温泉の街バルケシル県ギョネンで一泊した翌日は、街から南西へ約15km離れた山の中にある一軒宿の温泉「エクシデレ・ダー・ウルジャス(Ekşidere Dağ Ilıcası)」へレンタカーで向かい、日帰り入浴してまいりました。もしこの記事をご覧になって現地へ行ってみたくなった酔狂な方のため、実際に私が辿ったルートを、Google Mapを用いながら説明させていただきます。なおここでは便宜的に、ギョネンのオトガル(バスターミナル)を起点とさせていただきました。
まずはギョネンの街を抜けてバルヤ(Balya)方面へ南下。途中で道が二又に分かれるので、ここで右へ逸れます。分岐点にはちゃんと"Ekşidere Dağ Ilıcası"と記された標識が立っているので、それさえ見逃さなえれば大丈夫【地点1】。
この先も"Dağ Ilıcası"と記された青い看板が随所に立っていますから、それに従って進めば問題ありません。たとえばBalcıdedeという集落では丁字路にぶつかりますが、ここでもちゃんと看板が立っており、そこに示された矢印に従い右へ鋭角に曲がります【地点2】。
牧歌的な景色の中を安全運転でドライブ。草原の真ん中で車を駐め、ヒバリがさえずる中で深呼吸。
途中でいくつか集落を抜けます。集落内は道幅が狭く、舗装が荒れてデコボコしていますから、スピードを落として安全運転に心がけました。
温泉宿の名前にもなっているエクシデレ(Ekşidere)集落では、ジャーミー(モスク)の手前の十字路を右折して、細い坂道をグイッと上がってゆきます。ルート上ではここが最も迷いやすい箇所かと思いますが、それでも曲がり角にはちゃんと案内看板がありますから、それを見逃さなければ大丈夫【地点3】。
エクシデレ集落を抜けると人家が途絶え、畑や森林がモザイク状に散らばる丘陵地帯となります。対向車ならぬ対向驢馬というべきか、ロバに乗って移動しているおじさんと行き違ったり、羊飼いに導かれて移動する羊の群れが目の前を横切ったりと、実に長閑な地域です。
向こう側の丘に緑色の建物が見えてきましたよ。
「エクシデレ・ダー・ウルジャス」に到着です。名前を直訳するとエクシデレ山温泉となるのでしょうか。周囲の環境に溶け込むことを意図しているのか、ホテルの建物は緑色に塗られており、高さも周りの木々を越えない範疇に抑えられています。ホテル棟の他、アパートやコテージと思しき棟も建ち並んでいました。
敷地内にはジャーミー(モスク)があり、「こんな人里離れた一軒宿でも信仰は欠かせないんだなぁ」なんて呟きながらボンヤリ眺めていたところ、中からおじさんが現れて、コップで飲むジェスチャーをしながら、奥の方へ行ってごらん、と指をさします。おじさんが指し示した方向には、チョロチョロと清水が滴る水汲みがあり、その様子をカメラに収めていると、後ろの方からボトルを抱えた老夫婦が2組やってきて、この清水をボトルに汲みはじめました。この水はそんなに美味いのか。実際に手で汲んで口にしたところ、たしかに口当たりがまろやかで飲みやすい。この辺りでは名水として知られているのでしょう。
この温泉宿は小高い丘の上に位置しており、彼方へ幾重にも連なるなだらかな丘と、そこに広がる広大な畑や森林、そして点在する集落を眺望することができました。この日は天候にも恵まれ、雄大な景色を眺めているだけでも爽快です。子供用遊具も設置されていますから、ファミリーで訪れてのんびり過ごすのも良いですね。
さて入浴へ。ホテルは幾棟かの建物に分かれているのですが、入浴利用の際には、1階に売店がある棟の窓口でチケット購入します。料金は8リラ。
窓口の斜め前が浴場です。
こちらが浴場の入口です。チケットを購入すれば誰でもすぐに入浴できるわけではなく、浴場がひとつしかないため、時間によって男女が分けられており、その時間割に合った人しか入場できません。入口前には時間割が掲示されていましたので、その内容を以下に書き写しておきます。
男湯:6:00~8:00、10:30~12:00、14:30~16:00、18:30~20:00、
女湯:8:30~10:00、12:30~14:00、16:30~18:00、20:30~22:00、
早朝の時間帯を除けば、男女はそれぞれ1時間半ずつで交代し、男女の切替時に30分のインターバルを挟むというスケジュールとなっているわけですね。たとえ夫婦で訪れても、どちらかが待ちぼうけを喰らわなきゃいえないのが、この温泉の哀しいところ…。
