで湯嵩が溜まると、ジェットバスが運転できるようなシステムになっていました。
お湯が満たされたところで入浴です。槽内には曲線を描く段があり、寝そべりながら、あるいは腰掛けながら、ジェットバスの水流を体に当てて湯浴みできるようになっていました。一般的にこの手の設備のスイッチは、浴槽の縁や壁などに取り付けられていますので、せっかくですから私も、旅の疲れで凝った体をほぐしてもらおうと、浴槽縁のスイッチらしき物体を押してみたのですが、ちっとも稼働してくれません。どうしたものかと一旦浴室から出て脱衣室の壁に設けられていたサーキットブレーカーのような大きなスイッチをONにしたところ、ようやく轟音を立てながらジェットが噴射されたのでした。
お湯はほぼ無色透明無味無臭ですが、湯口にてわずかに金気を感じました。また槽内では硫酸塩泉のような引っかかりも肌に少々伝わりましたが、総じて言えば癖の少ない優しいフィーリングのお湯であります。でも一見すると癖のないお湯でありながら、湯上がりの温浴効果はとてもパワフルで、お風呂から出た後もしばらくは汗が引かず、外套を羽織らないと寒い晩秋の気候でありながら、私はカットソーだけでの姿で汗を掻きつづけてしまいました。
殺風景で温泉風情はちっともありませんが、個室ですから誰の目を気にすること無く、水着不要で湯浴みできるのはうれしいところです。なお利用後はお湯を抜いておきましょう。
GPS座標:N40.113346, E27.648907,
(↑サムネイルをクリックすると料金表の画像が拡大されます)
【ギュネシ・オテルの個室風呂】
・小(一人向け)浴室:1人利用13.00リラ(←今回の記事で利用した料金)、2人利用16.50リラ、3人利用22.00リラ
・大(二人向け)浴室:2人利用19.00リラ、3人利用24.00リラ、4人利用27.5リラ、
・ジャグジー個室:1人利用19.00リラ、2人利用24.00リラ、3人利用27.5リラ、
"Gönen Termal Resort"ホームページ
ドライヤーあり、売店にて入浴道具の販売あり
私の好み:★★