温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

キュタフヤ県シマーヴ市 エイナル温泉を散策

2015年02月15日 | トルコ
無事にこの日の宿泊先を確保できたところで、エイナル温泉を散策してみることにしました。コンパクトな温泉地ですから、ちょっと歩けばひと通り廻れてしまうのですが、小さいながらも温泉の存在感や迫力がギュッと凝縮されており、いかに当地が湯量豊富な温泉地であるかを実感することができました。なお、この記事では、当地での夕食と朝食についても触れさせていただきます。




●エイナル温泉の各施設
 
エイナル温泉には大小二つの公衆浴場があり、上画像はレセプションの左に隣接している大きな方の公衆浴場"Büyük Hamam"です。とても大きな施設なのですが、男女に仕切られていない構造であるため、曜日によって男湯と女湯に分けられており、あいにくこの日は女湯だったので、私は利用できませんでした。ちなみに、この"Büyük Hamam"の曜日分けは、男湯が火・木・金・日、女湯が月・水・土となっています。


 
エイナル温泉の手前側にある、温泉を活用したレジャー施設「アクアパルク」。外側からはウォータースライダーのようなものが見えるのですが、どうやら夏季限定の営業らしく、訪問した晩秋は既にシーズンオフに入っており、人の気配は全く感じられませんでした。


 

エイナル温泉の売店は食料品や生活雑貨など品揃えが豊富で、道路側にはトマト・リンゴ・ブドウ等の生鮮品が並んでいました。これなら自炊する長期滞在客も他所へ買い出しに行くことなく、当地でゆっくり過ごせますね。ただし、当地のお店ではアルコール類を扱っていないので、もしほろ酔いたければシマーヴの街中へ買い出しへ行くこととなります。



緩やかな登り勾配になっている温泉街の上の方に、もうひとつの小さな公衆浴場である"küçük Hamam"がありました。地味で控えめな佇まいですから、うっかりすると見逃してしまいそうです。2つの公衆浴場は曜日によって男湯と女湯を交互に入れ替えており、大きな方の"Büyük Hamam"が女湯である曜日は、この小さな"küçük Hamam"が男湯となります。こちらのお風呂には入浴しましたので、詳しくは次回記事にて取り上げます。


 

 
(時刻表の画像はクリックで拡大)
大きな公衆浴場"Büyük Hamam"前の広い通りを走る路線バス。見た感じでは相当な車齢のようですが、老体に鞭打ちながら、満員の乗客を載せてシマーヴ市街方向へと走ってゆきました。温泉地内には大きな公衆浴場前と小さな公衆浴場の左側に、それぞれバス停が立っていました。バス停に貼りだされていた時刻表を載せておきますので、もし路線バスでエイナル温泉を目指す方は参考になさってください(私はレンタカーでアクセスしたので、路線バスについてはよくわかりません)。
エイナルを通る路線にはどうやら2系統あるらしく、そのうち本数が多いのは時刻表が赤く印刷されている(下段左(上)画像)、BELEDİYE ÖNÜ(シマーヴ市役所前)~YUNUSEMRE間の路線で、1時間おきに運行されています。具体的には、下りは市役所前を7:00~23:00の間を毎時00分に出発し、上りはエイナルを毎時35分(ただし8時や12時など偶数時は37分)に発車しています。市役所前からシマーヴまでは所要20分で、BELEDİYE ÖNÜ(市役所前)→HASTANE ÖNÜ(病院前)→PTT(郵便局)→GARAJ ÖNÜ(車庫前)→YEŞİLOVA→EYNAL(エイナル)の順に停車します。この時刻表にオトガル(バスターミナル)の文字は見当たりませんが、おそらくGARAJ ÖNÜ(車庫前)がそれに該当するのかな。曜日による時刻の変更や運賃についてはよくわかりません…。


●温泉地らしいジャーミー(モスク)

イスラム圏ですから、人が住まうところにはジャーミー(モスク)が欠かせません。もちろんエイナルにもジャーミーがあるのですが、ここはちょっと特徴的です。


 
と言いますのも、温泉の源泉施設はジャーミーに隣接しており、ドーム建築やミナレットのそばで、シューシューと辺りに大音響を轟かせながら、白い湯気が勢い良く朦々と上がっているのです。イスラム教徒は世界中に16億人超もいるそうですから、信仰の拠り所となっているモスクも世界中に数えきれないほどたくさんあるのでしょうけど、世界広しと言えども、地熱の息吹とイスラムの宗教施設が一体になっている景色は、滅多にお目にかかれないのではないでしょうか。温泉資源が豊富なトルコならでは光景です。


 
ジャーミーや源泉施設の南西側には公園が併設されており、紅茶を出すスタンドの他、上画像の屋外ステージは最近新設されたようです。


●温泉熱を活用したハウス栽培
 
温泉街から外れると、だだっ広い耕地にビニルハウスがたくさん並んでいました。


 
これらのハウスでは温泉熱を活かした温室栽培が行われており、私が覗いたハウスではトマトがたくさん実っていました。ハウス内に敷設された白い配管が、温泉の引湯管です。


 
道路に面したハウスの前では、直売所も開かれており、採れたてのトマトが売られていました。私が訪れた時期は早朝に霜が下りるような寒い時期でしたから、露地栽培は無理なはずです。温泉や地熱の資源が豊富だからこそ、このように寒い時期にも新鮮な野菜を味わうことができるのでしょう。


●野湯ポイント?
 