入口ゲートには機械式の回転バーが設置されており、入口に常駐している係員のおじさんにチケットを提示すると、チケットにスタンプを捺された上で、おじさんのポケットに突っ込まれていたICカードがゲートの機械にかざされ、これによって回転バーのロックが外れて入館できるというシステムになっています。なんでこんな面倒な方法にしているのでしょう。
入口の内側には貴重品箱がありますから、財布などはこちらに預けます。
更衣室は左右シンメトリな造りで、一定間隔毎に仕切り板が突き出ており、その間にベンチや服掛けフックが設置されていますので、任意の箇所に荷物など置くことになります。奥の方には試着室のような小さな着替え室もありますが、私は面倒なので、バスタオルを腰に巻いて、ベンチのところで着替えてしまいました(他のお客さんも同様でした)。
更衣室の奥にはシャワールームや洗い場も完備。洗い場はタイル貼りですが、典型的なトルコのハマム様式で、6基ある水栓からはぬるめの温泉が吐出されます。実際に水栓を開けてみたところ、お湯に含まれる無数の気泡により、湯受けのお湯は白く濁りました。
洗い場で体をしっかり洗った後は、露天風呂に入りましょう。こちらの浴槽は上画像の露天風呂ひとつのみです。露天とはいえ四方を高い塀で囲われており、水平方向の視野では開放感が無いのですが、(あくまで私の勝手な解釈ですが)このお風呂は女性も使いますので、周囲からの視線を徹底的に遮るべく、このような高い塀で囲まれているのかもしれません。イスラム圏らしい設計といえそうです。
塀は高いのですが、見上げると青空が仰げ、時折心地良いそよ風が入ってきます。山の空気は澄んでいますし、小鳥のさえずりも聞こえ、湯浴みにぴったりの、実に爽快な環境です。
浴槽は目測で一辺が8mの正方形。深さが1.65mもあり、ちょうど同じ高さの身長である私が底面で爪先立ちをしても、あとちょっとのところで高さが足りずに沈んでしまいました。底面には白い砂利が敷き詰められているのですが、一部分はちょっぴり茶色を帯びており、そこからブクブクと気泡を上げながらお湯が供給されていました。足元湧出なんでしょうか、はたまた単に配湯管の吐出口を砂利の下に敷いているだけなのでしょうか。足元湧出だったら嬉しいな…。湯温は41.0℃。日本人でも満足できる絶妙な湯加減です。
プールサイドにはちょっと低くなったスペースがあり、露天風呂から流れ出るお湯を集めて打たせ湯にしていました。画像に写っているお爺さんは「お前もやってみろ」と声をかけてきましたので、実際にお湯に打たれてみたのですが、画像をご覧になってもおわかりのように、水流が太くて勢いが強く、体にかかる衝撃も結構パワフルです。お爺さんのように中腰で肩に当てる方もいれば、その場でうつ伏せになって腰に当てる方もおり、皆さん思い思いに打たせ湯を楽しんでいらっしゃいました。
深い浴槽ですので、私は立泳ぎをしながら記念撮影を試みました。日本から遠く離れたトルコの温泉で、にわか仕込みの小堀流踏水術を実践する私。中近東で日本の古式泳法を実践するとは思っても見ませんでした。深いとはいえ、槽内の一部にはステップもありますから、そこに腰掛ければのんびり湯浴みできます。41℃という私のストライクゾーンど真ん中の湯加減だったので、肩まで浸かって存分にお湯を堪能し、体が火照り始めたらプールサイドでトドになって、上空から下りてくるそよ風でクールダウンさせると、なお一層の充足感を味わえました。
湯量が豊富で、上述の打たせ湯の他、プールサイドの穴からどんどん排湯されているのですが、泉質由来なのか、あるいは湯鈍りが発生しているのか、お湯はごく僅かに黄色を帯びながら弱く濁っているように見えます。ほぼ無味無臭で、湯中では若干引っかかる浴感が得られました。湯上がりはホカホカと温浴効果が長続きするのですが、それでいて粗熱の抜けも良いためにサッパリ感も共存し、嫌味な熱の篭りや発汗はありませんでした。
私は男女の時間割を知らずに訪れてしまったため、現地で30分近く待たされたのですが、時間割をご存知の地元の方々は男湯のスタート時間の数分前に次々と車でやってきて、平日の昼間だと言うのに、露天風呂は10人以上の湯浴み客で賑わいました。皆さん温泉が好きなんですね。
GPS座標:40.029864, 27.562070
浴室がひとつしかないため、男女は以下の時間割によって交互に使用
男湯:6:00~8:00、10:30~12:00、14:30~16:00、18:30~20:00、