ジャーミー隣の源泉井戸の他、エイナル温泉には数箇所の源泉施設があるようです。大きな公衆浴場やアクアパルクの裏手(温泉地の西側の端)にも、上画像のような源泉井戸があり、朦々と白い湯気を立ち上らせていました。この施設から南西側へ目を向けると、先の方の地面から湯気が上がっているのを発見。何かと思ってその現場へ行ってみますと…



なんと太い配管からお湯がドバドバと大量に棄てられているではありませんか!
こんなに膨大な量の温泉が使われずに放出されているだなんて、勿体無いことこの上ありませんが、使い道がないんでしょうから仕方ないですね。エイナルの温泉資源がいかに豊かであるかを示す好例と言えましょう。「湯水の如く…」という表現は、エイナルのためにあるようなもんです。


 
野湯を嗜む私の感覚からすれば、絶好の野湯ポイントではないかと思われましたので、興奮気味にお湯へ手を差し伸べてみたのですが、入浴できっこないほど非常に熱く、直に触れたら火傷しそうでした。それならば、流れに従って川下へ行けば、やがて温度も冷めるはずが、悲しい哉この排湯は川をなしておらず、すぐにベタッと地面に広がってしまうため、温泉の湿地こそあるものの、湯だまりを見つけることはできません。このため、残念ながらここでの野湯は断念しました。もしかしたら私の探し方が悪いのかもしれませんので、もし興味がある酔狂な方がいらっしゃったら、是非ここで野湯ポイントを見つけてみてください。


●ディナーはシマーヴ市内で
 
エイナルには食堂もありますが、夕食はしっかりとしたものを口にしたかった上、当地では入手できないビールを買いたかったので、街歩きを兼ねて車でシマーヴ市街へ向かうことにしました。車に乗れば数分で行けちゃいます。街の北端にあるオトガル(バスターミナル)の傍に路駐して散策をスタート。市役所がある街の中心部へ向かって、kışla通りを南下します。


 
街に着いた頃にはすっかり日が暮れていたのですが、通りを行き交う人の姿はそれなりにあるのに、街の外縁部だからか薄暗くて気味悪く、しかも石畳の道は凸凹だらけで、ただでさえ広くない道は路駐の車が連なって余計に狭まり、そこを通行する車は人と建物の隙間をすり抜けるように、砂埃を上げながらスピードを落とすことなく走り去ってゆきます。モンゴロイドは私だけで、外国人旅行者らしき人の姿も見られません。この街の事情がわからない私は、歩みを進めるたびに心細さも募ってゆきました。


 
不安を感じながら街の中心部までやってくると、辺りを照らす明かりもようやく街らしくなり、やがてジャーミー(モスク)が聳え立つ広場に行き着きました。さすがにこの中心部まで来ますと、先ほどまでの不安も解消されます。昼間に訪れたら、おそらく全く違った印象を受けたに違いありません。明るい時間帯にこの街を散策したかった…。



この街を散策している第一の目的は、ちゃんとしたレストランに入ってディナーをとることです。オトガルから中心部へ至るに道沿いにも、ロカンタ(大衆食堂)をはじめとして何軒かの飲食店がありましたが、どこもパッとした雰囲気が伝わって来ず、まともな飯が食えそうな予感がしませんでした。一方、広場付近に集まる飲食店はどこもまずまず賑わっているようでしたが、そんな中でも、ジャーミーの広場から1~2本南側の道路沿いにあった、上画像の明るいレストランに惹かれたので、自分の直感を信じてこの店に入ることにしました。


 
店内は明るくて清潔感もあり、店員の応対も明朗。メニューはトルコ語表記のみでしたが、スラッと背の高いイケメン店員さんが実物を見せてくれたり片言の英語で説明してくれたおかげで、難なく注文することができました。この時頼んだのは、スパイシーな味付けの串刺しケバプとレンズ豆のスープ(チョルバ)です。いずれも美味でしたし、添え物のパンも美味しく、野菜類もしっかり摂れたので、味覚と栄養バランスの両面で満足できました。この2品とジュースを頼んで合計15リラ(700円強)ですから、都市部で同じような食事をいただくより安く上げられたことも好印象。自分の直感を信じて正解でした。
食欲を満たした後は、オトガル(バスターミナル)の南西にあるYeni Cami通り沿いに酒屋を見つけたので、そこで缶ビールとおつまみを購入。エイナル温泉の部屋に戻って、内風呂でスッポンポンになって入浴し、缶ビールをぐびぐびっと飲みほして、悠々自適にエイナルの夜を過ごしたのでした。


●エイナルで朝食

朝食はエイナルの食堂でいただきました。宿泊料金は素泊まりの設定ですから、食事には別料金が必要です。食堂はレセプションの斜め前に位置しており、朝食営業は7:00~10:00で、一律10リラです。代金は食堂で直接支払い、予約等は必要ありません。


 
朝食はバッフェ式で、トルコの一般的なホテルと同様、パン・ハム&ソーセージ・チーズ・茹で卵・スープ・生野菜といったラインナップです。なおトマトやキュウリは、エイナルの温泉熱を利用した温室で栽培したご当地産であり、食堂のスタッフさんはそのことを誇らしげに説明してくれました。


 
私のチョイスは上画像の通り。温泉ファンとして、温泉熱で栽培した野菜は欠かせません。いずれも美味しくいただけましたよ。退店時、食堂のおじさんたちは笑顔で手を振ってくれました。しっかり食事をいただいた上、みなさんの笑顔にも接して、朝から元気がみなぎります。エイナルはお世辞抜きで良い温泉地です。



次回記事ではエイナル温泉で実際に入浴した小さい方の公衆浴場について取り上げます。
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