女湯:8:30~10:00、12:30~14:00、16:30~18:00、20:30~22:00、
8リラ
貴重品用ロッカーあり、他備品類なし(売店にて入浴グッズの販売あり)
私の好み:★★+0.5
まずはギョネンの街を抜けてバルヤ(Balya)方面へ南下。途中で道が二又に分かれるので、ここで右へ逸れます。分岐点にはちゃんと"Ekşidere Dağ Ilıcası"と記された標識が立っているので、それさえ見逃さなえれば大丈夫【地点1】。
この先も"Dağ Ilıcası"と記された青い看板が随所に立っていますから、それに従って進めば問題ありません。たとえばBalcıdedeという集落では丁字路にぶつかりますが、ここでもちゃんと看板が立っており、そこに示された矢印に従い右へ鋭角に曲がります【地点2】。
牧歌的な景色の中を安全運転でドライブ。草原の真ん中で車を駐め、ヒバリがさえずる中で深呼吸。
途中でいくつか集落を抜けます。集落内は道幅が狭く、舗装が荒れてデコボコしていますから、スピードを落として安全運転に心がけました。
温泉宿の名前にもなっているエクシデレ(Ekşidere)集落では、ジャーミー(モスク)の手前の十字路を右折して、細い坂道をグイッと上がってゆきます。ルート上ではここが最も迷いやすい箇所かと思いますが、それでも曲がり角にはちゃんと案内看板がありますから、それを見逃さなければ大丈夫【地点3】。
エクシデレ集落を抜けると人家が途絶え、畑や森林がモザイク状に散らばる丘陵地帯となります。対向車ならぬ対向驢馬というべきか、ロバに乗って移動しているおじさんと行き違ったり、羊飼いに導かれて移動する羊の群れが目の前を横切ったりと、実に長閑な地域です。
向こう側の丘に緑色の建物が見えてきましたよ。
「エクシデレ・ダー・ウルジャス」に到着です。名前を直訳するとエクシデレ山温泉となるのでしょうか。周囲の環境に溶け込むことを意図しているのか、ホテルの建物は緑色に塗られており、高さも周りの木々を越えない範疇に抑えられています。ホテル棟の他、アパートやコテージと思しき棟も建ち並んでいました。
敷地内にはジャーミー(モスク)があり、「こんな人里離れた一軒宿でも信仰は欠かせないんだなぁ」なんて呟きながらボンヤリ眺めていたところ、中からおじさんが現れて、コップで飲むジェスチャーをしながら、奥の方へ行ってごらん、と指をさします。おじさんが指し示した方向には、チョロチョロと清水が滴る水汲みがあり、その様子をカメラに収めていると、後ろの方からボトルを抱えた老夫婦が2組やってきて、この清水をボトルに汲みはじめました。この水はそんなに美味いのか。実際に手で汲んで口にしたところ、たしかに口当たりがまろやかで飲みやすい。この辺りでは名水として知られているのでしょう。
この温泉宿は小高い丘の上に位置しており、彼方へ幾重にも連なるなだらかな丘と、そこに広がる広大な畑や森林、そして点在する集落を眺望することができました。この日は天候にも恵まれ、雄大な景色を眺めているだけでも爽快です。子供用遊具も設置されていますから、ファミリーで訪れてのんびり過ごすのも良いですね。
さて入浴へ。ホテルは幾棟かの建物に分かれているのですが、入浴利用の際には、1階に売店がある棟の窓口でチケット購入します。料金は8リラ。
窓口の斜め前が浴場です。
こちらが浴場の入口です。チケットを購入すれば誰でもすぐに入浴できるわけではなく、浴場がひとつしかないため、時間によって男女が分けられており、その時間割に合った人しか入場できません。入口前には時間割が掲示されていましたので、その内容を以下に書き写しておきます。
男湯:6:00~8:00、10:30~12:00、14:30~16:00、18:30~20:00、
女湯:8:30~10:00、12:30~14:00、16:30~18:00、20:30~22:00、
早朝の時間帯を除けば、男女はそれぞれ1時間半ずつで交代し、男女の切替時に30分のインターバルを挟むというスケジュールとなっているわけですね。たとえ夫婦で訪れても、どちらかが待ちぼうけを喰らわなきゃいえないのが、この温泉の哀しいところ…。
入口ゲートには機械式の回転バーが設置されており、入口に常駐している係員のおじさんにチケットを提示すると、チケットにスタンプを捺された上で、おじさんのポケットに突っ込まれていたICカードがゲートの機械にかざされ、これによって回転バーのロックが外れて入館できるというシステムになっています。なんでこんな面倒な方法にしているのでしょう。
入口の内側には貴重品箱がありますから、財布などはこちらに預けます。
更衣室は左右シンメトリな造りで、一定間隔毎に仕切り板が突き出ており、その間にベンチや服掛けフックが設置されていますので、任意の箇所に荷物など置くことになります。奥の方には試着室のような小さな着替え室もありますが、私は面倒なので、バスタオルを腰に巻いて、ベンチのところで着替えてしまいました(他のお客さんも同様でした)。
更衣室の奥にはシャワールームや洗い場も完備。洗い場はタイル貼りですが、典型的なトルコのハマム様式で、6基ある水栓からはぬるめの温泉が吐出されます。実際に水栓を開けてみたところ、お湯に含まれる無数の気泡により、湯受けのお湯は白く濁りました。
洗い場で体をしっかり洗った後は、露天風呂に入りましょう。こちらの浴槽は上画像の露天風呂ひとつのみです。露天とはいえ四方を高い塀で囲われており、水平方向の視野では開放感が無いのですが、(あくまで私の勝手な解釈ですが)このお風呂は女性も使いますので、周囲からの視線を徹底的に遮るべく、このような高い塀で囲まれているのかもしれません。イスラム圏らしい設計といえそうです。
塀は高いのですが、見上げると青空が仰げ、時折心地良いそよ風が入ってきます。山の空気は澄んでいますし、小鳥のさえずりも聞こえ、湯浴みにぴったりの、実に爽快な環境です。
浴槽は目測で一辺が8mの正方形。深さが1.65mもあり、ちょうど同じ高さの身長である私が底面で爪先立ちをしても、あとちょっとのところで高さが足りずに沈んでしまいました。底面には白い砂利が敷き詰められているのですが、一部分はちょっぴり茶色を帯びており、そこからブクブクと気泡を上げながらお湯が供給されていました。足元湧出なんでしょうか、はたまた単に配湯管の吐出口を砂利の下に敷いているだけなのでしょうか。足元湧出だったら嬉しいな…。湯温は41.0℃。日本人でも満足できる絶妙な湯加減です。
プールサイドにはちょっと低くなったスペースがあり、露天風呂から流れ出るお湯を集めて打たせ湯にしていました。画像に写っているお爺さんは「お前もやってみろ」と声をかけてきましたので、実際にお湯に打たれてみたのですが、画像をご覧になってもおわかりのように、水流が太くて勢いが強く、体にかかる衝撃も結構パワフルです。お爺さんのように中腰で肩に当てる方もいれば、その場でうつ伏せになって腰に当てる方もおり、皆さん思い思いに打たせ湯を楽しんでいらっしゃいました。
深い浴槽ですので、私は立泳ぎをしながら記念撮影を試みました。日本から遠く離れたトルコの温泉で、にわか仕込みの小堀流踏水術を実践する私。中近東で日本の古式泳法を実践するとは思っても見ませんでした。深いとはいえ、槽内の一部にはステップもありますから、そこに腰掛ければのんびり湯浴みできます。41℃という私のストライクゾーンど真ん中の湯加減だったので、肩まで浸かって存分にお湯を堪能し、体が火照り始めたらプールサイドでトドになって、上空から下りてくるそよ風でクールダウンさせると、なお一層の充足感を味わえました。
湯量が豊富で、上述の打たせ湯の他、プールサイドの穴からどんどん排湯されているのですが、泉質由来なのか、あるいは湯鈍りが発生しているのか、お湯はごく僅かに黄色を帯びながら弱く濁っているように見えます。ほぼ無味無臭で、湯中では若干引っかかる浴感が得られました。湯上がりはホカホカと温浴効果が長続きするのですが、それでいて粗熱の抜けも良いためにサッパリ感も共存し、嫌味な熱の篭りや発汗はありませんでした。
私は男女の時間割を知らずに訪れてしまったため、現地で30分近く待たされたのですが、時間割をご存知の地元の方々は男湯のスタート時間の数分前に次々と車でやってきて、平日の昼間だと言うのに、露天風呂は10人以上の湯浴み客で賑わいました。皆さん温泉が好きなんですね。
GPS座標:40.029864, 27.562070
浴室がひとつしかないため、男女は以下の時間割によって交互に使用
男湯:6:00~8:00、10:30~12:00、14:30~16:00、18:30~20:00、
女湯:8:30~10:00、12:30~14:00、16:30~18:00、20:30~22:00、
8リラ
貴重品用ロッカーあり、他備品類なし(売店にて入浴グッズの販売あり)
私の好み:★★+0.5